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読書コンプレックスがいつの間にか消えてなくなっていた

わたし、つい数年前まで読書コンプレックスだったんですよ。

小さい頃から進んで自分から活字を読む習慣がなくて、頑張ってライトノベル読むくらい。あとはマンガ、テレビ、ラジオのほうが好んで観たり聴いたりしておりました。

教科書に載ってる小説や現代文を授業で触れたり、大学のレポートや卒論書く時に必要に迫られて資料として本を読むくらいはなんとかしてましたね。

それに、話題の本であればドラマ化や映画化されたりもしてたから、それ観ればいいかなと当時の私はそんなことを思っとりました。

別に活字読まなくても生きてこれたんです。

けれども、社会人になってからですよ。そう簡単には行かなくなりました。

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入社して半年経ったかくらいでしょうか。今でも覚えてるんですけど、一緒に仕事してる先輩たちと雑談してて、読書とか本の話になったんです。学生の時のように上手く乗り切ってやろうと試みたんですが…1ミリも太刀打ちできず。

私以外の先輩全員が筋金入りの読書好きだってことが発覚したんです。最近読んだ本はこうで〜とか、原田マハさんの本は全部揃えてるとか、この著者の本は良いだとか、昔読んだ作品語りだとか、軽く大学生が本の話するよりも深いところまで話をして、そして聞いてる側もその良さを理解出来て共感してるという構図。

私だけが頑張って相槌打とうとしてもワイワイ盛り上がってる中、イマイチその波に乗り切れなかったんです。新人だったから上手く雑談の輪から外れることも出来ず、私に話題を振られて、映像作品は観ることを伝えてもイマイチ反応を得られず…。

初めて本を進んで読んでこなかった負い目が生まれた瞬間です。

今でもめちゃくちゃ良くしてくれてる先輩たちなんですけど、これまでの環境の違いに普通にビックリしましたね。

慣れない仕事に追われて上手く息抜きができずに会社が全てになりつつあった私にとって、私だけが違うことに敏感になってたんだろうなと今になって思います。

今の自分だったら「映像化観てないの勿体ない!!!し、原作も気になるな」くらいに思っちゃいます。けれども新人だったわたしはそれが出来ないくらい胸に突き刺さったんです。

それから仕事やそれ以外でも事ある毎に“読書してこなかった”が脳裏にチラつくんです。

必死で書いた文章を赤まみれで返ってきては「本読んでなかったからな…」て思うようになって、早とちりして間違えた解釈してると「ちゃんと本読んでこなかったら」ってそんな感じ。全然因果関係ないし、どれだけ経験積めたかやろと今では思いますがなんでも“読書してこなかった”を結びつけてました。

じゃあ本読みなよとも思いますが、仕事覚えるので手一杯で、ヘロヘロ帰宅して爆睡する生活では読む時間の確保も何を読んだらいいかの指標もなくズルズルと引きずってたワケです。

“読書”をめちゃくちゃに意識してるのに、行動に起こせないし何も変わらないと落ち込むサイクル。これが読書コンプレックスだと実感した始まりです。

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そんな日々を過ごしてましたが、ちょっとずつ転機が訪れ始めました。一冊の本が変えてくれたのですよ。

コンプレックスを感じた雑談から1年くらいたったある。社員旅行で岩手の温泉に行くことになったんです。仕事終わりに先輩たちと新幹線に乗って行くことになりまして。東京駅には時間に余裕を持って到着したので、本屋に行くことになったんです。

