「アカツキらしい」人材像を考えるプロセスのなかで、 合理と非合理に向き合った話
この記事は、『アカツキ人事がハートドリブンに書く Advent Calendar 2019』※ の 19日目の記事です。 前回は ノラさんの、「株式会社アカツキに転職しました。」でした。
こんにちは。
アカツキの採用領域と、報酬・制度企画領域の2領域のマネジメントしているやざきと申します。
人材育成のコンサルティングにてキャリアをスタートして6年。
その後、グローバル全体で70万人規模の外資系IT企業の人事として3年、現在はアカツキに入社して3年半になりました。
上記のようなキャリアの僕の仕事観としては、
「目的に対して最短で到着するような合理的なプロセスが何より素晴らしい」でした。
そして、今回アカツキに入社し3年目に「新しい視点」を加えてくれたプロジェクトに今回出会いました。
今回はそのプロジェクト内容(「アカツキらしい」人材像)と、自身が得た新しい視点について記載します。
特に、『会社で「人材像」を定義しているが、それを採用や育成など人事施策に紐付けて考えられていない』と思う方にお試し頂けると、ご参考頂けるかと思います。
「アカツキらしい人材像」プロジェクトとは
本プロジェクトは、アカツキ人事内にて、チームを立ち上げ、実施した施策です。ゴール状態として、プロジェクトチーム全員が「アカツキらしさ」について理解を深め、自分の言葉で「らしさ」を語れる状態をゴールとして(結果)実施しました。
前提として、採用時に使用しているペルソナやスキルなどは、事業 / 職種 / ポジション別に定義をしています(職種や事業別にも打ち出しています)
一方、「アカツキ全体」として定義・明示している「あるべき/らしい人材像」は、存在していません。(暗黙知的にはあります)
今後どこまで言語で定義するか含めて、現時点では未定です。
そのような状況の中、ことの発端としては、人事メンバーが増えたことを
契機に、改めてアカツキの「人材マネジメントポリシーを構築しよう」という流れの中で実施。
その一環として、人材像を「アカツキ全体」として捉えた際に、まずは人事の中で「アカツキらしさとは?」を考え、言語化してみよう、というところからスタートしました。
以下がプロジェクトスタート時に、考え方やプロジェクトを定義した際の図です。
プロジェクト体制
■ プロジェクトメンバーアサイン方法
・人事の各領域(主に採用・育成・広報・制度・文化浸透
(アカツキ独自チーム)など)から本内容に「興味がある!」という
メンバーが挙手制で集い、スタート
・週1回、1時間の活動(たまに宿題/タスクあり)
■ 体制/役割
・体制
・オーナー:CHRO(Chief Human Relations Officer:最高人事責任者)
・リーダー:やざき
・メンバー:各領域から4 - 6名程度
・(ざっくりとした)役割
・オーナー:最終アウトプットに対して意思決定する +
(全力で)持論や想いを話す
・リーダー:プロジェクトが止まらず、かつ、前に進むために
できる限りのことをする
・メンバー:(全力で)持論や想いを話す
■ 具体的なリーダーとしての役割
・ミーティング中は、ファシリテーション。
また、議論内容/概念をパワーポイント等でその場で図式化したり、
ネクストアクションを明確化すること
当然ですが、上記は役割です。役職/雇用形態による上下(?)とか遠慮、
忖度もなし。また宿題やタスクについては、オーナーからメンバーまで全員で取り組みます。
プロジェクトの進め方
実は、この1年間で本プロジェクトを2回、メンバーを変更して実施しています。2回とも味わい深く、また全く異なる「アカツキらしい」人材像が出てきました。
どちらのプロジェクトも進め方が異なるので面白いのですが、多くの事業部メンバーを巻き込んだ、第2回プロジェクトでの実施方法について記載します。
第2回プロジェクトでは、事業部長、各グループ会社社長、各CxO(Chief xx Officer)、またアカツキ所属年数別、男/女、年齢別、雇用形態別など、およそ70 - 90名くらいの方にインタビュー/アンケートを実施しました。
プロセス自体は、以下全7ステップになります。
1. チームキックオフ(現状想うアカツキらしい人材とは?)
2. Interview (人事メンバー)
3. チーム内まとめ (Interview結果の振り返り)
4. Interview (事業部メンバー)
5. チーム内まとめ (Interview結果の振り返り)
6. 意見交換 (Interviewメンバー全員)
7. チーム内まとめ (全体振り返り)
見方:
・プロセス:ステップとして捉えてください
・実施内容:そのステップの中で具体的に行うことを記載しています
・備考 :実施内容における注意点やポイントをまとめています
プロジェクトの進め方①:
人事部メンバーが思う「アカツキらしい人材像」について考える
1. チームキックオフ(現状想うアカツキらしい人材とは?)
まずは、プロジェクトチーム内で「アカツキらしい人材像」について考えることにしました。
プロジェクトチームメンバー自身がどのように「らしい人材像」を現状捉えているのか、また、それは「なぜ」そのように捉えているのか?
