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つれづれ雑記 *500円玉の思い出、の話

 来月、新しい500円硬貨が出ると聞いた。
 これで3代目だということ。

 最初に500円硬貨が出たのは1982年。
 それまでは、500円は岩倉具視の肖像画のついた紙幣で、硬貨になったのは初めてのことだった。

 初代500円硬貨は、百円硬貨と同じ白銅製で側面にぐるりと500の刻印がしてあった。
 今ある他の全ての硬貨と比べて、サイズが大きく持ち重りがする。まるで記念硬貨のようだ、と当時、学生だった私は思った。

 当たり前だが、これが2枚で1000円になる。それにも感動した。
 今は1000円なんて大したことないのかもしれないが、当時の学生にとって1000円は、いや、500円でもなかなかの値打ちがあった。
 500円あれば、学食で1番高いAランチを食べてコーヒーを飲んで、なお、お釣りがあった。

 物語に出てくる銀貨のような500円硬貨を使うのがもったいなくて、お釣りで500円硬貨をもらったら財布の中に大事に残すようにしていた。
 あるときふと思った。500円硬貨2枚で1000円ということは20枚で10000円だ(当たり前だが)。そして、200枚貯めたら、なんと10万円。
 貯めてみようかとちょっと考えたが、すぐに挫折してしまった。

 私は貧乏学生で、いちおうバイトもしていたが、いつもピーピーしていた。さっきも書いたが、500円は当時の私には結構な大金だった。
 500円硬貨を毎回よけておくなんて、どだい出来るはずもなかったのだ。


 2代目の500円硬貨が出たのは、2000年のこと。現在の物がこれである。
 材質がニッケル黄銅に変わり、側面のぐるりの刻印は斜めのギザギザになった。
 ほんのり金色の黄銅が、ちょっとくすんだ金貨みたいで私は好きだった。

 その頃、小学校低学年だった3人の甥っ子のお年玉にこの500円硬貨を5枚ずつポチ袋に入れて渡してやると、その重量感とチャラチャラ鳴る音に大喜びしてくれたっけ。
 私としてもお年玉3人分の出費は少々財布に痛かったので、安く上がって助かった。

 学生時代には挫折した500円玉貯金だが、昨年の4月、100均ショップで、これいっぱいに500円硬貨を貯めたら10万円、という貯金箱(缶?)を見かけ、再チャレンジすることに決めた。

 貯金缶は入れるところはあるが(当たりまえだ)、取り出すところはない。いっぱいになったら缶切りで開けるのだ。
 
 今年になって、ずっしりと重たくなった缶を持ち上げては、そろそろいっぱいかな、もう開けてもいいだろうか、と何度も思ったが、いやいや、もう少し待とう、とその度に思いとどまった。
 先日、とうとう缶の投入口から硬貨が入らなくなった。

 ワクワクしながら缶切りで開封の儀を行ない、取り出した500円硬貨の数を数えた。
 200と7枚。
 
 やった。
 学生の頃からの念願がやっと叶った。
 
 ヘッダー写真は、缶切りで開けた貯金缶。
 嬉しくて写真を撮ってしまった。
 隣に並んでいるのは、2代目。
 味をしめて、また次も貯めるつもりなのだ。
 
 来月出る新しい500円硬貨は、バイカラー・クラッド硬貨というものらしい。
 硬貨の外縁と中心部で色が違う。外がニッケル黄銅で中心は白銅。そして内部は三層構造になっていて、内部に銅が挟み込まれているそうだ。
 500円硬貨は偽造されることが多いので、その防止のためだということ。
 
 写真では見たが、実際に実物を手に取って見るのが楽しみだ。
 そして、それを貯金缶に入れるのも。 


 ここまで書いて、ふと思った。
 この後、もっとキャッシュレス化が進んだら、こんなことも出来なくなるのだろうか。
 たくさん貯めた硬貨を入金するのにも手数料が掛かるようになるという話も聞く。
 時代の流れに文句をいうつもりはないけど、ちょっと味気ないな、などと思ってしまう。

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