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依存症病棟

私の二ヶ月に及ぶ入院は、依存症病棟での寝泊まりだった。


私自身の病気は依存症ではないが、依存症に力を入れている病院であることと、個室がたまたまそこしか空いていなかったことでこうなった。

でもこれは、今思えばよかったのかもしれない。

アディクションの患者さんは、うつ病や他の精神疾患に比べて元気だ。

暇をもて余してはロビーに出て来てお喋りしていたり、夜中にカップラーメンを作って看護師さんに呆れられながら食べていたりする。

言われなければ、精神病棟に入院する患者には見えない人たちが多かった。

だからこそ、私も必要以上に落ちなくて済んだのだと思う。


私は一度、ちょうど一年ほど前、入院に失敗している。

他の病院で任意入院をし、人間ではないような扱いを受け、三日目に文字通り逃げ出した。

捕まって引きずり戻されたが、断固入院は継続しないと言い張ってそのまま無理やり退院した。


だから今回の入院も、本当は怖かったのだ。

結果的に、今回の入院では、人間を辞めそうになっていた私を人間に戻してもらった。

看護師さんたちは適当な距離感を保ってくれた。

週に一度の主治医の診察も、ちょうどいい間隔だった。

シャワーを毎日使えるのも助かった。
私は具合が悪くても、お風呂に入れないと気持ち悪い。
前の病院のように週に二度の大浴場での入浴とか、決まった時間にみんなで入らなければならないのは、刑務所みたいで嫌だった。

他の人とのコミュニケーションを強制されないのもありがたかった。


二ヶ月のうち、前半の一ヶ月は具合が悪すぎて、具合が悪かった記憶しかないが、元気になってからは暇をもて余してしまって退院したくて仕方なくなっていって、晴れて退院となった。


退院してからの不安がないわけではない。

でも入院していてもこれ以上なにか変わることはないかなと思ったので、退院する。

通院しながら、また少しずつ前を向いて動けるようになっていけたらいい。



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