《読書感想文》 西加奈子さんの「白いしるし」を読んで。
西加奈子。おそるべし。いや、待って。どんだけやねん!っていう心理描写。四角い大理石で頭を殴られる衝撃派だった。
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恋って本能だと思う。それって野性的なことなんだと思う。でも、傷つかないために、まずは理性的に色々頭で考えて慎重に恋のステップを踏む方もいらっしゃると思う。
私は、その考えて恋をするっていうのができなかった。多分、私が野生的なんだろう。なんていうか、ビビッと来る時は、もう太古から約束していたような感覚に細胞がなるというか。
でも、その約束をあんまり理性は把握していなくて、だから上手くなかなか会えなくて、でも会った今、よくわからないけれど、ビビっと来ちゃって。
主人公の夏目の思いと同じ。一度出会えたら、“また会いたい”、というか、“見たい”になる。
だから、そういう一文読んだとき、「めっちゃ共感やん! せやねん! 会いたいというより、見たい!」って言いながら、本を閉じ、倒れた。
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夏目が恋に落ちていくその心情を読みながら、共感の嵐すぎて、私はもはや、己の想像の中で主人公の夏目と親友になり、「せやろ! なあ! 恋って、あれなんなん? なあ! あれ、アカンやろ!」と酒を交わしておしゃべりを何度もした。
更に読み続けると、
「せやねん! 運命の相手に会うとなんだか、これは、なんだ? になるねん。なにかが開放されて自由になるねん。ほんまの自分が戻るっていうか! なあ! ほんで、その感覚なんなん?!ってなるんよね。「これは、なんだ?」。英語で言うと「What's this?」。お母ちゃんから、こんなもんがあるなんて教わらなかったで!?という驚きと共に、なぜ、みんなそんなに好きにすぐなって、別れて、忘れられるの? はあ? っていうのもあるよなあ!」
などと、共感の嵐すぎて、途中で気づいた。もはや、主人公の夏目は私だ。
「白いしるし」を読み終えて、私は2,3日ぼうーっとした。もう、なにがなんだか。こんなに共感するって……。もう、なにがなんだか……。
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まっすぐにただ好きだという湧き上がる想いは、たぶん、芸術家の湧き上がる情熱に似ている。譲れないにそれに翻弄される夏目。
過去の恋からの傷、色々背負った大人の今、恋の予感。その恋には途方も無い喜びも悲しみもあるとわかっていた。だから、アカン、と思ってた。でも、それから逃げれない夏目。
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せやねん。恋って逃げれへん。だから怖いねん。でも、やっぱり自由を得るんよね。会わなくてはいけない人やったんよ。
せやろ、夏目~~っ!
というわけで、大好きな恋愛小説。いや、本当に、好き過ぎる。ああ。おそるべし、西加奈子。
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西加奈子さんに、もし会えたら、「夏目は私です!」と握手して頂いた際に全力で伝えようと思っている。待てよ。もしくは、「夏目は、私の親友です!」が、いいだろうか。
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