【羽根堕ち】第7話 ナイラ
数秒の沈黙。アイラが不安を覚え始めた頃、オルフェは冴星のような目でじっとアイラを見ると小さく首を振った。
『悪意あるものではない……が、こればかりは私の一存で決める訳にはいかない』
「! え……」
オルフェでは決められない。ならば誰が決めるというのだろう。両手をきつく握り締めて続く言葉を待つアイラに、オルフェは宥めるようにゆっくりと告げた。
『ナイラを喚べ』
ナイラ。幼い頃に一度聞いたきりの邪神の名。アイラの本当の系図に連なっている、破壊と創造の神。主神になるはずだった