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ドンカ・アルシェ2~明日に向かって撃て!~
仕事を辞めてからやったこと
・朝コーヒーをゆっくり挿れて飲む
・ムーの散歩を長めにする
・庭に伸び放題になった蔦をとる
・その蔦で花壇を作る
・庭の畑を広げる
・庭木の剪定をする
・剪定した枝で鳥の憩いの場を作る
・日向ぼっこをする
・味噌を仕込む
・その他の発酵食もいつも以上に作る(酵素玄米、糠漬け、納豆、甘酒など)
・ちょっと気合を入れてレゴを作る
・ちょっと手をかけてスパイスカレーを作る
・森を歩く
・夜子供達と踊る
・焚き火をする
以前の日常が戻って来た。
古い観念
さて、公園の仕事を辞めたからね、当然ながら今は何も収入がないんだ。
貯金は30万円程かな。今の家の家賃は2万円とかなり安くしてもらっていて、食費もうちは少ないほうだと思う。
でも、その他の生活費を考えればさほど余裕はないんだよ。
というか普通に考えるとおそらく終わってるってヤツだね。
僕はなるべく古い習慣を終わりにしたいと思ったんだよ。だから”お金がないと生きれない、または大変になる”という観念の発動と、それが元になった”お金を得るために働く”っていう思考をいい加減終わりにしたいってね。
なにより、家族との時間を仕事のために簡単に諦めてしまうのはやっぱり馬鹿馬鹿しい話だと思ったからね。
おかしいと思うかもしれないけど、でもそうなんだ。
もちろん不安にはなるよ。夜なんかにはバカみたいに何度も自問したりしてね、本当に大丈夫なのか?って。
でもその度に自分の中の何かを無理やり戻して、不自然な習慣が当たり前になってしまった社会を子供達に引き継がせるのはうんざりだって思い出す。
その作業を頭の中で繰り返すわけなんだけど、疲れてくると正直何が正しいか全然わからなくなったりするんだ。
ブッチとサンダンス
そんな調子でいるもんだから先日なんてさ、図書館で借りて来た映画の「明日に向かって撃て!」をお昼ご飯の後にミキトと一緒に見たんだけど、やけに主人公の二人に感情移入いちまってね。初めて見たって訳じゃないのに、まったくまいったよ。
「明日に向かって撃て!」は50年くらい前に作られたアメリカの作品でね、銀行強盗や列車強盗を繰り返すブッチ・キャシディとサンダンス・キッド達が、強力な捜索隊の追跡から逃げ続けたり、やがて追い詰められて抵抗したりする話なんだけどね、彼らもきっと社会に適応することがどうしてもできなかったんだなあって、性懲りもなく共感していたんだよ。
そしたら横でミキトも二人の逃避行を夢中になって見守っていてね、いつもだったらレゴやトミカで遊ぶときに必ずといっていいほど警官役を好んでやりたがるんだけど、この時ばかりはどうやら強盗犯の二人を応援しているようだったんだ。
「ミキト、面白いね」
「うん」
「ミキト、一緒に盗賊になろうか」
画面の中の社会不適合者の二人の行方に固唾を吞んでる彼を見ていたら、無職な父は何か嬉しくなってきてね、それで思わず聞いてみたんだよ。もしかして興味があるかと思ってね。
そしたらミキトはちょっと本気で心配そうな顔して言ったんだ。
「お父さんお金を盗んだら、・・捕まっちゃうよ」とね。
なんだか悪いことしたと思ってさ、だからとりあえず人のモノやお金は盗まないって安心させたんだ。
そもそも考えてみたら、今のご時世いい加減にお金の価値も社会システムもすっかり変わりそうなもんだしね、お金を盗むってのは恐ろしく時代遅れというかナンセンスであるような気がしたから、盗賊団の仕事内容も転換期を迎えるのは間違いないなと思ったんだ。
であれば、何を盗むのか・・・。
「物を盗まないなら、まあいいよ」
というわけで、とりあえずミキトから盗賊団を結成する許可はもらえたんだ。何を盗むのかはおいおい考えていくことにして。
公園職員から盗賊への転職。
これからの時代の生き方を考えた時、社会の常識と積極的に間を置いて、それぐらい思い切った頭の中のパラダイムシフトがあってもいいのかもしれなませんよ、と言った感じのセリフを、今度は奥さんを説得するために用意しておこうかなあと思っているんだけど、まあそんなのどうでもいいからパスタを作ってとまた言われそうだね、きっと。
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