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送られた者と贈る者の2部構成物語

『未来配達2』です。

ストーリーは未来から現在に宅配物が送られてきます。
見届勇助はその宅配物を人々へ届けます。

一応、第2話ですが2話目から読んでも大丈夫かもです。
が、第1話を載せときます。

○営業所
門倉はぐったりしている。
見届勇助が入ってくる。

見届「おはようございます」
門倉はびっくりする。
門倉「なんだ、見届君か。びっくりさせないでくれよ。未来人かと思ったよ」

見届「未来人?」

門倉「さっきまでいたからさ。また戻ってきたのかと思ったよ」
見届「ちょっと待って下さい。未来人ってなんですか?」
門倉「未来人っていうのは…あ、パンいる?ちょっと買いすぎちゃって」
見届「…いや、いいです」
門倉「まあ遠慮しないで」
見届「じゃあ頂きます」
門倉は食べかけを渡す。
見届「やっぱこっちなんだ」
門倉「何が?」
見届「いや。で、未来人ってなんですか?」

門倉「未来人っていうのは、未来の未来配達の従業員だよ」
見届「え?人も未来から来るんですか?」
門倉「普段は荷物だけなんだけど、たまに来るのよ」
見届「あの送り君で」
門倉「そう」
見届「何しに来るんですか?」
門倉「そこら辺はよくわからない。ちゃんと仕事してるか偵察に来るんじゃない?でも接待しなきゃいけないから大変なんだよね」
見届「そうなんですか。いやー、僕も未来人に会ってみたいなー」
門倉「そう?」
見届「そりゃ会いたいですよ。やっぱり目は真ん丸で、銀色なんですか?」
門倉「それ宇宙人だよね?」
見届「でも未来人っていったらそんな感じじゃないですか?」
門倉「いや、未来っていっても10年、20年先の未来だから。だから見た目は変わらないから」
見届「なんだ」

門倉「そんな事より、仕事して。今日も来てるから」
見届「はい」
見届は段ボールを手に取り、振ってみる。
見届は音を聞く。
他のも見て、吟味する。

門倉「見届君」
見届「はい?」
門倉「君、選んでるよね」
見届「え?」
門倉「これが面白そうだなーとかやってるよね?」
見届「…そんなわけないじゃないですか」

門倉「何べんも言ってるけど、詮索はしない」

見届「わかってますよ。選んでないですから。じゃあ行ってきますから」
行こうとする。
戻って段ボールを取り替える。
見届「やっぱこっちだな」
門倉「選んでるじゃないか」
 
○アパート
家長友輝(24)財布掲げ祈っている。
長家礼奈(24)それを見ている。
友輝は財布の中を見る。

友輝「あー」
落胆する。

再び友輝は祈る。

礼奈「ちょっと友輝」
友輝には礼奈の声は聞こえない。

友輝は財布の中を見る。
友輝「あー」

礼奈「ちょっと友輝」
先程より大きな声になる。
友輝「何だ?」
礼奈「何してるの?」

友輝「見ればわかんだろ。出でよ!お金の祈りだろ」
礼奈「出てくるわけないでしょ。何言ってるの?」
友輝「あーあ、千円札を一万円札にするマジック覚えてー」
礼奈「あれほんとになってるわけじゃないのよ。元々一万円札は隠し持ってるのよ」
友輝「そうなのか?」
礼奈「当たり前でしょ。バカじゃないの」
友輝「仕方ないだろ。切羽詰まってんだ。お金どうすんだよ」
礼奈「友輝が真面目に働かないからでしょ。こっちが聞きたいわよ。こんな借金まみれで。どうすんのよ」

友輝「今考えてるだろ。…ちょっとその前に腹減ってダメだ。ちょっと礼奈、いつものやつ作ってくれ」
礼奈「材料がないわよ」
友輝「何で?」
礼奈「もう材料さえ買えないのよ」
友輝「そうなのか」
礼奈「てゆうか、この前、調理器具も全部持ってかれたでしょ」
友輝「そうだったな。ごめんな。料理好きのお前から、調理器具を奪ってしまって」

友輝は部屋を見渡す。
ガランとしている。

友輝「もう何も残ってないな。テレビもねえ、ラジオもねえ、車もそれほど走ってねえ、オラこんな村やだー」
礼奈「何言ってるの。こんな時に」

友輝「…離婚するか。借金の原因も俺だし。このままだとお前に迷惑がかかる。うん、よし、そうしよう」
礼奈「離婚なんてしないわよ。私は結婚するときに決めたの。何があっても友輝に付いていくって。だから、二人でなんとかしましょ」
友輝「礼奈」
礼奈「それに自分が決めた人なんだから、離婚するなんてカッコ悪いでしょ」
友輝「わかった。じゃあ離婚は一生なしだ」
礼奈「うん」

