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明初庵の過去の大失敗! ~「一発で治す」ことのリスクと「日常生活」の重要性~

新潟市で医療法人に雇っていただきながら、訪問整体・健康などに関する講演活動を行う治療家です。
理学療法士の国家資格を持ちますが、何故か物理学で大学院前期博士課程を修了もしている変わり者です
そんな治療家明初庵が、日々の治療活動を通して考え、人様へお伝えする価値ががあると思われることを綴ったり、しゃべったりしております


動画でも解説しております。あなたのご理解の一助になれば

はじめに 「大失敗」した治療 明初庵「一発で痛みなおします!」を卒業した症例


治療失敗の根本原因・・・


ある介護士さん(女性)が深刻な表情で明初庵に相談に来られました

「最近首がとっても痛いのです。
行きつけの整骨院で治療してもらっても、腰はちょっと良くなっても首は全然良くならないんです。
最近は痛み止めを飲んでも効かなくって・・・」

とのお話。
なるほど、首には大きな湿布が貼られています

当時の明初庵君のモチベーションは

  1. 目の前に痛みを抱えている人が私を頼ってくれている「助けてあげたい!」

  2. 他の施術家では治すことができないって?「私の方が腕前が良いことを証明したい!」

  3. 「ずっと悩んでいたのに、一発で治すなんて明初庵さんてスゴイ!」と当然言われたい!

という思考パターンでアップしておりました

何ともお恥ずかしい・・・

ただ、リハビリスタッフとして最初の数年は
「ダメPT(理学療法士)」
と言われ続けていた経験もあり

自分が確実に腕前をあげている証明が
欲しくて欲しくて
仕方なかったのです

(まぁ、気持ちはわかるよ
と、過去の自分の懐かしむ現在のワタクシ)

ということで、「40分治療時間をください」と許可をもらい
その当時、いろいろな勉強会でかき集めた
「首治療にはこれ!一発で治せます」
テクニックを
これでもかと
ふんだんに盛り込んだ
フルコース治療を
全身全霊
心をこめて
行いました

もちろん結果は

「わぁ~!スゴイ!首が楽です。あ、なんだか肩も軽い!」

と喜んでいただきましたとさ・・・


「大失敗」した原因は?人間は「体のバランスをとりながら」動く生き物

「治療家」を名乗るならこれくらいは・・・


しばらくすると、その介護士さんが働いている職場の管理者さんに呼び止められました

「何をしたのですか?」

と・・・(ドキドキ)

お聞きしたところによると、その介護士さんは私の治療(というかただの施術)をとても喜んでおられ、その喜びを管理者さんにも報告されて帰宅されたと

管理者さんもその介護士さんのお体を以前より心配されていたので
「後で明初庵さんにお礼を言おう」と思われたそうです

ところが、次の日からその介護士さんはさらに激しい肩と首の痛みを訴えられ
とてもお仕事ができる状態ではなく
3日間出勤できなかったそうです
(その後、無事お仕事ができる状態まで回復。当然謝罪など責任ある対応をとらせていただきました。現在はその職場と介護士さんとも良好な関係をもっております。ただし、治療行為は控えさせております)

本当に反省しかない症例ですが
現在はこのエピソードに感謝しております

それは「一発で治す屋」を卒業することができたからです

詳しい説明は後述しますが、この時明初庵に足りていない物は

  • 人間は治療を受ける時間の何倍も「日常生活動作」をしている

  • 「その痛みはなぜ生じたのか?」の視点・評価・考察が欠落している

  • 「他の治療家よりも優れているかどうか」というマインドは、治療対象者を自分の名声のための存在としてしまう(誠意が無くなる)

他にもありますがきりがないので・・・
どれも、いっぱしの治療家を名乗るのであれば「必須」のものばかりです

この頃は明初庵としてデビューしたばかりだったので、キャリアの初期に経験出来て本当に良かった・・・

そういえば先輩の話にも似たようなものがあった・・・

すでに警告はされていた・・・

「ダメPT」時代
なんとか「せめて普通レベルのリハビリがしたい」といろいろな研修会に参加しておりました

新潟競馬場の近くにある大きなリハビリ病院を会場に
中規模の研修会に参加したときのことです

ある海外生まれの治療方法を勉強する内容でした
(ちなみに、その治療方法は明初庵は採用しておりません。方法に良い悪いがあるのではなく、治療方針の考え方が「浅い」と思われるからです)

休憩中の雑談で、講師の先生が
「失敗?ありますよ~」と過去の失敗談を教えてくれたのです

以下その講師談


「まだ若い時、少し治療の腕前が上がって自信がついていたんだよね

先輩が治療しているある患者さんをリハビリする時があったんだ

その患者さんはずっと腰が痛いと言っていたのは知っていた

でもその先輩はなかなか腰の痛みをとることができていなかった

そこで、僕、思いっきり腰を治療したんだ

そしたら腰痛は消えて、すっごい感謝されたんだ

でもね・・・

その後、体の別の痛みが激しく出てきた

その先輩僕に言ったよ

「あの患者さんは、痛みが強くならないように腰でかばっていた。僕はそれを少しずつ調整していたんだよなぁ・・・」

って
いやぁ、大反省。平謝りさ(笑)
みなさんも、腕前上がったら私みたいな失敗しないようにね(笑)

