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4歳児のための童話「すう、すう、すう」

「ゆめある」お話投稿コンテンストに応募しました。
「第1回おやすみ前のお話投稿コンテスト」だそうです。
発表済みのものでもOKとのことなので、こちらにも。

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タイトル『すう、すう、すう』


「すう、すう、すう」

おや? どこからか、だれかのこえがきこえます。
ほら、みみをすませてみてごらん。

「すう、すう、すう」

どこかな、どこかな。
きみのまくらのうらかな。
それとも、あのカーテンのうしろかな。

「すう、すう、すう」

どこかな、どこかな。
ずらりとならんだぬいぐるみたちのなかに、あれれ? みたことのない、おかお。
あ! みいつけた。

「しーーーーーーーーーーーーーっ!」

ひとさしゆびをくちびるにあてて、しーっといったのは、よるのいろをしたパジャマをきた、ちいさなおとこのこ。
あなたは、だあれ?

「ぼくは、すう。ねむれないこを、ゆめのせかいにつれていってあげるんだ」

すうが、ひそひそごえで「すう、すう、すう」ととなえると、ぬいぐるみたちはめをとじて、すう、すう、すう。
たちまち、ねむりにつきました。

くまのぬいぐるみはたのしそうに、むにゃ、むにゃ、むにゃ。
うさぎのぬいぐるみも、うれしそうにふふっ! と、ねむりながらわらいます。

「さぁ、つぎはきみのばん」

すうは、きみのふとんのうえにぴょん! ととびのると、とん、とん、とん、とステップをふみました。
さぁ、めをとじてごらん。

とん、とん、とん。
すう、すう、すう。
たのしいゆめをみられますように。

とん、とん、とん。
すう、すう、すう。
あしたもげんきでありますように。

すうがふうっといきをはくと、からだがすうっとかるくなりました。
ふわふわとして、ここはまるでゆめのなか。
ばいばい、きょうのぼく。
あしたがくるまで、おやすみなさい。

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4歳児が対象の、おやすみ前の童話です。

そういえば、眠れないときに「ひつじが一匹…ひつじが二匹…」と数えるのは、「sheep(羊)とSleep(睡眠)」の発音が似ているところからきた言葉遊びに由来しているのだそう。
本来は「one sheep, two sheep, three sheep…」と発音するので、Sheepの発音が、入眠しやすい呼吸でもあるのだとか。

きょうのお話しは、入眠しやすい呼吸を意識して。
すう、すう、すう、と一緒に口に出しているうちに、親子ですうっと夢のなかに入っていけるような、そんな願いをこめて。
育児中のみなさん、きょうも一日おつかれさまです。
あしたも、いい日になりますように。

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