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最強破邪呪文DAISUKI

 4歳の甥っ子が、わたしの目を真っ直ぐにみつめながら、

「あのね、あかしちゃんにお話があるの」

 って言ってきた。
 この甥っ子のことは0歳のころから知っている。
 家が近所だから、ときどき顔をみにいったり、ときには自宅で預かってわたしが少しの間だけお世話をすることもあった。
 おむつを変えたり一緒に遊んだり、ねんねさせたりもした。
 つまり、無茶苦茶に可愛い強制母性創造存在なのだ。
 いつも元気全開で手がかかりつつも様々な可愛らしい姿に何度「母乳でるわ」と思ったことか……

 そんな甥っ子が、わたしに「お話があるの」と言う。
 真っ直ぐこちらを見つめる瞳は、宝石のようにきらきらしていて吸い込まれてしまいそうだ。
 その真剣な様子にこちらまで身構えてしまう。

 わたしが「お話があるの? なぁに?」と促すと、

「あのね……ぼくね……」

 はにかみながら、一生懸命に言葉をつむぐ様子がいじらしい。

「うん。どうしたの?」

 さらに促すと、ててて、と歩み寄ってきてわたしに抱きついてきた。
 そして甥っ子はわたしの耳元で、

「……ぼくね、あかしちゃんのこと、だいすきなの」

 とささやき声で告げた。

っ……おっ……あ、えうぅぼっ……そうなんだ! ありがとう! わたしも甥っ子ちゃんのこと大好きだよ!」

 一瞬完全に頭が真っ白になり、まちがいなく魂が一旦召していたけど、もどってきて応じることができたわたしはすごい。
 はっきり言ってキュンキュンした。恋愛対象になり得る年齢なら、旦那には悪いが陥落していた可能性が高い。

 それはきっと甥っ子の言葉が無垢そのものであり、「相手を喜ばせるため」じゃなくって、シンプルに「自分がそう思ったから」出たものだったからだと思うんだよね。
 その瞳の真っ直ぐさ、言葉をつむぐ一生懸命さ、ハグからの耳元で囁くダイレクトさ。
 こんなん脳が墜ちるわ。

 いや、これは甥っ子が可愛すぎてやばいって話でも、甥っ子に恋しそうになったという話でもない。
「大好き」って言葉って、ものすっっっごく素敵だよね! という話だ。

 大人が子どもほどに無垢な言葉を発することは難しい。気遣ったり空気読んだり、いろいろ考えちゃうもんね。
 でも、誰かを「大好き」って思う気持ちはちゃんとある。

 ほんとは大人だって、「大好き」って思ったときは、相手に「大好き」って伝える。それだけでいいはずなんだ。

 わたしが「大好き」な相手は旦那だ。
 ふだんはなかなか照れくさくて、面と向かっては言えないけれど、だからこそ、好きだなぁって思ったら、なんでもない日でも、照れながらでも言ってみようと思った。

 ちょっと逆に考えてみたんだけど、家でふつうにテレビとか見てるときに、旦那が突然さ、

「あのさ、赤石ちゃん」

 って言ってきたとして、

「ん? なぁに?」
「……ん、まあ、その……」
「え、何なに? なんかあった?」
「いや-、赤石ちゃん、あの…………大好き」

 という会話があったとしたらさ、子宮が、

ギャンッッ!!

 ってなる自信があるね。

 いや、肉体的なことだけじゃなく、すっごい幸せな気持ちになると思うの。
 だからさ、「大好き」って伝えることって、

 いいことしかねぇからみんな言おうぜ!!!!

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