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働くとは、働きかけること

2022年4月1日、約90分かけて桜満開の東所沢に出社。新入社員と社長との対話会に同席して、みずみずしい笑顔で希望を語る姿をみながら、「働くってなんだろう」を改めて考えた。

他人と働くとは面倒なのだ

冒頭からやさぐれた言葉を書いてしまった。ただ、本当に面倒なのだ。異なる環境で育ち、背景や前提が異なる人に説明して理解してもらい、共に協力して成果を出していくのは骨が折れる。説明一つとっても、相手に合わせて調整が求められるし、こちらは攻撃するつもりもなく普通に話しているのに、意味不明な箇所で突っかかってくる人もいる。場合によっては不機嫌な態度や、攻撃的な言葉を浴びせられて悲しい思いする場面にも遭遇する。そのたびに、「めんどくさい」と思う。

ビジネスコミュニケーションのゴールは関係性を深め、共に成果を出すこと

プライベートなら、苦手な人からは全力で離れるほうがいい。ただ、仕事となると個人的な好き嫌いや相性は脇道において、向き合わざる得ない時と場面がある。そう、大人には時に逃げられない戦いがある。(←大袈裟)ちょっと横道にそれた。最初に言いたいことは、「ビジネスのコミュニケーションのゴールは、相手と関係性を深め、相手が自分と一緒に動いてくれて、共に成果を出していくことにほかならない」ということだ。では、その関係性を築くために何をしたらいいのか?答えは人の数だけあると思うが、私が意識していることは5つくらいあるんだな、と棚卸をしてみた。

1.相手がYES かNO(又は選択肢)で返事できる状態を作る

前職で社長にお叱りを受けたことがベースになっている。社長と直接のやりとりが開始したとき、長々メールを書いてしまい「僕の時間を奪わないでください。瞬間に意思決定できるように、YESかNO、もしくは選択肢を書いてください。そして赤崎さんはどうしたいかの意思と、それを選択したい意図と背景を書いてください。」と返信が来た。当時は恥ずかしい思いをしたが、こんなにも適切なアドバイスは無かったと心から感謝をしている。それ以降は、「報告、相談、共有」のいずれかを冒頭に書く。相談の場合は相手に意思決定して欲しいことの有無、自分の意思の有無を書くようにした。それからは、社長からの返信は「yes(進めてください)」か「NO(&ダメな理由とやってほしいこと)」の単語か、1~2行の返信になった。

2.相手の前提を解きほぐし意図を確認をする

忙しい人と仕事していると、「○○さんに、××を聞いておいてください」と、抽象度高杉な斜め上からボールが投げ込まれることがある。そんな時に必要なのは「相手の前提を解きほぐして、指示の目的を自分がどのように理解しているかを伝える」ことだと思う。忙しい人は、悪気なく前提をすっ飛ばす。ちゃんと説明してよ、と怒る前に「ええっと、今●●という状態なので、××を明確にするということで、△△の点を聞いて、◇◇でご報告したらよろしいですか?」と聞くと、「yes」か「NO」で返ってくる。お互いに仕事の手戻りもないし、ストレスも軽減する。

3.「教えてください」と「ありがとうございます」

新しいことや知らない領域に取り組むときは、戸惑う。そういう時は、詳しい人に「教えてください」と素直に聞くこと。重要なのは、「何が分かっていて、何が分からないか、何に困っているか、どう助けてほしいのか」を整理して聞くこと。おもちゃ箱をひっくり返したように、ぐちゃぐちゃ聞かない。相手が教えやすい道筋を作る。教えてもらったら、「ありがとうございます」を伝えること。人は他者の役に立ちたい、助けたいと思い生きている善なる存在であることを信じること。何より、教えてもらえる人であるためには、ご機嫌な人でいること。不機嫌な人と関わりたい人などいないのだ。

4.相手の理解という道路から、穴と石を取り除く

論理思考は誰のものなのか?わたしは、「情けは人のためならず」じゃないけど、起点は他者に置いたほうが仕事がしやすいと思っている。特に、意思決定に関わる場面では、より大事になる。意思決定の場面において、「相手が決済するに必要な条件を揃える」「想定できる質問に対する回答を準備する」この二つはちゃんと整えること。つまり、相手の「なぜ」に応えていくストーリー構築である。「なぜ」「なんなの」という疑問が解決されない文章や提案は、理解したい気持ちを阻害する。意思決定者の「理解したいという道路」に、変な穴をや石を置かないこと。スムーズに転ばないように、理解という道を「ロジック(論理思考)」と「不愉快にさせない言葉使い」の両面で整えてあげること。歩きやすい道を作れば、みんな笑顔で道を歩いてくれて、相手も自分も幸せになれると思う。

5.不満を提案に変換する力

「今、この状況においてで私にできることは何か」それを考え、提案していくこと。それは、不満を提案に変えていく力だと思う。基本的に、組織のリーダーは「よい状態を作りたい」と思っている方々である。なので、メンバーの声には耳を傾けたいと考えている。ただ、その際に「不満だけを述べる人」と「提案をする人」がいたら、どっちの声を聞くだろうか?私は、提案をしてくれる人の方がいい。だって、提案は対話を開始させてくれるから。ただ、不満と不安は違う。不安は、その人が安心してその場で生きていく阻害要因になるから緊急度が高いし、リーダーが解決にむけて向き合う要素だと思う。対して不満は「もっと、もっと」という個人の欲望に紐づいていることが多いのではないか。また不満を他者によって満たしてしまうと、もっとの気持ちを手放せないと次の不満の温床になるかもしれない。不満は自分が向き合う課題と直結していることがあると思うようにしている。水を飲んでも喉が渇くような状態に陥らないように、自分を整えていくこと。

働くとは、他者に働きかけること

1~5を書きながら、結局は仕事を通じて何をしているんだっけ?と考えたとき、「働くとは、他者に働きかけること」だなと思った。特に転職してからメンバーという役割から、(実力よわよわですが)chief officerという役割に変化したことも関係する。課題はたいてい三遊間に転がっていて、ままならない現実やすぐに解決しないことが多い。その時は、「今、この状況においてで私にできることは何か」を考え、自らが動けることを提案をする姿勢を忘れないでおく。提案と実行を繰り返していくと「あなたと一緒に仕事ができて良かった」と笑顔を言ってもらえ、自分も笑顔になる。

自分ではない他者と共に働くことは本当に面倒だ。面倒という海を、不格好でも溺れそうになりながらも泳いでいくことで、気が付いたらずいぶん遠くまで泳いできたな、と自分を笑顔で褒めてあげたい瞬間に出会う。そんな瞬間のために、今日も明日も明後日も、両手両足バタつかせて、海水を飲みながら不格好に泳いでいる。

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