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食べる、食べない、食べられない。


7月は、食べることについて色々考える月でした。
編集協力をしたダイエット本『ガチ速脂ダイエット』が発売され、
末には構成を担当したソーシャルワーカーの斉藤章佳さんとライター姫野桂さんとの摂食障害についての対談もアップされました。

食べたり、食べなかったり、食べられなかったり……

なんだか矛盾とまでいかないにしても
ブレるように感じる人もいるかも知れませんが、
ひとつ大きな軸があるとしたら、
「自己受容」だなと思うのです。

自己受容。
アドラー関連の本を読んでいる人にはおなじみかもしれませんが、
”I'm OK”といえるイメージでしょうか。

テンション高く、「自分サイコー」「イケてる〜!」
「今日もかわいいね、自分!」というのではなく、
「まぁ、色々あるけど、これぐらいでいいですかね」と、
そこそこの諦めと共に受け入れられる感じ、
と自分では落とし込んでいます。
いわゆる、折り合いのつけ方というか。
ジェーン・スーさんの著書に『これでもいいのだ』という
本がありますが、まさにこの「これでもいいのだ」状態。
「これでいい」ではなくて「これでも」いいと自分を受け入れられること。

過体重で、体脂肪や内臓脂肪がヤバい。
コンプレックスを解消して”I'm OK”にするダイエット法。

痩せて、選ばれて、愛されなければという強迫観念を解消し、
自分と和解して、”I'm OK”になることを目指す摂食障害についての対談。

いずれも自分の中では同じ延長線上にあるものなのです。

ちなみに、これらの案件に携わっていく中でものすごく参考になったのが
文化人類学者の磯野真緒さん「ダイエット幻想」という本。

人はなぜなぜ痩せたいのか、という心理を
社会との関係や構造に紐付けて、
とてもわかりやすく教えてくれています。

特に、糖質制限についての章での
往来のカロリー制限という「権力」に立ち向かっていく図式で、
「米をたっぷり食べなさい」と説く鈴木その子の「鈴木式」も、
糖質制限も同じと記されてあったのですが、
「ダイエットの常識を疑え」「脂を摂れ」とする
『ガチ速脂ダイエット』の金森式も図式は同じだな、と客観視しています。

私は今はどのダイエット法も、厳格には行っていないのですが
(食材の選び方、サプリの摂り方などは担当した書籍の影響を色濃く受けています)カロリー制限、ファスティング、マクロビ、
野菜スープ、スムージー、プロテイン、お粥……
これまでありとあらゆダイエットを経た身としては、
どんなダイエットも「へ〜、そういう考え方があるんだね」と
心の中にふわちゃんをキープしながら、
自分が仕事で携わる以上は、
必要な情報を必要な人に正しく伝えられたらなと思っています。

いや、これ当たり前なんだけど
コンプレックスを煽るような売り方だけは決してしたくなくて。
最近、あるじゃないですかユーチューブの合間に挟まれる
漫画を使った悪質な動画広告とか……。あれ、なんなんですかね。
「減量したら、人間ドッグの数値が正常になる」くらいはまだ常識の範囲としても、「やせたらモテるようになった」みたいな
やせたら幸せ、太っていたら不幸
みたいな二元論。あやうすぎる。

体重が減っただけ、数値が減っただけ。
ひょっとしたら健康になるかもしれないけれど、
太ろうが痩せようが、あなたの価値は何も変わらない。

Style is not a size, it's an attitude.

サイズのバリエーションが豊富なマリナリナルディ(MARINA RINALDI)のキャッチコピーだったと想いますが、まさにそのとおり。
(とはいえ広告には、比較的若くて細い、金髪の白人女性というのがアレなんですがここでは一度、置いておきます)

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重要なのは1センチ刻みのサイズや数グラムの体重の差異ではなく、
”I'm OK”と言えるかどうか。


「本を売るには、熱狂が必要だ」というスタンスとは少し違うかもしれませんが、熱にあてられず、浮かされず、
議論や手法を伝えるお手伝いができればと思うこの頃です。


書影

『ガチ速脂ダイエット』

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