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ANTELOPE AUDIO ORION32+gen3 【機材レビューシリーズ】

ご無沙汰しております。
以前から機材レビューをやってほしいというお声をいただいているので、
手持ちの機材からプラグインに至るまで、これからたまに書いていこうと思います。

以前までの文体は我ながらどこかイラっとくるので、もう少し真面目に書いて行こうという目標ではじめて行きます。
機材は受け取り手で印象が大きく異なる場合があるので、あくまで主観です。



さて本題ですが、初回ということでまずはオーディオインターフェイスから行こうということでこのチョイスです。

外見について

機材は出音が全てですが、使いたくなる見た目、製作の意欲が湧く見た目というのは思っているよりも重要です。
個人差はあるかと思います。
さて一見してですが、よくあるシルバーもブラックもカッコイイけど、ガンメタルというのが精巧さを感じさせつつも自然にそこにあるという落ち着きを併せ持つ印象を与えます。

フロントパネルもシンプルで、必要以上に主張しない感じが気に入っています。

出音について

接続など本体機能面も気になるところですが、まずは音です。
DA、つまり主にスピーカーなどから聴こえる傾向としては高級機ということでピントがガッチリ合っていてクリアといった印象を与えるかもしれませんが、実際ピント自体はそこまで凄まじく正確かというとそうではなく、ApogeeやRMEのほうがそれには秀でています。
定位感や楽器の像を捉えるのが勝る劣るというよりは、キャラクター差といった意味合いです。
ではこれの全体的な音の傾向としては、適度にやわらかくて耳当たりがよく、奥行きを認識しやすい音です。
もうすこし具体的な言葉にしてみれば、ハイミッドなど耳に張り付く帯域はトゲトゲしい印象を与えがちですが、そこのピントが適度に散っていることでそれが和らいでいて、後ろにいるように聴こえるそれ以下の帯域などは相関を認識しやすく、空間全体を見やすい音です。

続いてAD、わかりやすいのは主にマイクなどの音ですね。
この機種はマイクプリが搭載されていないので、外部プリを使用することになりますが、WARM/WA73EQ、RND/5211を使用して録音してみるとこちらも耳当たりが良くキリキリと硬い音になりにくく、自然にハイが伸びるともいえるし、これらのプリの特性から考えると「余計なことはしていない」とも言えます。
一番わかりやすい事例として使用人口の多い10万円前後のオーディオインターフェイスでは、一部を除き良くも悪くも必要のない雑味が混ざってしまうことは茶飯事です。それが一切ないというだけでもいい!というより、それ自体は実際は非常にコストがかかることであるということは私自身使い込んでいくうち知ったことでした。
そしてそれらの価格帯で多くある問題に対する最大のメリットは
「モニタリング時との音の乖離」が非常に少ないことです。
この問題はADDAコンバーターの精度の低さが招きますが、具体的にはマイクに入れた声をヘッドホンでモニターするとき、ダイレクトモニタリングという機能を使用できる機種の場合、これはおそらくPCに送られるためにA=アナログ信号をD=デジタルへと変換するADをバイパスしてアナログのままヘッドホンへとマイクモニタを送っています。当然変換精度が低ければPCに送った音だけが音質変化した状態で録音されます。
いくら安価でもADを通る前の音は聴感上思ったよりひどく劣化はしないこと、さらに録音時のモニターというのは大きめで聴きがちのため、PCまで届いたあとの音のショボさとのギャップに苦しむことは茶飯事であり、実際に身をもって経験しました。
それがないということは、ADの性能は録音を行う上で重要度がかなり高いということになります。
しかし、多くの宅録勢、ならびにDTMerが、マイクなどを優先してこれに気付くのに遅れる理由としては、プロとの認識のずれがあります。
実際のところ、オーディオIO(インターフェイス)なんてものはそれがあって当たり前、例えるならPCがなくてどうやってDTMやるんだ、くらいの認識だと思いますので、スタジオでの雑談でもアウトボードやマイクの話に終始しがちだなという印象を受けます。
それらを断片的に捉えてなるほどマイクだ!!!いくぞ!となってしまうので、これらの機材は後回しにされがちという背景があるのではないかと思っています。

これらを踏まえて普段行っているアウトボードの接続時ですが、これも変にレンジが狭くなるだとか、そういったこともなくストレスのない音でDAADを行えるので非常に気に入っています。

コントロールについて

次にPC上でのコントロールです。
基本的なコントロールパネルの概要はANTELOPEの公式などを漁っていただくとして、
一言で言えば「柔軟」であるという印象です。
特筆すべきはルーティング性能で、これが慣れるとなかなか手放せない機能です。

(使っていないルーティングの残りかすが汚い)

このコントロールパネルで様々なことができます。
ちなみにこのパネル、ならびに音声信号はASIO上で動作していて、windows上のアプリケーションとの連動には少しコツが要ります。
windowsのオーディオデバイスとしての認識は一度に2chまでで、かつ画面上のUSB RECの1番2番しか認識しません。
したがって、この状態ではマイクを1番にルーティングしているので、例えば音声通話などで面共有など行ってもDAWやBGMなどは流れず、これしか認識しないことになります。
しかしこの1番2番へ画面上MIX CH1番(赤い帯の番号)でDAWやマイクの音をまとめ上げた状態で送ると、ループバックのようなルーティングとなるので相手へ音声を送ることができます。
同じ要領でおそらくOBSなど配信ソフトへも送ることが可能ですが、こちらはOBS ASIOを使うことでUSB REC上の任意のchを送ることができるので、そのほうが普段のルーティングを変えずにそのときだけつまむルーティングとして置いておけるので便利です。

ほかには、アナログIN OUTもUSBPLAYで鳴っている音を任意の場所へ自由に飛ばしたりできるので、DAW操作時に扱っているアウトボードをPC上で放送用にルーティングを組み替えることができたりと、自宅スタジオだけではなくPA的な使い勝手も抜群です。
この流れにさらにFPGA FXなど、内部機能との連携もすることができるので、できないことのほうが少ないといった感じです。


その他

接続面では、通常使うであろうアナログ端子は
TRS OUT x2
Dsub各 8ch x4=32ch
です。ほかにもADATだとかいろいろありますが使っていないのでレビューできずすいません。
このうちTRSとDsubを2スロット使っています。
TRSはモニターコントローラへと接続しています。
Dsubに関しては現在16chぶんも埋まってはいないのですが、挿しっぱなしだったり、5211の-6dbトリムではないノーマルアウトだったり、いろいろだらしない状態で10chくらい使ってるかなといった感じです。
スネークケーブルは最近入れてみたCordial Cables製を使用していて、無色でなかなか悪く無い感じです。
あとはインストール時に順番に気を遣うだとか、稀にコントロールパネルの接続が切れるだとかいろいろ言いたいことも無いことは無いのですが、そんなものはデジタル機器にとっては宿命のようなものなのであまり気にしていません。

総評

音、コントロール、どれをとっても優秀で使いやすいIOだという評価です。
ただ、windowsとの相性問題に直面する場面や、トラブルシューティングの難易度などに関してPCとデジタルオーディオ周りの知識が割と必要になるので、玄人向けだなぁという点も否めません。
そこをクリアさえできれば、必ずユーザーの力になってくれるカワイイやつです。
ケーブル類や周辺機器など、カスタマイズ前提なのでこれ買ったらオッケー!みたいな用途には向かないものの、RME UCXから乗り換えた経緯がかゆいところに手が届いてほしいなぁ~という理由からなので、そんな人にお勧めです。

こんなかんじでたまに怪しいレビューやって行こうと思います。
ここまで読んでくれてありがとうございました。

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