と・・・


はい、明初庵も腕前上がったら同じ失敗しておりました・・・

人間の体は重力で崩れないように「下から積み上げている」

人間の体をどのように見る・診るのかは、いろいろな視点があり、そうであるべきですが

「重力の中で動いている」

という視点は絶対に外せないものだと考えます

私が治療を失敗した介護士さんのお体を
積み木が積みあがっているようなモデルで考えてみましょう

横から見ています 左が正常とします

重力で体が崩れないように、人間の体はバランスをとっています
上の図の左側が、正常とします(こういうモデルは正確ではないのですが・・・あくまでも説明用です)

その介護士さんは、腰の部分が前に出ている姿勢です(図の左側が前方向とします)
胴体はその分「のけぞった」姿勢となり
重い頭を乗せるための首は
前に突き出したようになります

そして、胸~肩~頭を1本の柱が通っているかのように「固めます」

なぜ固めるのか?
ゆるゆるでは、重い頭を乗せておくために常に筋肉がバランスをとらなくてはならず、これはとっても大変なことだからです

固めるとは、何で固めるのか?
それは筋肉です。
筋肉をガチガチに硬くするのです

硬くなってしまった筋肉には、疲労物質や痛み物質が溜まってしまい
「首が痛いんですよねぇ~」
となります
(硬くなった筋が痛くなる仕組みについてはこちらで解説しております

さて、そんな首の痛みを訴える介護士さんへ明初庵は何をしたか?

首をユルユルにしたのでした(なんてことを!)

図で例えるならば

首はまるでボールのように・・・

重い頭を乗せるために、まるで支柱を指していた首を

支柱を引っこ抜くだけでなく、丸い球体にしてしったのです

大変です

重い頭を乗せるために、首は激しく動かなくてはならなくなりました
少しでも気を抜けば、頭はゴロンと落ちそうになります

でも、体のどこで支えればいいのでしょう?

明初庵は、その介護士さんに新たに支える場所を提供することもせず

ただ、積み木を崩れやすくした状態で

得意満面であったのです・・・(書きながら情けなくなる・・・泣きそう)


「一発で治す」ことのリスク

「すごいテクニックで一発で治す」ことにはこのようなリスクがあります

でも「テクニック」には罪はありません

その「使い方」に功罪があるのですね

今の明初庵がその介護士さんを治療するなら
まず、その「のけ反った姿勢の原因」を追究するところから行うでしょうね
おそらく、足や足首から丁寧に治療していくことでしょう

体を支える一番の土台は、人間の体の中では決して大きくはない

さらにその上には細い細い
足首
があります

よくよく考えると、これで体を支えられている人間ってすごいですね
「運動神経ありません」
なんて人、この世に1人もおりません
立ってるだけでスゴイ!

そりゃ、赤ちゃんが立ち上がるのに約1年間の猛特訓が必要ですよね
そして、自分の子どもが立ち上がった時の感動はとっても大きなものがありますよね(日々の子どもの悪行三昧で、つい忘れがちですが・・・)

足を治療することで

痛みがある腰にどのような変化があるか?

その後腰やその周辺の治療をしていくことで

おそらく、首や肩の治療はしなくても自然と改善すると思います

いずれ、罪滅ぼしの治療のチャンスがいただけたらなぁ~


治療対象者の日常生活の動きも実は「治療」であるべき

そして、もっと大事な視点は治療対象者の

日常生活

です

「あれをするな」
「これをするな」
「一日100回この体操をしろ」

ということではありません

施設では介護士さんとして頑張り
家に帰ったら、母として、妻として
あれやこれやを行います

「あれをするな」
なんて言う余地は本来無いはずです

自分が行った治療で変化したお体が
「いつもの日常生活」
の中でどのような変化をするか?

これがとっても重要だと思っています

良い変化なら「OK」

変化が無ければ「原因はそこではない」

症状が悪化していていたら「本当の原因に近いが、何かが足りない」

と評価して、治療を進めていきます

もちろん、本当の原因が明確になったら

「自己メンテナンス」方法を指導して、ご協力いただくことも大切です

表層を調整→生活していただく→さらに深層を調整→生活→さらに深層→・・・

このように現在の明初庵は治療を展開しています

「すぐには症状が軽くならない」
かもしれません。
重症な方はどうしても・・・

でも重症な方ほど
「この治療で根本解決をして、治療を終了し、人生を謳歌してほしい!」

と思っています

治療を受け続けることって、人生の中の中心にあってはいけないのです

中心はあなたが人生を謳歌すること
それができるお体であること

そのために、今お体に問題があるのならば
明初庵にできることを提供させていただく

そう思っています

「一発で治す」と言いながら
「回数券を売りつける」という矛盾を抱える自称施術家がまだちらほら見かける昨今

あなたが、本当の丁寧な治療を受けられることを
そして、人生をより一層謳歌できることを

心から願っております

最後に

最後までお読みいただき感謝しております

自分の恥ずかしい失敗を公表してまで
知ってほしい大事なことを
執筆したつもりです

あなたの何かのお役に立てれば幸いです

これもご縁ですので、
ご感想など教えていただけると
光栄に存じます

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(申し込みフォームがございます)

https://akesoan.hp.peraichi.com/


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