【まんが】BEASTARS第5巻と第11巻。呼応する「夏の陣」と「冬の陣」の対比

3巻で裏市が登場し、社会のひずみと否応なく対面。大人って何だよ…って、こじらせも発動。
物語はエンジンが十分にあったまり、4巻からは本格的にトップスピードに乗って走り出します。ここから山あり谷ありの悪路に向かい、やっと一息つけるかと思った途端にまた危険地帯に突っ込んだりと、11巻までの大きなうねりへと向かい始めます。ますます盛り上がっていきます。

となりゃ、もちろん各話とも言いたいことは山ほどありますが、それは初見の興奮。キリがないので、自分に規制をかけ、初見と読み直しで印象が変わる点に絞ろうと試みております。
そうすると、この辺りから折り返し地点の11巻までは、ひと連なりの大きな塊ともいえ（この「隕石祭」編はじめ、幾つかのブロック分けはありますが）、どこかのシーンが初見と読み直しでガラッと印象を変えてくるようなことが、もしあるなら、全22巻までを完走したあとの目線なのかも。

なので、一足飛びですが、一気に11巻までぴょーんと飛びまして、
・5巻「蒸し暑かった、あの夏の戦い」（第39話～第41話）と、
・11巻「吐く息も白い大晦日・冬の戦い」（第90話～第97話）の
対比をおさらいして、前半戦（全22巻のうち11巻まで）を締めたいと思います。

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対比をするのにネタバレ要素を省こうとするのはさすがに困難で、もう諦めちゃいますけど、シシ組に「飛び込む」きっかけになった戦いと、「飛び出す」きっかけになった戦いでもある。それも、もうすでに対になってる感じですが、以下3つの対比です。

1）
強い強いライオンが草食獣に襲いかかる寸前、間一髪で飛び込んできたものの衝撃でガラスが割れ、その破片が飛び散る光景をスローモーションのように見つめた草食獣は、

・あの夏の闘いの時は、ハル。
・この冬の闘いの時には、ルイ。

2）
その草食獣の身体を覆って守るために、急遽あり合わせで使った布は、

・あの夏の闘いの時は、レゴシの夏服ポロシャツの学園制服。
　（ただし、汗臭かったかも？）
・この冬の闘いの時は、レゴシがジャージの下に着てた白Tシャツ。
　（ただし、汚ったねーかったかも？）

3）
レゴシの牙と爪の強さへの自己認識と宣言。

・あの夏の闘いの時は、それまで持て余していた己の肉食獣特有の身体的特徴を、“ハルちゃんを守るためにあるんだ”と、生まれて初めて肯定的に受け入れられた。
ただし、あくまで心の中で、自分自身への宣言。

・この冬の闘いの時には、“大切なものを守るためにある”と、言葉に出して宣言。満月の下で、いわば世界への宣言。

この「大切なもの」は、シーンの流れからすると「草食獣（肉食獣である自分とは違う立場にいる、草食獣）」を指しているようでありつつ、前の巻の83話の見開きコマでの宣言を踏まえての流れでもあるので、「肉食獣（しかもあるいは法を犯したり、それによって精神を病み、ジャンキーと化した者さえ）も含め」ている。目の前の相手を含めて、「大切」であり、「一匹たりとも不幸にはさせない」の誓いの再宣言。

夏にはじまったものが、冬へとつながって、ひとつの結実へ至った印象があります。

他にも何か、見逃してる対比、あるかもですけど、ひとまず。

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さて、4巻～11巻は、2匹の距離がようやく少しずつ近づいたかと思ったら離れたりと（さながら「逃げ恥」の平匡さんとみくりさんの如く）恋パートがじれったくて悶絶したり、7巻終わりでジャックに共鳴して「そうだそうだ！」と泣き叫びそうになったり、大人や社会に絶望しかけたけど、器の大きな強い大人の存在を知って心強かったり、放課後に校外学習したり、それで疲れて授業中に居眠りしたり慌ててテスト勉強したり、読者も食育を学んだり、ザ・部活も沁みたり、あのオスの忠誠心が見えてくればくるほどフラグが辛くてたまらなくなったり、11巻までの道のりはいろいろ満載です。

ごはんはちゃんと食べなきゃね…。（自戒もこめて）

次の12巻、早く読みたい。読みたいけど、この先の展開を知るのがツライ…。という二律背反で、一旦クールダウンしようと第1巻から復習しなおし、ガス抜きのためにこんな投稿をしていましたが、いよいよ、続きを、よ、読むかな…。

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