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Weekly Quest <半導体業界の懸念材料>

(2022年8月15日号)


毎週月曜日にWeekly Questと称し旬な話題を深く掘り下げて投資のヒントにしていければと思います。


半導体の供給過剰懸念

今月は特に決まったテーマではなく現状について思うところを書いていこうと思います。

7月末に発表されたIntelの決算が非常に悪かったですが、市場がすっかりそれを忘れてしまった矢先、Nvidiaが業績の事前警告を突然発表しそれに続きMicron も同様に事前下方修正をだしました。本決算前に予想数字から実際の数字が大きく乖離する場合に事前に発表されるものです。

さらに、Intelに続きAMDの決算が悪かったことに加えて、Nvidiaについても仮想通貨の暴落でマイニング需要が低下し、それに伴いGPUの需要が急減。先月あたりから秋葉原で「Nvidia GPU在庫あります」などと言う広告が出る始末で、心配していた通りの結果になってしまいました。

また、Appleですが、Mac Book ProやiPad Proなどの発送が注文から約1ヶ月もかかっていたのがいつのまにか翌日発送に変わっていました。

コロナ禍で半導体の供給が大幅に減ってしまったことに端を発した半導体不足により、各社大幅な設備投資に乗り出したことは記憶に新しいことです。さらに中国依存度を避けるためにアメリカ政府は大金を叩いてアメリカ国内に半導体工場を誘致を始めました。

この半導体不足をうけて半導体各社が設備投資を拡大し新規の工場を建設し供給量を増やそうとしていますが、世界の半導体メーカーが今年予定している設備投資額が1850億ドルで2020年から比べると68%も増加しています。

また、大幅に不足していると言われた車載用半導体ですが今年発注したものについてはおよそ1億2000万台分の半導体で、今年の自動車販売台数予測を40%も上回っているいうことになります。

さらに、膨大な資金を投入して半導体各社が工場を新設し来年から2024年かけて次々と稼働し始めると思われますが、その矢先にどうも世界景気が悪くなってしまい、今度は逆に半導体の供給過剰に陥ってしまうのではないかという懸念が出てきています。


各社の決算発表を受けて共通しているのが「PCやスマートフォン向けの売り上げが鈍化している」ということです。各社の売上高に占める「PC、スマホ向け」はかなり大きくこの分野が不調になればその影響は非常に大きくなるかもしれません。こういった消費活動が悪化してくる原因が、アメリカの利上げということになります。

Appleの決算を見ていると脱iPhone化を目指してサービス事業を拡大して行っていますが、売上高に占めるiPhoneの割合がまだ50%〜60%を占めています。ただ、2021年の四半期ごとのiPhoneの販売金額を見ると前期比の伸び率が40%を超える勢いだったものが、2022年に入ると前期比の伸び率が数%台に低下してきており半導体各社の業績内容と一致していることになります。


半歩先を考える


いままで半導体業界を取り巻く現状を見てきましたが、これらを踏まえた上で今後どうなるのかを考えていきたいと思います。

以下の図はAMDとNvidiaのGPU価格の今年に入ってからのドイツでの推移です。他の国でもほぼ同じような推移になっていると思われます。

(ギャズログより引用)


今回は秋葉原で「在庫あります」という広告があったということを考えると、おそらくプレミアムはほぼ消失しているのではないかと思います。例えば今のAMDのGPUプレミアムが100%に低下しているとなると1月のAMDの株価は$152~$99 でしたので現在の適正株価は$95あたりが妥当かと勝手に思っています。

また、Nvidiaも同様に考えると大体$160ぐらいが妥当なのではないかと思います。ただし、今後半導体に関連する悪材料や景気の状況がさらに悪化すると言ったニュースが何も出ないと仮定した場合ですので、そういったニュースが出てくると多少のオーバーシュートもあると考えておいた方が良いと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

ここに書いた記事は株価や将来を保証するものではありません。あくまでも投資は自己判断・自己責任でお願いいたします。