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プロジェクトファシリテーションの探究#3 プロジェクトの2つの目標

前回プロジェクトファシリテーションの仮説定義を行いました。
今回はプロジェクトファシリテーションが何を目標にするのか、何を達成するための技術として考えていけばいいかの、方向性について考察していきます

プロジェクトの2つの目標

成果を達成するための目標

まず、プロジェクトには、プロジェクトチームが組成された目的を達成するための「成果目標」を設定する必要があります

具体的に、いつまでにどんなアウトプットを行い、誰にどんな影響を与えられる状態になっている必要があるのか

プロジェクトチームは成果目標に向き合い、それを達成するためのプロセスで表れる、あらゆる制約をのりこなしていく事になります

学習を達成するための目標

プロジェクトを進めていった結果、どんな学びを得て、どんな状態になっていると望ましいかを想定したものとなります

学習目標は達成しなければペナルティが発生するものではありませんが、プロジェクトに学習の観点を担保しておくことには多くのメリットがあると思っています

例えば、不確実性の許容の増加や、作業の効率化、質の向上などを上げることができます

私の経験則として、良い学びの経験となるプロジェクトは、参加者がプロジェクトへの参加に対して意味を見出し、前向きにとりくみやすくなると感じています

2つの目標の矛盾をファシリテートし続ける

ビジネスにおいて、成果目標はまず重要とされます。プロジェクトの大前提となり、この達成に向き合うことから目を背けることはできないでしょう

学習目標が先に立つプロジェクトを考えた時に、いわゆる探究学習というものを参照するとわかりやすいと思います。探究学習はプロジェクトの中での主体的な学びを目的としていて、課題解決や成果そのものの優先度は低いように思います

成果のためにリソースを使うと、学習に回す余裕が無くなり、学習にばかり着目しているチームが良い成果を生み出し続けることは難しく、トレードオフの関係になりやすい関係です

プロジェクトファシリテーションで実現したい実践とは、このビジネス目標にむけて成果を達成する活動と、学びを目的とした学習活動の2つの目標を行き来しながらそのバランスをファシリテーションし続ける営みと言うことができると思います

成果だけを追いかけるでもなく、学びだけを考えるのでもなく(その片方だけでも大変なのですが)両取りをしようという考え方です

そしてだんだんその調整ができるようになってくれば、自分らしく成果を出しながら学び続けるやり方が育っていきます。これこそ目指したい状態だと考えています

成果に向かいその中で熟達してきた実践家であれば。成果と学びがその片方だけで成り立つものではなく、相互補完的なものだというイメージに共感いただけるのではと思います

つくる事が学びを加速させ、学ぶ事がつくる活動をなめらかにする、そういう実践を日々の中で生み出すためにプロジェクトファシリテーションの方法を探究していきたいと思います

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