友輝「じゃあ、どうするか?やっぱり、強盗するしか」
礼奈「ダメよ、強盗なんて」
友輝「わかってる。真面目に働こうと思うけど、その前にまとまった金が少し必要なんだ」

友輝のアパートに志村がやって来る。

礼奈「それでも強盗はダメよ。絶対にうまくいかないわよ」
友輝「いや、銀行とかは難しいけど、コンビニとか小さいことだったら…」

志村はインターフォンを押した。
部屋にインターフォンが鳴ると同時に、友輝と礼奈は黙った。

志村は耳を澄ます。
友輝と礼奈は動かない。

志村「家長さーん。開けて下さいよ。人から借りたお金はキチンと返しましょうよ、ねえ。いるんでしょ?わかってますよ」

友輝はゆっくり電気を消した。

志村「今、電気消したね。まあまたすぐ来ますんで、お金用意しといて下さいね」

志村は帰る。
友輝はドアを覗く。
電気をつける。

礼奈「強盗しかありえないわね」
友輝「だろ?」
礼奈「どこを強盗するの?」
友輝「やっぱりさっきも言ったけど、コンビニを狙うのが成功しやすいと思うんだ」
礼奈「でも大丈夫なの?友輝は根が優しいから、強盗なんて出来るの?」
友輝「できるよ」
礼奈「ほんとに?できるの?」
友輝「できるよ」
礼奈「じゃあちょっと私を店員だと思ってやってみてよ」
友輝「おお、わかった」

友輝は強盗役に気合いを入れる。
そして自動ドアの音「ウィーン」を言って架空コンビニに入ってきた。

友輝「金を出せ」
友輝は拳を出して構えた。

礼奈「…。素手なの?」
友輝「しょうがないだろ。武器になりそうな物は全部取られたんだから」
礼奈「でも素手だと反撃されるかもよ」
友輝「大丈夫。こう見えても、俺は柔道を小さい頃から見てるから」
礼奈「見てるだけでしょ。やってないんでしょ」
友輝「青い柔道着が、オリンピックで初めて使用されたのは、シドニー大会から」
礼奈「小さい頃から見てるのはわかったけど。関係ないから。どうだみたいな顔してるけど。まあいいわ。金を出せって言ったらどうすんの?」
友輝「おい、ここに金に入れろ」
友輝は財布を出す。

礼奈「財布?」
友輝「だから何もないんだからしょうがないだろ」
礼奈「でもそれ、そんな入らなくない?」
友輝「いや、これくらいの額でいいんだよ」
礼奈「そうなの?で?」
友輝「いいか、少しでも変なマネしてみろ。怒るぞ」
友輝は拳を上げた。

礼奈「優しい。友輝の優しさ出ちゃった」
友輝「この長家友輝を怒らせない方が身のためだぞ」
礼奈「名前言わないで。あーもう絶対捕まる」
友輝「大丈夫だよ」
礼奈「そもそも顔隠さないと。どうすんのよ」
友輝「お前のストッキングくれ」
礼奈「いやよ。変態じゃないの」
友輝「仕方ないだろ、何もないんだから」

インターフォンが鳴った。
急に二人は黙る。
見届勇助が段ボールを持ってドア前にいる。

見届「すいませーん、未来配達ですけど。お届け物です」

友輝「配達?何か頼んだ?」
礼奈「いや、頼んでないと思うけど」
見届「長家さん、未来から配達物が届いているんですけど」
友輝「未来から?」

友輝はドアを開けた。

見届「未来配達です。お届け物です」
友輝「俺に?」
見届「家長友輝さんですよね」
友輝「そうだけど」
見届「家長けんさんからです」
友輝「けん?いや、知らないなー」
見届「えーと、親族にけんという人は?」
友輝「いないと思うけど。まあいいや。どうも」
友輝は受け取る。

見届は帰らない。
友輝「…うん、もらったから」
見届「あのー、中身何なんですかね?」
友輝「え?さあ。後で見るから」
見届「ご一緒させてもらっても」
友輝「何で?あんた関係ないでしょ」
見届「いや、あのー、おそらくですけど、家長さんは未来配達ご存知じゃないですよね?」
友輝「ああ」
見届「そしたら、説明も含めて、一緒に開けた方がいいと思うんですよ」
友輝「いや、いいよ。もう帰って。こっちは大事な用があるんだから」

そこに志村が来る。
志村はドアを開けた。

志村「やっぱりいるじゃない、家長さん。配達の人?」
見届「あ、はい」
志村「今入るとこ見えたからさ、チャンスと思って来てみたら大成功だったね。じゃあ上がらせてもらうよ」
志村は家に入る。
友輝「いや、ちょっと」
見届「じゃあ、上がらせてもらうよ」
見届も入る。
友輝「なんであんたも」

