花樣年華における友情の色味
※この文章には『花樣年華 Pt.0〈SAVE ME〉』、『花樣年華 THE NOTES 1』、『花樣年華 THE NOTES 2』の内容が含まれます。
なお、この文章で言及する「ナムジュン」「ソクジン」「ユンギ」「ホソク」「ジミン」「テヒョン」「ジョングク」は、花樣年華におけるキャラクターのことを意味します。
花樣年華 THE NOTES を読んでいて、または花樣年華系動画、漫画等に触れていて思うことは、7人は常にトゲトゲしいということだ。
もちろん一緒に海に行ったり一緒にパーティをしたり一緒に花火を見に行ったりするのだが、彼らは常に棘っぽい。互いが互いをすぐ突き放したり、急に避けて早歩きして逃げたりするすぐ一歩手前という感じがする。
THE NOTES を読んだあとちょっと振り返って考えてみると、どこの場面でも、穏やかで和気あいあいとした友情は無かったと感じた。今まで私が他で読んできた漫画やゲームに出てきたような、楽しくて温かい友情!強い信頼!仲間!みたいな空気は、少なくともあまり感じられない。
教室で集まって騒いでいるときも、一緒に道を歩いているときも、海に行ったときでさえも、彼らは、ずっと、なんだか冷たくてトゲトゲしていて、余裕が無い。
ナムジュンがテヒョンと共にパトカーから逃げるときも、テヒョンをコンテナに泊めるときも、ユンギとジョングクが一緒に作業室にいるときも、ジョングクがユンギのピアノを心地よく聞いているときも、ホソクとジミンが町を見下ろしながら話しているときも、病院で会ったときも、ソクジンがユンギの歩調に合わせるときも、ソクジンがガソリンスタンドでナムジュンにまたみんなで海へ行こうと言うときも、全部、友情的シーンなはずなのに、とても余裕が無くて痛々しくて、終始切ないのだ。
7人の仲が良いのかと言うと、どうなんだろうか。
「仲が良い」というのを、今まで私が読んできた他の漫画や物語などを基準に考えると、決して花樣年華の7人の様子にそれはあてはまらない。今まで私が触れてきた友情ストーリーでは、晴天なら良いことが起きて、切ないことは必ず雨と涙が伴うようなものだったから。
でも花樣年華を知った今、私はもしかすると花樣年華の方がはるかにリアルな「友情」なのではないか?と思う。
自分一人のことでいっぱいいっぱいで、本当は誰かに手を差し伸べる余裕は無い。友達は自分の気持ちは分からないし、自分だって友達のことは実はよく知らない。相手は自分にずっと何かを隠していて、一人でそれを抱え込むから話してくれない。
花樣年華 THE NOTES が全て一人称の誰かの目線のみで構成されているのは、こういうことではないだろうか。
…今回はいったんここまでで(笑)。
ここまでお読みくださりありがとうございました。
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