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主任の思い

 「研究会をやりましょう!」
 この言葉を聞いて最初に思ったことは…『無理』『あけのはまだその段階じゃない』でした。

 悩んで…立ち止まって…けして平たんではなかった…それでも走り続けた4年間…。今やっと落ち着いてきた人間関係。この穏やかな時間をもう少し満喫していたい!せっかく安定しているのに、嵐を起こすのはやめてほしい!
 私にとって研究会とは嵐であり、受け身のイメージしかありませんでした。

 そんな思いから「やろう!」と心が動くまで、そう時間はかかりませんでした。その短い時間の中、様々な葛藤を経て、一番変化したのは「信じる力」でした。


 環境整備を行っていく中で、私が一番大変さを感じていたのは人間関係でした。”変化”の中には、人の心の動きがつきもので、私はどちらかと言うと物作りより人作りに力を注いできました。
 『どうしたらみんなが心地よく過ごせるか。』
 『どうしたら揉めることなく進めていけるか。』
 当時の私は、そんなことばかり考えていたように思います。

 研究会を行うことは”変化”。
 そこに「やりたい…やりたくない…」「こうしたい…それはダメ」等々…人の心の動きや葛藤があり、その思いがまた私に向かってくる…
 主任と言う立場にとらわれていた気持ちがまた戻り、押し寄せてくる思いでした。でも、4年前のあけのと大きく違っていたのは、一緒に歩んできた職員のみんなでした。




 研究会…やるんだろうか…やらないんだろうか…まだ曖昧だった5月のある日。夜の研修前の腹ごしらいに集まった数人の職員。
 みんな、口にしたいのは研究会に対しての不安だったはずですが、なかなか口に出せない雰囲気の中、私は思い切って「研究会どう?」と切り出してみました。今思えば、この時期私が聞きたかったのはみんなの本音と言うより、研究会反対の意見だったと思います。そんな思いの私が切り出す会話など前向きな話し合いになるはずもなく…満場一致の「今じゃない!!」。この意見を園長先生に伝えようと、こんなところで一致団結。

 ところが、一致団結のはずが何だかモヤモヤが残ったままの次の日…。なんだかわからないけど、このモヤモヤは心地よくない。心地よくないまま意見にいたくないと出勤前の駐車場で立ち話。
 「どうせやるしかないんでしょっ」
 「仕事だからしょうがない」
 「本当はやりたくない」
 様々な気持ちの中始まった研究会への取り組みでしたが、何だかモヤモヤな一致団結より、あきらめとも違う、何だか少しだけ心地よい一致団結…。


 そんな中、私の心が大きく動く出来事が…それはあまりにも日常的な会議での一コマでした。あまり説明を受けていなかったパートの職員の方の「研究会やるんですか?」「何をするんですか?」の一言。
 当時私も同じことを思っていましたが、ここでまた私の悪い癖”主任なんだから”が発動。
 「日常行っていることを形にするだけ」
 「特別なことは何もしない」 
 そんなやりとりの中、研究会についてのアイディアが楽しい会話となって出てきている自分にハッとする…。『あれっ?そんな簡単なこと?』
 そして最後の「なんだか楽しそうですね♪」の職員の声に、私の中の研究会のイメージが変わり始めていることに気付き、悪い癖だったはずの”主任だから…”がプラスに動いている! 見方を変えたら悪いも良いに!研究会だって、嫌なことから楽しいことに出来るんじゃないか!!

 ”楽しい会話から、研究会を想像する”
 それを伝える中で、一番抵抗を感じていたのは自分だったと気付く。あけののみんなは、いつでもやれる方向に向かっていました。
 みんなの声を拾って声にしようとしていた私が、みんなに拾われ支えられていました。反対する私を孤独にしなかったあけののみんながいたから、みんなを信じてやってみようと思えました。

 もちろん準備は大変でした。通常勤務のあと夜遅くまで準備に追われ体はクタクタ…。でも職員関係はなんだか心地良い。
 最初から最後まで「大丈夫」としか言わず、信じてくれた神子さん。
 バタバタもがく私を説得せず、最初から最後まで見守り続け信じてくれた園長先生。
 一緒にバタバタしてくれた仲間。
 これだけで十分。こんな人間関係を見せたい!!


 『信じて任せる』『信じて発信できる』『信じて行動できる』それが形となった研究会!安定ではなく進化。みんなの心地よさは、自分が心地よくないと表現できない。変化ではなく、今を表現する。
 研究会に足を運んで下さった皆様には申し訳ありませんが、あけのの研究会の一番良い所は私が体感させていただきました。


 研究会から1ヶ月…
 「さぁ!来年の研究会はいつにするー?」(予定はありません)の言葉に絶句する職員(笑)
 あけの保育園がどう進化していくか楽しみです。

 補足…
 研究会で「苦手」に挑戦したかった私が向き合った空間が「トイレ」。
手助けはするが、自ら進めることはなかった物作りでした。
 私にとってトイレは、1人になれる落ち着く空間でした。園のトイレも、落ちつける良い環境にしたい!そして、みんなにも私の心地よさを体感してほしいという思いでのリフォームでした。

保育士25年・環境整備歴5年目 伊勢


次回は、9月5日(火)です。