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『D.P.』キム・ボトン作家インタビュー

 遂にNetflix ドラマ『D.P.ー脱走兵追跡官ー』が公開されました!
 ドラマ視聴後、原作漫画を描かれたキム・ボトン作家の作品ドラマ化作決定当時(2020年7月18日)に公開されたインタビュー記事を読み返し、改めてこの作品が一人でも多くの方に届いてほしいと強く感じました。ここにささやかだけれどその和訳を掲載することで、それがまた、誰かにとって作品を視聴したり、もう一度見返したりするための小さなきっかけの一つになればいいな…

(※翻訳文は、韓国語が全く話せない私が、翻訳機能を用いてできる限りスムーズな日本語文で読みたいと試行錯誤したものです。細かいニュアンスが知りたい方は、是非原文も合わせてご覧ください)

【キム·ジョンユのWeb漫画を暴く】
「無関心が現実を幇助する、軍隊はもっと変わることができる」

(イーデイリー:2020.7.18)

ーレジン『DP犬の日』キム·ボトン作家インタビュー①
ー来年Netflixドラマで再誕生、軍隊の現実に直撃

ー無関心は現実を変えられない、常に鋭敏に眺めるべきだ
ーDPでの経験を生かして企画、「現実を変える一助に」

レジンエンターテイメント(※以下レジン)の人気Web漫画『DP犬の日』がNetflixでドラマに生まれ変わる。 2015年に連載を始めた『DP犬の日』は、現在までで累計約1000万ビューを記録している人気作だ。 「脱走兵を捕まえる軍人」という独特なモチーフを用いて、社会批判的なテーマを扱う。 キム·ボトン作家は『DP犬の日』を通じて軍隊から脱走する青年たちの悩みを描いた。 変わりながらも、依然として変わらない社会の姿を迂回的に描き出した。 『イーデイリー』はレジンで行われた作家キム·ボトン氏のインタビューを紹介し、Netflixでドラマ化される『DP犬の日』に対する彼の考えを聞いてみた。

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(写真=レジンエンターテインメント)

◇レジン『DP犬の日』キム·ボトン作家

△『DP犬の日』がNetflixでドラマに生まれ変わる。 感想はどうか?
ー 戸惑っています。 みんな正気か? Netflixもレジンも監督も俳優たちもみんな正気かな? みんな何か勘違いしているのではないかと思うほどです。 でも、みんな確信があるからするんですよね?(笑)私は正直企画が進行している間にも途中で頓挫してしまうと確信していました。 正気でない人が1人はいるのだろうと思っていましたが、契約からキャスティングまで信じられないほど早いペースで進められたので、本当に驚きました。 私にとって本当に大きな幸運です。

△Netflixドラマ『DP犬の日』はどんな点に注目して視聴すれば良いか?
ー最初は俳優さんたちに集中して観ていただければ良いです。(笑)そうするうちに自然にキャラクターや脱走兵というモチーフに目が行くでしょう。 こんな風によく言われます。 「以前の軍隊はそうだったとして、今時そんな苛酷な行為がどこにあるんだ?」 しかし、まだ軍隊には苛酷な行為があるんです。 その形だけが変わっているんです。 かつては平手打ちで殴り、野球バットで殴っていたのが、最近は集団いじめに変わっているといった具合です。 脱走兵が1/5に減り自殺者が減っているとは言うものの、いまだにそのような現状が存在しているという事実に焦点を当てなければなりません。

 まだ脱走兵が出ているという事実に、我々は痛烈な責任感を感じなければなりません。 『D.P犬の日』連載中にもいつまで軍隊の話をしているのかという話を多く聞きました。 しかし、連載中にも絶えず脱走兵が出ており、自殺者が出ていました。 来年『DP犬の日』がNetflixでドラマ化されても「まだ軍隊の話をするの? 最近の子どもたちには関係ない、私たちの頃の話だよ」という反応はまだあるでしょう。 このような無関心が変わらない現実を作ると思います。 私たちは常に鋭敏に反応しなければなりません。 脱走や自殺がまるで初めて起きたかのように。 鋭敏に見つめて鋭敏に対応しなければなりません。 ドラマで『DP犬の日』に出会うことで、軍の人権について一度考えてみるきっかけになればと思います。

