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こわい話
今年になってから、
リモートワークという言葉が多く使われています。
特に3月以降は、
毎日見聞きしているといっても、過言ではありません。
この現象について、知人が言いました。
「書斎の需要が増える」
「 書 斎 」
ウサギ小屋と言われて久しい日本の住宅事情からすると、
書斎を持てる人は、それ程多くありません。
ある程度の年齢になれば、子ども部屋が必要になりますし、
自分だけのお城が欲しいけれど、我慢している状態です。
ところが、在宅で仕事をするとなれば、話が変わってきます。
仕事部屋を正々堂々?と、
要求することができるようになりました。
「仕事」という印籠を使えば、周りは従わざるを得ない部分がある。
誰にも邪魔されない、自分だけの空間。
それを夢見ている人が、一定数いるのです。
その夢を叶えるチャンス。
理由は色々つけられます。
集中するため。
効率を上げるため。
守秘義務があるから。
どれも納得できる内容ですね。
思い切って、『書斎獲得計画』を実行した友人がいました。
「あのさあ、リビングだと仕事に集中できないんだよね」
「うーん、確かにそうよね」
困った顔をする奥さま。
「考えたんだけど、
あっちの部屋を仕事部屋にしても、いいかな?」
将来、子ども用にしようとしている部屋です。
今は、夫婦二人の好きなものが置いてある、
共通の趣味部屋でした。
「そうねえ。そこくらいしかないものね」
内心、ガッツポーズを取る友人。
うまくいきそうな感じがします。
「私のものが置いてあるけど、そのままでもいいかしら」
「構わないよ。使うときは言ってくれればいいし」
「うん、そうね。その代わりきれいに使ってよ」
「もちろん。仕事するだけだから、そんなに散らからないと思うよ」
と言いつつ、趣味のプラモデル作りをする気満々の友人。
「ついでに、鍵もつけるから」
「え? どうして?」
「その方が落ち着くし、
○○(子どもの名前)が入ってくると、気が散るから」
黙り込む、奥さま。
「本当に集中したいときにしか、かけないから。いいよね」
畳みかけるように言う、友人。
「分かったわ。どうぞ」
沈黙の後、にっこり笑って返事をしてくれました。
友人は、大喜びです。
「じゃあ、私も鍵をつけるわね」
「え? キッチンに?」
リビングダイニングキッチンですから、
鍵をつけようにもドアがないのです。
もしや、ドアをつけてくれという話なのか?
それなら、カーテンの方がいいのでは?
「違うわ。あなたの仕事部屋につけるのよ」
「それは自分でつけるよ」
混乱する友人。
何を言われているのか、さっぱり分かりません。
「あなたがつけるのは、内側でしょう?
私がつけるのは、外側だから」
………
フリーズ。
………
「大丈夫よ。集中したいときにしか、かけないから」
………
極上の笑顔を向ける奥さま。
………
こわいですね。
書斎がほしい方は、気をつけましょう。
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