※ドアをガチャっとあける ※嫁が仕事している部屋?リビング? あれ? まだ仕事してたん? …大丈夫?最近あんま寝てへんやろ? …納期が迫ってるん? え…明日まで? そぉか…大変やな いつもおつかれさん ってか部屋寒いやろ? あったかくせなあかんで …って暖房つけてないやん、もぉ〜 つけといたんで あと、ほら 俺のカーディガン貸したるから 羽織っとき 風邪ひくで? 仕事も大事やけど おまえの身体が一番大事! わかった? ホットココアでも淹れてこよか? …うん、え
「おかえりなさい、ユミさん」 彼女が帰ってくるとすぐに、僕は玄関へ駆け寄った。 9個年上の彼女とは、最近同棲を始めたばかりだ。 仕事が忙しい彼女のために、僕の方が積極的に家事をこなすようにしている。 今日は肉じゃが定食を作って、彼女の帰りを待っていたところだった。 僕とユミさんは、同じ一流企業に勤めている。 …とは言っても僕はまだ入社1年目。 企画部のトップでプロジェクトリーダーを任されている彼女とは、天と地ほどの差がある。 彼女は、僕の社内研修を担当していた。 彼女の
「ふっざけんじゃねーよ!!二度と俺に近寄るな...!!」 路地裏で見知らぬ不良に絡まれた。 俺は先月、いわゆる暴走族の集団から足を洗った。 とはいえ、見た目の怖さが抜けていないせいか、時々絡んでくる輩がいる。 「クッソぉ、こんなはずじゃねーのにな...」 元々ケンカで負けたことは無かった。 多少の怪我をすることにも慣れている。 別にそれ自体は何も困らない。 だが... イライラしながら俺は、家に帰った。 小さなアパートの2階に俺たちの部屋はある。 そう、俺「たち」の
「温泉旅行に行きたい」と言ったのは彼女だった。 彼女、ミサとは8年間同棲している。 正直、お互いに倦怠期も通り過ぎて、熟年夫婦のような関係になっていた。 結婚する話も別れる話もなく、ダラダラと年月だけが過ぎて行った。 …そんなある日、彼女が急に、温泉旅行に行きたいと言い出したのだ。 昔ながらの趣ある旅館。最上階の露天風呂付き客室。 節約家の彼女が珍しく「豪華な部屋が良い」と言ったので、ここに決めたのだった。 露天風呂は絶景のオーシャンビュー。 夕日が沈む海を見ながら、ヒ