△「脱走兵を捕まえる軍人」という視線が非常に新しい。どのようにして企画することになったのか?
ー私がDP兵(脱走兵を捕まえる軍人)だったからです。 当時は後で作品のモチーフとして使うことになると考えたことは一度もありませんでした。 脱走兵は全部で20人ぐらい捕まえたでしょうか。 多く捕まえたことで、逮捕の優秀事例として表彰されたりもしました。 DP兵は選出する際、通常は家庭に余裕のある友人が選ばれていたんです。 活動費も出ることは出ますが、それではカバーができないため私費を使わなければならなかったからです。 しかし、すぐ上の代のDPは家庭に余裕のある友人だったのですが、8ヵ月間脱走兵を逮捕できなかったんです。 それで今度は「部隊で一番貧しい子供たちを選んでみよう」となり、それがまさに私でした。(笑)そうして、私と私の次に家庭が苦しい友達とDP兵生活をすることになったんです。
  
 活動費として使う旅費がないので必死になって逮捕するしかありませんでした。 漫画の内容とほとんど似ています。 異なる点は『DP犬の日』はノワールジャンルでしたが実際にはトゥー・カップス(※1)だったってことでしょうか?(笑)バカ2人風呂に入ることもできず、ひげも長くて服もヨレヨレさせていた当時を思い出すと、すごく哀れで笑えます。 実際の経験のように面白いキャラクターに描きたかったんですが、軍の問題を軽く受け取られてしまうような気がして、今の暗いキャラクターに修正しました。
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※新作を準備しているキム·ボトン作家(写真=レジンエンターテインメント)


△『DP犬の日』を執筆する中で、最も愛着の強い人物はいたか?
ーみんな愛着がありますが、一番愛着のあるキャラクターは軍曹です。 軍務離脱担当官中士パク·ボムグ。 この人がある意味「真の主人公」です。 シーズン1では、その話をあまり解決できませんでした。 新聞とweb漫画プラットホームで同時に連載を進めていたので、どうしてもこの人物について扱う時間がありませんでした。 残念です。 来年「D.P犬の日」シーズン2を扱うときは、このキャラクターについての話をたくさんしようと思っています。 心の中が分からない人物です。

△「軍隊は変わるのか?」という脱走兵の質問に主人公が「変わります」と言う。本当に軍隊は変わると思うか?
ー見てください。もう変わったでしょう。 実は漫画を描く時は、軍隊は変わらないと思っていました。 ところが本当に多くのことがすぐに変わりました。 もちろん今も、これからももっと変わらなければならないと思います。 劇中で朝鮮戦争の時に使っていた水筒をまだ使っているという場面が出てきます。 今は誰かの建議を通じて新しい水筒に変わったそうです。 誰が私の漫画を見てくださったのかわかりませんが、その回が出た後、偶然にも水筒関連の議論が行われたと聞いています。 こんな風に変化はずっと続いていくべきだと思います。

 軍隊は変わらないと諦めた瞬間、もうこれ以上変化することはできないでしょう。 さらに良くなるはずだ、引き続き変わることができると肯定的な理想を持って、現実的に批判し、責任を問う過程で変化が始まると思います。 質問に対する答えは依然として有効です。 まだもっと(軍隊は)変えることができるかですって? はい、できます。そしてもっと変えていかなければなりません。

△最終話で「もうあなたは目撃者だ!」と幕を閉じるのが印象深かった。 どんなメッセージを伝えたかったのか?
ー元々の原稿では「あなたも共犯だよ」でした。 目撃者ではなく共犯。 しかし、あまりにも強い感じがしたので目撃者に修正しました。 「あなたは事件に関与しなかったって? オーケー。それならこれ以上傍観はするな」と言いたかったんです。 これからずっと行動をしない目撃者として生きるのか、それとも今からでも現実を変えるために行動することを選んで生きるのか、という意味を込めた質問を投げかけたのです。

△キム作家にとって『DP犬の日』はどのような意味を持つ過去作品になるのか?
ーまだ終わっていない作品?(笑)来年Netflixでのドラマ放映の時期に合わせてシーズン2の連載を始める予定です。 お待ち頂いた読者の皆様に感謝申し上げます。 また、『DP犬の日』を通じて、軍隊の変化に私が少しでも貢献していただろうかと考えます。 実際にも連載中に陸軍や国防部でもこの漫画が読まれていたと聞きました。 軍隊の現実を感じてみるためですね。 実は『D.P犬の日』が説明される際に、兵役を控えている人々、兵役済みの人々、女性、皆のために描かれた人生漫画だと言われますが、私はそのようには思っていません。私がこの漫画を一番読んでほしかったのは軍幹部たちです。 すべての幹部たちに必ず読んでほしいです。

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※『DP犬の日』単行本(写真=レジンエンタテインメント)

(※1…おそらく2017年に韓国で放映されたチンピラ詐欺師の魂が憑依した熱血刑事と、クールな社会部記者とのバディやファンタジー、ロマンス、コメディーを盛り込んだ犯罪捜査ドラマ『トゥーカップス』のこと……?チョジョンソク、キムソノ、Girl's Dayのヘリが出演)





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