そして、そのように捉えている背景は、何から構築されているのか?を自分の中で明確化し、共有することで自己理解/メンバー理解にも繋がります。
また、このタイミングでプロジェクトの進め方や、ルールをメンバー全員で合意しておくと、プロジェクト運営がしやすくなります。
2. Interview(人事メンバー)
次に、「人事」として多くの「人」に触れている人事メンバー自身が、
アカツキの「らしい人材像」についてどのように感じているのか?をInterviewしました。また、「らしい人材像は何ですか?」と聞くのではなく、以下のようにInterviewしています。
1. 「あなたが《一緒に働きたい人 /アカツキを一緒に作っていきたい人 /
大好きでたまらない人》など、アカツキにおける「あなたの
推しメン※」を3人選出下さい」(※ 推しメン = 推しているメンバー)
2. 「その人が持っている要素、もしくは、理由となるエピソードは
なんですか?」
3. 「アカツキをさらに良くするために、あなたの推しメンに、もう1人加え
るとしたら、どんな人物が良いと思いますか? 性格/能力、キャラクタ
など、どんな要素でも構いませんので、自由に教えてください
(架空の人物でもOK)」
理由としては、
Interviewされたその人自身がアカツキメンバーと業務/プライベートなどの
繋がりを通じ、「体験」「経験」した具体的内容から、実感値を伴った
「らしさ」を語ってほしい、というところからです。
「机上の空論」ではなく、血の通った生々しい実態、要は「具体的事例」を聞くことが、活きた「らしい人材像」に繋がると想定しました。
上記を想定し、Interviewした結果、非常に生々しい具体的なエピソードと共に「こんな風にしたらアカツキはもっと良くなると思っている」というような相手の「価値観」や「想い」にも触れることもできました。
3. チーム内まとめ (Interview結果の振り返り)
プロセス③にてプロジェクトメンバーとじっくり対話をしました。
ここでプロジェクトチーム全体で深く対話することで、プロジェクトメンバー自身の言葉に落とし込めるかどうかが決まったと思います。
また、結果のまとめとして、Interview内容を単語に分類し、word cloud
を作成しました。
プロジェクトの進め方②:
事業部メンバーが思う「アカツキらしい人材像」について考える
4. Interview(事業部メンバー)
プロセス②と同じように「アカツキらしい人物像とは?」と直接聞くのではなく、「あなたが思う推しメンは?」というテーマでインタビューをしました。対象は、アカツキ所属年数別、男/女、年齢、職種などを勘案し、幅広い属性に対して依頼しました。
(所要時間は、30分程度。一緒にランチに行き、聞くなどもあり)
5. チーム内まとめ (Interview結果の振り返り)
プロセス⑤でも、じっくりとメンバーと対話しました。また、まとめ方としてはword cloudを作成しています。
(本プロジェクトチームでは、まとめのタイミング毎に、自分自身が想う
「らしい人材像」をアップデートしました。表現や使われている言葉が
ほぼ毎回変化します)
プロジェクトの進め方③:
Interview対象者との意見交換
6. 意見交換(Interviewメンバー全員)
Interview内容の結果と、そこから滲み出てくる「価値観」や「想い」を分かち合うことを目的に、フランクに意見交換(Not 議論)できるような仕立てにしました。実施内容としては、プロセス、成果物(word cloud)を資料にて整理し共有。それぞれの「違い」を議論するのではなく、「違いがある」ということを改めて理解するようなイメージにて実施しました。
7. チーム内まとめ(全体振り返り)
プロジェクトメンバー個々人にて、自分自身が想う「らしい人材像」を
アップデート。全メンバーの成果物を分かち合った後、チームとしての成果物を「まとめ」として作成して本プロジェクトは終了です。
プロジェクトの成果①:人材像の概念
今回プロジェクトを通して、
「あるべき人材像」と「らしい人材像」は異なる、という結論に至りました。プロジェクトを通じて理解した「人材像」の定義は以下となります。
・「あるべき人材像」とは
・Vision/Missionから企業戦略や事業戦略、組織像と設計したのちに、
その戦略の中で必要とされる人材像。もしくは、当該事業戦略上での
ハイパフォーマー分析などを行なったことで導き出された人材像。
・上記プロセスから、それは「戦略上必要な人材」とも取れ、
「戦略上必要な人材 = あるべき人材像」として今回のプロジェクトの
中では捉えました。
・アカツキでは、上記については特に採用時に事業 / 職種 / ポジション別
に定義しています(あとは職種や事業別にも打ち出しています)
・「(アカツキ)らしい人材像」とは
・一方で、アカツキの「Vision/Mission」や「在り方」はそこに対する
「考え方」は特殊だなと、中にいても思っています 笑
(考え方の詳細は、アカツキHP もしくは、元規さんの著書
「ハートドリブン」のP65/P146あたりを参照してください!)
・「あるべき人材像」のプロセスをトップダウンとした場合、
ボトムアップ = メンバー一人ひとりが、人生を遂げてやりたいことや、
自己実現のために行うべきことを組織(アカツキ)にて行う場合、
必要となる要素、としています。
プロジェクトの中で生み出された概念図:
プロジェクトの成果②:プロジェクトの運営方法
プロジェクトの進め方を記述してきましたが、この進め方については、最初から決められたものではありません。
プロジェクト開始当初、リーダーとして
「プロジェクトのマイルストーンを切らなきゃ!」とか
「プロジェクトの全体タスクから、タスク分解し、メンバーに対して工数を割り当てて、、、」などを必死になって考えてました。
が、全てうまくいきませんでした 笑
なぜか?
