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【まんが】BEASTARS第11話は、再読でここが味変?「本当は怖い信仰グセ」

第11話:「ルイ先輩の苦悩が明かされてくる」回。

ルイ先輩は、完全無欠のミスターパーフェクトであることを己に課しています。なのに、左脚に包帯。自分で着々と築き上げてきて、今後もさらに磨き上げていくつもりの「アカシカのルイ」像と現実の自分とのギャップを、このケガで突き付けられ、歯噛みして煩悶。自分Aと自分A´(ダッシュ)の差異だけでもこんなに苦しんでいるのに、そこへ、見るからに強そうなレゴシの爪が視界に入ってくるに至り、イラ立ちが頂点に達し、逆ギレ。

そんなこの場面ですが、ふつうに考えれば、
“ただでさえ普段から口の悪い部活の先輩が、部活にとって大事な時期にケガなんかしちゃったから、強すぎる責任感で気持ち不安定になって、後輩部員の中でも大人しいタイプの俺に八つ当たりで怒鳴ってきた。”
という見方が妥当な場面。むしろ、
“忘れてあげよう。なかったことにしてあげよう。”
となっても全然いいシチュエーションです。

なのに、この時に投げつけられた言葉が、レゴシには呪いのように刻印され、それでこの先、あんなことになったり、そんなことになったりし、いずれあんなことに…。(まだ11巻までしか読んでないので、その先のことは知らなくて書いてますけど。)

しかも、部活の先輩に逆ギレされたレゴシのリアクション回答「俺はこそこそしなきゃいけないんです」(あ、とうとう引用しちゃった)も、かなり意味深です。
とはいえ、てっきり、“非捕食者側に対し、自分はオオカミで捕食者側、でも共存を望んでる → こそこそしなきゃ” の意だと聞こえる。

ただ生きてそこにいるだけでも他者にとって脅威になり得る自分。しかし脅かすのは本意でない。なら、自らの存在の気配をひたすら消し、身を潜めるしかない。コソコソと。まあこの段階ではその読みで充分なんだけど、振り返り再読の視点からは、「うおお、それだけじゃなかったんだ…」と手が震えます。

己の存在自体を、まるで忌まわしいもののように感じながら生きている17歳。
重い。17歳にして重すぎる。中等部からの学園生活をずっとそうして送ってきたかと思うと遣る瀬無い。
ただ、どっちにしてもレゴシくん、自分を戒め過ぎ。もっと高校生活を普通に楽しんで…。(feat. 7巻59話)

そして、そんな中で見逃せないのが、レゴシによる「ルイ先輩の強さ」願望です。
読み直しの視点なので、先走って言ってしまいますが、7巻59話で、別件に関してアオバから指摘されちゃうことに近い状況が、ここですでに1件発生。ルイ先輩の強さに対する、部活の一後輩レゴシの受け止め方は尋常じゃない。単なる、“部活の上級生に対する敬意”だの、“生徒たちの注目を一身に集める学園ヒーローへの期待”だののレベルをとっくに超え、ほとんど己への福音と見做している気配…。己の存在への救い・赦しを見出してしまっている。ああ、心配。

演劇部内がこんなに重たい11話。かたや学園新聞づくりに励む広報部では、部長のリーダーシップはまるで色が違う。
演劇部、肩の力もうちょっと抜いて~。
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