岩手までの長い道中、1冊買ってどこまで読めるか!と話の流れで本屋に行き、先輩たちは意気揚々となんの小説を読もうかとすぐさま熟考してました。

わたしは「こ、困った〜〜〜!」と内心思うのです。漫画だとすぐ読み終わってしまうし、小説や新書の棚をウロチョロしてもどこに手をつけていいのか分からない。

購入したのは一番最後でした。
決められなくてウロウロしてたら、一人の先輩が「これ最近読んで面白かったよ」と教えてくれた1冊にしました。

恩田陸さんの『蜜蜂と遠雷』

あるピアノコンクールを舞台に、経歴も年齢もバラバラなピアニスト4人がいろんな思いを抱えながら向き合ってピアノ演奏に望んでく姿が描かれた一冊。

ピアノを幼い頃にやってたのと『のだめカンタービレ』が好きだったので、新幹線の時間が差し迫った中えいやと買ってみました。

結果的に大正解でしたし、行きの新幹線では上巻は読み終わらなかったんですけど描かれる世界観にのめり込みました。

難しくなくそれぞれのピアニストがどんな思いでピアノコンクールに来たのか、実際の演奏はどんな感じだったのか。自分で想像するのが楽しかったんです。

繊細な描写に惹かれて、帰りの新幹線では「早く下巻買わなきゃ」になってました。日を待たずして買いに行ったのを覚えてます。


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先導する1つの光があれば、漫画でもなんでも自分の嗜好は分かってたのですから飛び込めば良かったんですよね。しかも、旅行に行く途中という普段にはない空白の時間が生まれたので、そこをきっかけにうまく利用できたのも大きかったです。

気負わず本が楽しめたきっかけを得たのが嬉しかったんですが、それだけでは終わりません。

なんと数ヵ月後に『蜜蜂と遠雷』が映画化するって知ってビックリしました。これは観にいくしかないと公開してすぐさま映画館に足を運んだのを覚えてます。

配役がまさしくわたしが読んでいた時に想像してた人物像にピッタリでした。それにいちばん難しい4人のピアノの音色。これびっくりしたんですけど、小説で想像した音そのまんまだったんです!

いや〜ビックリしました。4人それぞれの思いを背負って奏でたピアノの音だったんです。映像化したときにどうなるんじゃろとおもったら「そうそうそう!!」と頷きたくなる音だったんですね。

文庫本上下巻をギュッと映画1本でまとめるのはなかなかに難しいとは思いますが、大切にしたいそれぞれの性格とかピアノの音がピッタリだったのでわたし的には大満足な映像作品でした。

『蜜蜂と遠雷』をもって小説を読んでから映画をみるを体験できたのは大きかったですね。映画1本まとめるときにこぼれ落ちる描写を原作を予め読んとくことで自分で補完出来るんですから。

今まで原作小説ありの映像作品は、映し出されたものだけ受け取ってたんですけど、予め読んどくことでより作品に対して解像度上げて観れることを肌で実感できたんです。

中には小説だけのほうがいい人もいるかもしれません。けれども私なりな楽しみ方を見つけられたのは人生において大発見でした。


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一冊の本をきっかけに爆速で読書量が段違いに増えた!とは言い難いんですが、少しずつ手に取る回数が増えてきました。

出張でいった盛岡駅の本屋で表紙がブラインド文庫を買ったら朝井リョウさんの本だったり、美術館のお土産コーナーで先輩に「原田マハさんはいいぞ」とおすすめされて原田マハさんの『楽園のカンヴァス』を買ったり。

良い感じに良い本との出会いがあって少しずつ、“読書”とのハードルが低くなっていきました。

仕事以外の余白ができるようになって、良い出会いがあると人って変わりますね。今では先輩にオススメ聞いてみたり、SNSで紹介されてた本を気になって手に取ってみたりして行動が変わりました。

一冊の出会いが自分のこれまでの習慣といい具合にマッチしてくれたおかげで、いつの間にかコンプレックスには思わなくなりました。自分のペースで自分が楽しいと思える向き合い方で読んでいけばいいんだって。

『蜜蜂と遠雷』と出会ってなければ、読書に対して苦手意識を持ったままでしたね。
苦手意識持ったままだったら『つんドル』にも出会ってなかったですし、noteをもう一回書こうと思えてなかったと思うとびっくりですね。

今も月に1冊読めたらいいほうではあるし全然積読ありますが、自分なりに楽しめらと思ってます。

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