一般的な人材像(あるべき人材像)を決めにいくのであれば、論理的な
アプローチで、必要となる要素/タスクを分解、紐付けし、確からしい「解」を導けたでしょうし、進め方も一定程度当たりをつけられ、合理的に進められたと思います。
一方で、アカツキはVision/Missionに対しても、チームや個人で考え、意志を持って動くことを求める、という企業スタンス。
プロジェクトメンバーたちも、意志を持って自律的に動く方々ばかりだったので、(良い意味で)たくさんのアイディアと意見/指摘がミーティング毎に多く出てきました 笑
プロジェクトも、そもそも「『らしい』って何だ?」というところから議論がスタート。「人材像」のイメージも千差万別。
Googleの「スマート・クリエイティブ」的なものか?、キャッチコピー的なものか? 永続的なものなのか? 「会社」として定めるものなのか?...などなど、プロジェクトスタートから文字通りプロジェクト運営は右往左往しました 笑
上記状況で苦悩している中、自分の中で一つの「解」に至りました。
「右往左往するのであれば、それも良しとしてみよう」と 笑
もちろん、単純に右往左往しても意味がないので、以下3つを決め事として、ミーティングを行いました。
1. 「チェックインを多めに実施する」
2. 「思考/考え方だけでなく、感情も話す」
3. 「会話している内容はオンタイムで全て可視化する」
1. 「チェックインを多めに実施する」
・ミーティング開始時に、チェックインを毎回実施しました。
・具体的には「現在の自分の状態や、会議に対して思っている所感を共有
する」ということを行い、会議直前までフル稼働していた頭と心を
切り替え、会議に集中してもらうことを意図して実施しました。
2.「思考/考え方だけでなく、感情も話す」
・議論をしている中で、思考/考えを聞くこと以上に、その思考/考えの
元になっている価値観/想い、感情も議論の中で聞くようにしました。
・「なぜそのように考えたのか?」をちゃんと対話することで、発言/意見
の根幹まで理解でき、そのあとの行動や議論の質が変わりました。
・また「なんかモヤモヤしている」「納得がいっていない」など、
議論中に個人の中に出てきた「感情」や「違和感」も、その場で出して
もらうことで、遺恨がなく、前のめりで施策を前に進めることができた
原動力となりました。
3. 「会話している内容はリアルタイムで全て可視化すること」
・毎回議論は白熱していました。なので、議論内容を残すだけではなく、
PCを大型モニターに接続し、リアルタイムで記載し、発言した本人も
「何を話したか?」をちゃんと目視できるようにしました。
・また、抽象的な概念の話になった際には、文字だけではなく、それを
パワーポイントを用いてその場で図解化することで、フワッとした
概念の話も理解しやすくなりました。
・さらに、議論していても目線が画面へと向き、全体の理解を促すことも
でき、議論が自然と収束に向かうことが多かったです。
ちなみに、本プロジェクトを行うまでは、ミーティング中に「感情」とか「価値観」とかを聞くなどは、個人的にありえませんでした。。
仕事だし、どんな状態でも当然「やる」し、「感情とか気持ちとかヌルいこと言ってないで、プロジェクトや施策を早く前に進めよう」とか思っているタイプでした。
一方で、今回のプロジェクトを通して、「思想や想い」が「思考」の前提にあると痛感し、それを理解してからのプロジェクト進行は、一見「非合理」であるものの、後半になるにつれ、プロジェクトメンバーの伝えたい/言いたいことへの理解も、チーム全体として早くなっていったと思います。
また、プロジェクトの進行度合いは、双方の理解と合わせて早まっていき、かつ、結果的にはプロジェクトメンバーの総意となるような「合理的な」
成果物も作成することができました。
「解を出す」ということより、プロジェクトメンバーの中にあるものを
「擦り合わせて行く」ようなイメージを持つことができたら、
私自身の気持ちも、場のファシリテートも非常に楽になりました。
最後に....
このプロジェクトを通して、「らしい人材像」への理解のみならず、
自分自身の価値観/仕事観に多大な影響を得ることができました。
このプロジェクトメンバーのみんなに対して、本当に感謝しています。
個人的には、今回の「らしい人材像」プロジェクトで議論した内容や思想/
想い、考え方などが人事の各施策と結びつき、さらにアカツキが偉大な企業になるための礎になったら嬉しいな、と思っています。
こんなイメージ ⬇︎
また、冒頭記載しましたが、『会社で「人材像」を定義しているが、それを採用や育成など人事施策に紐付けて考えられていない』と思う方にお試し頂けると、人材像に対する新しい視点や気付きがあると思います。
是非ご参考いただけると嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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【 クリスマス限定 】株式会社アカツキの人事広報部に所属するメンバーが、ハートドリブン&思いのままに綴った記事を毎日リレー形式で連載しています。
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