さようなら、パルコ。こんにちは、○○○○

私には苦手な同僚がいる。

一歳年上の同性で、会社には私より半年前に中途で入社したらしい。真面目で大人しそうな人だな、という初対面での印象通り、仕事をする上ではとにかく目立たない人だ。打ち合わせの場でも、誰かから話しかけられない限りは言葉を発することはない。
だけど、もともと人と話すことは好きなようで、会社の人と雑談や世間話はむしろいつも楽しそうに喋っている。
話していても「当たり障りないことしか言わない人」という印象で、何を考えている人なのか、全く分からなかった。

体調不良で他の人より休みがちで、消極的な性格の同僚のフォローに入社した当初から困っていたけれど、人をあまり嫌いにならない私が「この人、無理だな」と思った瞬間をはっきりと覚えている。

今から二年前、同僚と私は、上司と一緒に会社に提出する報告書を作っていた。この報告書はネガティブなもので、詳しくは書けないが「当事者は異動済みで誰も悪くないけど、とりあえず今の部署のメンバーから事象の報告と原因、対策を報告すること」という内容のものだった。
入社前の案件で当時の事象自体がよく分からなかったので、上司と相談しながら対応したのだが、その時の打ち合わせでも同僚は「体調が悪いので…」の一言しか喋らず、あとはその場に座っているだけだった。

正午に打ち合わせが終わり、先に同僚が昼休憩に入った。その間に打ち合わせの内容を報告書に書いてしまおうと作業していたところ、昼休憩から戻ってきた同僚に話しかけられた。

「○○さん聞いてください！再来年、パルコが閉店するんですって。携帯のニュースで見ました。知っていましたか？」

私がパソコンで報告書のページを立ち上げていることに全く気づいていないのか、ありがとうでもすみませんでも報告書や打ち合わせのことには触れず、私が日常的に買い物に行っていた商業施設の話をされた。

無責任、無関心、無頓着。

この出来事をきっかけに、会社から離れた場所で話をする時は彼女のことを「パルコ」と呼ぶようになった。

その後も似たような形でたくさんの仕事を押し付けられた。別の記事で書いているが、私の夏季休暇前日にコロナに感染した同僚というのも、このパルコのことである。
意図的ではなくても、とにかくパルコにものすごく振り回された。一緒に仕事をする中でどんどん嫌いになっていった。

私は西洋占星術が好きで、自分でもある程度ホロスコープから相性が読めるのだが、占い師さんにパルコとの相性を見てもらったところ、対策として出てきた案の一つが「私から折れてあげる」だった。頑固で何事にも動じない人なので、同じ土俵には立たない方が良いとのアドバイスを受けた。

確かに仕事を押し付けられる中で何度か怒ったことがあったが、「聞く耳持たず」のスルーの態度だったので、なんとなく直接言っても無駄だなということは分かっていた。

気がつけば同僚に「パルコ」という陰のあだ名をつけてから二年以上が経ち、商業施設のほうのパルコは閉店した。
しかし私達は変わらずペアで仕事をしていた。

腐れ縁としか思えず、あまり考えると気が重くなるので、最近はなるべく自分のことに集中して過ごすようにしていた。

すると、7月から新しい人を採用する話が出て、上司から初めて採用関連の仕事を頼まれた。仕事を頼まれたタイミングがパルコが有給休暇の日だったので、上司にも何か意図があるのかもしれないな、と思いながらとりあえず仕事をした。

そして新しい人が入社してきた7月。
新人さんはお昼のお弁当を持ってきていなかったので、お昼を買う派のパルコに一緒に昼休憩に入れないか声をかけたところ、すごく嫌そうな顔をして断られた。
あーそうだった、そうだった。この人は私が入社した日、前任者にも同じように言われた時にすっごく感じの悪い態度を取ってたんだったわ。

結局、新しい人にはお昼ご飯を買ってきてもらって、私はお弁当を一緒に食べた。
そこで事態は急展開を迎える。

「新大久保いいですね！やっぱり韓国料理を食べに行かれるんですか？」
「韓国料理も食べますけど、BTSが好きで」
「⁉️⁉️⁉️⁉️⁉️⁉️」

新しい人、BTSのファンだった、、、、、、、

その日の会話、そこから詳しいことはよく覚えていない。
とりあえず即「スマホの、待ち受け、推しです！！」と片言気味でスマホのテヒョンさんを見せたことや「テテのどこが好きなんですか？」と聞かれたので「全部です！！」と咄嗟に言ってしまったことは何となく記憶にある。
(本当は「あの顔で、あの声で、あの性格なところ」が私のテヒョンさんの好きなところなんですが…！全部てｗ)

新しい人とは雇用形態が違うので全部の仕事を一緒にやってるわけではないけれど。
一人、新しい人が増えただけでも精神的には全然違う。パルコに対するどんよりとした気持ちの濃さが、今月はかなり薄まったような気がする。

ああ、バンタンとテヒョンさんにまた助けられてしまったな。
いくらお礼を言っても足りないくらい、今までの私を助けてくれて、ありがとう。