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Bite me. × BOOGEY VOXX

覗き込んだ目はそらされる。
まっすぐに見つめても、あなたはいつもあたしの向こう側ばかり見ている。
どうして?
あなたはいつだってボクはキミの側にはいられないと、嘘にもならない嘘を吐く。
世界の終わりのように夜が更けて、遠く世界をおぼろげにしていく。
あなたは無意味な週末だったって言うかもしれないけど、あたしたちにとっては変わらない日々。
夜が明ければ朝が来て、またあたしたちを飲み込むように終末が始まる。
どんなに触れてもあなたの体温は上がらなくて、怯えるあたしを慰めるように優しく頭を撫でてくれる。
あたしが欲しいのはそんなものじゃないの。
本当はわかってるくせに。
そらされた目を何度覗き込んでも、その目に何が映っているのかあたしにはわからない。


キミの目はすごく綺麗だ。
まるでガラス玉のようにきらきらと輝き、貪欲にボクを求める。
その目を覗き込めばどこまでも吸い込まれてしまいそうになる。
わかっているから。
どうして出会ってしまったんだろう。
今まで生きてきたすべてが空白に飲まれて、それでも進もうとすれば互いに交わった点は交差していく。
永遠に定点なんて残酷な運命。
こぼした自嘲もキミは知らないフリ。
そんな目で見ないで。
求めているのは“愛”だなんて、認めたくないんだ。


あなたとだったら落ちていってもいい。
子供みたいに無邪気に笑って、じゃれるようにあなたに触れる。
あたしだけ見ててほしいの。
知らないフリで演じることなんて、たいしたことじゃないんだから。
何かを選ぶ事なんてそんなに難しいことじゃないのに。
「どうして」と問うあたしの言葉ごと塞ぐあなたの唇。
ほらこうしたって、何も悪くなんてない。
求めるようにキスして、私の熱を移して。

『大丈夫、何もこわくない』

冷めた細胞に火をつける最後のkiss。
このまま朝が来たとしても、終末を願わずにいられるだろうか。
キミがいればもしかしたら、そんな夢を見て眠れるかもしれない。
噛みつくようにキスをする。
求めていたのは愛だなんて、とっくに気付いていたから。

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