【短編】 アイドルオーディション
心の醜い少女は、毎日、花に水をやります。
ある本に、花を育てると心が美しくなると書いてあったからです。
「毎日、あたしにお水をくれてありがとう」
蕾がほころびはじめた花は、心の醜い少女に感謝を伝えました。
「これからあたしは花びらを開いたあと、次の種をつくって枯れていきます。今度はあなたが花を咲かせて下さい。それが、あたしの願いです」
そのとき、強い風が吹いて、一枚の紙が少女の顔に貼り付きました。
「あら、アイドルオーディションのチラシですね。これから花を咲かせる、今