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ずっと私を見守る「彼女」の話。(人格紹介)

「彼女」はずっと私の脳内にいました。
そう、一番最初の記憶から彼女がいるのは当たり前でした。

今日は解離性同一性障害の話です。

精神疾患の話とはいえ、そんな深く捉えずに、あなたの眠れない夜の面白い話になれたらいいな。
今まで書いた解離の記事すべてにいえることだけど。

解離性同一性障害とは、ざっくりいえば多重人格のことです。
詳しく知りたい人は下記の記事をお読みください。




物心ついたときには、すでに私の中には現実とは別の部屋があり、そこに彼女がいました。

彼女の名前は詩織。

当時は名前がなかったけれど。

幼稚園の頃だったか。とにかく、最古の記憶にはすでに詩織が存在していました。

オレンジ色のセミロングの髪を下の方で二つ結びにした女の子で、私より気が強く、しっかり者の女の子の姿。
サロペットを着ている姿で部屋に現れては、私たちの心の声に相槌を打ったり、助言したりしてくれる頼もしい子です。

彼女、と表現したけれど、中性的で、性別がないのかも?
だけれどここではとりあえず彼女と表現します。

彼女が唯一、ずっと自覚のある別人格の存在でした。


別人格とはいっても、人格交代をする存在ではありませんでした。
少なくとも私の記憶の範囲では、の話です。知らないあいだに交代していることもあったかもしれません。

ただ部屋から相槌をするような存在。(たぶん)

交代人格というよりイマジナリーフレンド的な何かだとずっと思っていました。

頭の中のちょっと頼りになる「友達」や「お姉さん」みたいな存在。
見た目の年齢は初めて現れたときと変わっていないので、今では私のほうがどう考えても年上に見える容姿をしていますが、私にとってはお姉さんという感覚があります。

他の交代人格も詩織の存在だけは知っていたようで、それぞれ詩織について、なんか面白い幻覚が見えるなあ、とか、現実世界のみんな言わないだけでこういう存在があってこれが普通なんじゃないかと思い込んでいたりとか、していたようです。
物心ついたころから彼女がいる生活だったわけで、そうなりますよね。

今となっては、交代人格の誰か、私も含めて誰か、これもしかして多重人格じゃない?って気づいてよ!って思うんですけど。
なんでしょうね、交代人格誰一人とも詩織の存在も部屋の存在もおかしいと思わなかったんですよね。
別の支配力のある人格が気づかないようにさせていたのかもしれません。
そのあたりの真相は謎。


詩織は常に表にいる人格のそばにいて、詩織がいる部屋も私たちは常に見えていて、その部屋と現実に「私」は同時に存在している状態でした。

詩織からも現実世界の様子は見えているみたい。

今もたぶん、この記事を書いていることを詩織は知っていると思います。


たとえば。

今日は何着ようかな? とか
今日のお昼ごはんどうする? とか
なんか今日は昔の嫌なこと思い出すなーとか

そういう些細なことを心の中で私がぼやいていると、時々詩織が口出ししてきます。

この間洗っておいたあの服を着たら? とか
この間買ってた冷凍うどんにしたら? とか
前より嫌な記憶が出てくるの減ったよね とか

本当にただ普通の日常会話をしています。

誰かとルームシェアしながら生きている感じ。リアルでのルームシェアの経験は私はないんですけども。


創作活動でも詩織は大変頼りになる存在です。

このアイデアはどうかな?と聞けば、悪くないんじゃない?など感想をくれるし、
作業の集中力切れたーっ!といえば、もう少しがんばりなって返ってきたりします。

もう創作なんてできないかもしれない!うわああ!と泣きつけば、単に今行動してないだけじゃない、手を動かしなと喝を入れてきたり。

途中で、おお、いいじゃん。と口をはさんだり。

何か完成すれば、おめでとう!と祝ってくれます。

私は幼稚園のころからさまざまなジャンルをまたぎながら常に何かしらの創作活動、芸術活動をしているのですが、それは詩織の支えのおかげも大きいです。

詩織はちょっと厳しいことも言うけれど、私を奮い立たせてくれる存在です。


そうやって彼女はずっと私を、私たちを見守っています。


彼女に「詩織」と名前がついたのは、6年ほど前。

色々あって、私たちが詩織以外の別人格を初めてそれぞれが認識できるようになった日のこと。

ここまで色々な人格がいるとしたら、それぞれに名前とかつけておかないと不便すぎる!やってられっかー!と思って。
脳内の部屋で姿が見える人格には私が名前をつけていくのでよろしく!と私が宣言したことがありました。

そしてまずは名前のなかったその彼女を詩織にしよう、と、決めました。

名前の由来としては、歌詞のイマジネーションは詩織によるものが大きいのが一番。
詞、詩において詩織は欠かせない存在だから。

そして私たちの本名の候補として、この体が生まれるときに母親が候補に挙げていた名前に「詩織」があったから。もしかしたら私の本名は詩織になっていた可能性があったから、です。
もしもの私、第二の私の意味を込めて。

もう名前をつけてからずいぶん経つので、詩織の名前もすっかり定着して、私以外の人格もみんな詩織と呼んでいるみたいです。

私もなんだかずっと昔から詩織は詩織という名前だった気すらしています。名前ってそういう力がありますよね。


最近だと、解離の度合いが弱い時には、詩織を丸一日以上見かけないこともあります。
常に脳内で詩織の声がしていたのが長いこと私の普通だったので、なんだか静かで不思議。

それでも詩織は大切な存在には変わりありません。

詩織は私の精神疾患が見せる幻であるとしても、もう私が生まれてからずっと一緒に暮らしてきた存在なので。30年以上人生をともにしているわけです。

私たちだけしか知らない、特別な家族みたい。

もしかしたら詩織はいつかいなくなってしまうのかもしれないし、そうではないのかもしれないし、わからないけど。

彼女がいたから今までの人生と今の私たちがいます。




詩織のイメージして描いた動画絵の曲を貼って、今日は終わりにします。
お時間あれば聴いていってくださいね。


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