見出し画像

振り返れば美しくなる魔法

思い出とかいうのは、なぜか過ぎ去った地点から眺めれば美しい。つらかったり、しんどかったりした瞬間を抱えた季節でも、振り向ける程度の距離ができたとき、勝手に綺麗なものになる。ただ、その当時に「今自分、良い経験しているなあ!」なんて思って過ごすことはできない。その時はもうただ余裕なく、せわしなく、その場をどう乗り超えるか模索して過ごしているだけだ。
降り返って見たときにやっと、美しいものとなってそこに悠々と座っている。それが思い出というやつだ。

なんでいつも、「思い出」にはいつの間にか美しい塗装が施されているのだろうか。
誰がいつの間に、綺麗な色で飾ったのだろう。自分なのだろうか。それとも、「今」の自分の見る景色が灰色だから、ただ相対的に、思い出がより鮮やかに浮き出て見えるということだろうか。
なら今が鮮やかになったなら、思い出はどういう姿に変わるのだろう?

今が「最高」と感じられたら、「思い出」なんて忘れてしまうのだろう。きっと「思い出」を思い出すには、ちょっとの寂しさがなければならないんだと思う。今が完全に満たされてしまえば、多分「思い出」に用は無くなるんだろう。今が最高ならば、きっと不安げに振り返ったり、どこかをきょろきょろと見回して何かを探したりする必要が無くなるだろうから。



お読みくださりありがとうございました。
「思い出」について、私がなんとなく感じたことを書いてみたものです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?