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手段としての起業

起業を思い立つのにもいろいろな発意があろうかと思います。
「なんで、起業するの?」
との問いに対する答えです。

それほど多くの社長さんとお会いしてきたわけではありませんが、いろいろな思いで起業もしくは会社を継いでいらっしゃいました。
この思いに論理的な優劣はないと思いますが、生存確率に関しては差があるかなと思います。

起業の出発点として、私が思うところの生存確率が高いのは、
「起業家自身がなし得たい結果を生むために、手段として会社を用意する」
みたいな心意気ではないかと思います。
時々、「一国一城の主になりたい!!」などの力の入った思いの方もいらっしゃいますが、私にはちょっと理解出来ない心持ちです。
正直な所、経営者なんかになってしまいますと、勤め人とは桁違いにあちらに気配りしないと生存できないので、意外と割の悪いポジションかと思います。

で、私が起業するに至った理由は前述したような、きれいな流れでは全然無くて、なかなかに情けない事情で起業した次第です。

勤め人の限界

起業する前に勤めた2つの会社では、割と自由にさせていただき、経営に近いところで仕事をしていました。自分自身の興味関心や能力と釣り合っている仕事をしている限りは何ら問題ないのですが、それとずれることもやらないとならないときがあります。勤め人だったら当然ですよね。
これが、「嫌い」くらいの仕事であれば良いのですが、自身が持っているリソース(主に時間的)以上の仕事が振ってくることが間々ありました。こうした過負荷が掛かったときに、驚くほど業務能率というか精度が落ちました。ほぼ自信喪失するレベルで。
このような仕事を断る方法もあったのでしょうが、雇用契約を結んでいる限り、こちらには仕事を断る自由は無いものと考えていました。実際に見たことも経験したことも無いですが、欧米の様に職務分掌が明確になっている雇用契約であれば、その契約からずれている事は断れるでしょうし、もともと自身の限界を超える契約は結ばないですし。
私の雇用契約も、日本では一般的な、仕事の範囲が全然不明瞭なものでしたので、基本的には振ってきた仕事には向きあうしかないですよね。

こんな経験があり、自分自身の仕事観と勤め人でいることに整合性がとれなくなってきて、いよいよ自力で仕事をしていくしかないかな、と思い始めたところが起業のきっかけです。

何で商売する?

商売に必要な要素は売るものとそれを買ってくれる方です。
当たり前ですね。
私の場合は、これまでにやって来た仕事の延長線で起業することを考えました。本業が設計屋ですので、自分自身が生産材となり特に大きな設備投資は要りません。これは起業のハードルを一気に下げてくれる事です。
買ってくれる方へのアプローチは難しいです。これまでやって来た仕事で知り合った方々は、元々それらの会社と取引がある訳で、新参者の競合から仕事を買ってくれる保証はありません。ここはホントに怖い所でした。
また、これまでやって来た仕事の延長線で起業するというのは、既に存在する市場で既に存在する商材を売ることですから、生まれた瞬間から競合が要る状態です。オマケにその競合はどこの誰だか知っている状態でして、あまり爽やかな状況ではないですね。
ただ、売るものを作る能力に関しては、ある一定水準以上の可能性が読めるので、これから関係を持つさまざまな方々には説明がしやすく、納得も得やすいです。ゼロから会社を作ろうとすると、この辺は意外と大事だったりします。

やっぱりリスクは高いです

結果として、起業してそれなりに商売をさせてもらいましたが、無事に過ごせた今から振り返っても、やっぱり起業はリスクが高いです。
もう一回やるかどうかは分かりません。働き易い場があるのであればそこで働かせてもらうことも、十二分に幸福だと思います。
まだまだ金利も安く、お金も借りやすくて、行政側からもいろいろなサポートもあったりして、起業はしやすいかと思いますが、最終的な責任はその資本を出して経営する本人に全て掛かってくるので、どうしても人生を賭けるくらいの行動になってきます。
タイトルに「手段として」と記したのは、普通に会社で働くなどの手段と並べて検討する働き方の一つして起業があると考えての事です。


私自身が起業に至ったきっかけについて書きました。
なんだか情けない形での起業でしたが、これも一つの起業の形かと思います。もし、起業を考えている方の参考にでもなったら、ものすごく嬉しいです。

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