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彼には彼女がいるからやめておく

土曜日、目黒駅のホームで女子中学生とおぼしき2人の会話が耳に飛び込んできた。

女子A「あの人には、彼女がいるみたいだから、やめておく」
女子B「それは道徳的な問題なの?それとも自分に自信がないからあきらめるってことなの?」

予期せず、心がピクっと反応した。
女子Bちゃん、なかなか本質的な問いを投げるね、まるでマイケル・サンデル教授の『これからの「正義」の話をしよう』みたいじゃないか!

「他人が決めた正義(道徳)と、自分で決めた正義どちらを選択するのか?」

そんな壮大なことを女子Bちゃんが投げかけたわけじゃないと思うけど、なかなか深い問いであるのは確かな気がする。中学生なのに、いや、中学生だからなのか?

とても印象に残り思わずfacebookに投稿して、皆さんからのコメントからもさらに考えた。

もっともらしい理由を求める自分

たまたま「恋愛」のネタだったけど、「人生において、何かを選択する時や、諦める時ほど、“もっともらしい理由” が必要」って意外と多いのかも、と。

新しいことに挑戦したいけど、本当は怖い、自信がない、でもそれを言いたくない、知られたくない。
踏み出す勇気がないから、誰かに止めて欲しい。
本当は欲しいし、諦めたくないけど、今の自分にはそれを手に入れる自信がない。

「○○だから、それを選ばないことにしたの」
「○○だから、迷っているの、ねえどう思う?」

そんな前提をおいて話をして、

「わがままを通さず偉いね」
「いまは、無理しなくていいんじゃないかな」
「君がそう思ったなら、それが正解だと思うよ」

と、親しい関係の人に言ってもらう。

そして、少しチクっとした痛みや、残念な感情をともないつつ、自分の中に「諦める理由」や「納得する理由」を作ったり探したりする。

たぶん、意識、無意識問わず。

常に踏み出すことを前提に生きている人からみると「は?なんで、そこで踏みとどまるの?」となるだろうけど…。

うそと、ほんとはよく似てる。

ほんとの中にうそを探せ。

グズグズ考えながら、女子Aちゃんと女子Bちゃんには、伝えたいことがある。

「あのね。本当の理由は“自信がない”かもしれないけど、道徳的な問題を理由にしておきたいこともあるんだよ。だから、その人の逃げ道は、他人が奪ったらダメ。逃げ道を断つのは、あくまでも本人だと思うよ」

だって、谷川俊太郎さんも

嘘と本当はよく似てて
嘘と本当はよく混ざる
嘘の中に嘘を探すな
本当の中に本当を探すな
嘘の中に本当を探せ

って、『うそほんと』って詩に書いてたもん。

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