スペインでイケてる日本的な米
マドリードでも日本食を食べる。
パエリャもおいしけれど、やっぱ一定の頻度で日本食を食べる。
日本から輸入したコシヒカリみたいなのは超高級すぎて、代わりに庶民の我々は家庭では「マシな感じの日本米ぽいやつ」を食べる。
自分の場合は中国食材店で「マシな感じの日本米ぽいやつ」というのをいつも購入する。
買うときはいつも半笑いだ。
見て欲しい。
どうよ、これ。
憂いを帯びた表情のサムライは、顔の割に妙に肩幅が広い。
妙に身体に馴染んだかんじの裃的羽織物を着て立っている。
どこかサムライと町人が混じった感じがする。
彼はなぜか横を向いている。
真正面向いてこっちに視線が合うのも怖いが。
バックグラウンドは江戸の町か。おおぜいの人が行き来していますな。
サムライ、ちょっと寂しそうか。
そして、鳥居。
この鳥居。
なぜ緑か。
誰がこれを決断した?
再度写真を載せとく。
鳥居の形は、明神鳥居とよばれる形状の鳥居に近いように見えるが、細かいデザインに疑問が残る。
しかも鳥居、3つ並んでます。
この大小の感じが。遠近感が。
鳥居の先には家々が立ち並んでいる。
鳥居に続く参道はもちろん、神社どこ?
神社はないね?
さらに、この文字。
おわかりだろうか。
この米の流通に日本人は関与していないのだろう。
素人は漢字に手を出しては危険、という国際安全基準を破っているのは明白だ。
その文字の右にORIGINALって書いてあるのがまた・・・。
いや、この文字は確かにオリジナルではある。
それが「シノデ オリジナル 寿司ライス」だ。
このスペインめー、と思って裏面を見ると。
なんとイタリア産の米でした。
まぁ、スペインもイタリアも「細かいところにおおらか」なお国柄は大差ない。
ラテン的なノリでいっちゃうのか。
彼らはここになんの問題も認識していない。
スペイン人宅に行く。
「いやぁ、最近は米にもこだわってねー。やっぱ日本のスシライスはいいね。見てよ、これ。うちの米はこれ一択だよ。これが最高」
そんなことを言って、スペイン人がこの「シノデ オリジナル 寿司ライス」を見せてくる。
あー。何か言いたくなる自分をぐっと堪える。
だってうちでも「シノデ」をそこそこおいしくいただいているのだ。
だけど、普段この米を食べて久しぶりに日本の新米などを食するときなど、自分は「光っている米」「立っている米」を実感する。
日本で日本の米を食せることの幸せよ。
その幸せを実感するためにふだんから「シノデ オリジナル 寿司ライス」を食べてるんだと思いたい。
そうでしょ? そうなのですね、神様。
いくら日本食が世界で愛され、一般的になってきたところで、イタリアとスペインのおおらかな猛者たちがタッグを組めば、日本的製品のパッケージなどは、今でもこんな感じが通用している。
面白いのでもっとやってほしい。