志村は礼奈をまじまじ見る。
礼奈「あんた誰よ」
志村「あ、奥さんですか?」
そこに友輝と見届も来た。

志村「みなさん初めまして。今日は私が取り立てに参りました。志村です」
友輝「あの、志村さん」
友輝はいきなり土下座する。

友輝「もう少し待ってもらえないでしょうか?」
志村「情けねーな」
友輝「見ての通り、もうほとんど何も残ってませんし、昨日から何も食べてない状況なんです。ですから今日のところは。お願いします」
見届「あのー、何だか訳ありみたいですね」
志村「あんた、まだいたのか。もう出てけよ」
見届「もしよろしかったら、どうぞ」
見届は門倉からもらったパンを出した。

友輝「え?」
見届「食べかけですけど」
友輝「いいのか?」
見届「どうぞ」
友輝「ありがとうございます。おい、もらったぞ」
礼奈「どちらさん?」
友輝「知らない」
礼奈「知らないって何?すいません、いただきます」
見届「どうぞ」

友輝はちぎって礼奈に渡す。
二人食べる。

二人「あーーー」
見届「おいしそうに」
友輝「よし、残りは明日、明後日、明々後日で食べよう」
礼奈「そうしましょ」
見届「そんなに?」

友輝「というわけで、志村さん、今日のところは。あ、明日、明日必ず返します」
志村「何かあてがあるのか?」
友輝「はい」
志村「何だ?」
友輝「…強盗します」
見届「強盗?」
友輝「ですから明日来てください」
見届「いや、ちょっと家長さん、強盗なんかダメです」
友輝「いや、もうこれしか方法がないんだ。ですから明日来ていただけないでしょうか。明日、きっちり返します。それからパンも」
見届「パンはいいですから」
友輝「志村さん」

志村「強盗はダメだ」
友輝「え?」
志村「ちゃんと働いて返せ」
見届「まさかのヤクザのセリフ」
志村「あんたがもし捕まったら、奥さんはどうするんだ?」
友輝「それは…」
志村「一人で借金背負うんだぞ。そこまで考えて強盗するって言ってんのか?」
見届「あなたは何ていいヤクザなんだ。ライン交換しません?」
志村「それにもし子供が生まれたら、どうする?あんたは刑務所。父親の顔も知らない子供がどんだけ不幸かわかってるのか?」
見届「そうですよ、家長さん」
友輝「いや、でも子供はできないと医者から言われたんで」
志村「もしもの話だ。そこまで考えてるのかっていう事だ」
見届「そうだ、家長。人の話をよく聞け。ねえ、兄貴。…あ、ちょっと待って下さい。これ、息子さんなんじゃないですか?」

全員が配達物を見つめた。

友輝「いや、だから俺らに息子はいない」
見届「いやでも、未来はわかんないですよね?」
礼奈「あの、どういう事ですか?」
見届「あ、僕、未来配達なんですけど」
礼奈「未来配達?」
見届「未来からの配達物を届けるという仕事をしています。ですからこれ、未来から来てるんですよ。それで、この送り主が、家長けんという人なんですけど」
礼奈「家長けん?」
友輝「礼奈、知ってんのか?」
礼奈「けんは平仮名ですか?」
見届「あ、はい」

礼奈「…もし…友輝との間に子供ができたら…けんにしようと思ってたの」
見届「やっぱりこれ、息子さんからですよ」
友輝「でも、子供はできないって」
礼奈「中見てみましょ」

礼奈と友輝は中を見る。

友輝「フライパン、まな板、包丁。調理器具」
さらに取り出す。
友輝「醤油、豚バラ、木綿豆腐、卵、これって」

礼奈「ゴーヤなしチャンプル」
友輝「礼奈の得意料理の」
礼奈「友輝の大好物の」
友輝「ほんとに息子なんじゃ…」
礼奈「私たちに子供が…」
友輝「ああ」

礼奈「やっぱり私も反対。子供が生まれるなら友輝と一緒に育てたい。だから、強盗はやめて」
友輝「そうだな。やめよう。俺、ちゃんと働くわ。息子のために」
礼奈「うん」
友輝「志村さん、申しわけないですが、もうちょっと待って下さい。どのくらいかかるかわかりませんが、必ず返しますんで」

志村「ちゃんと返せよ。そして今度こそ奥さんに迷惑かけんじゃねーぞ」
友輝「はい、ありがとうございます。あんたも、ありがとうございました」
見届「僕は別に何も」
友輝「いや、あんたが配達物を届けてくれなかったら、俺は強盗してた思う」
見届「いや、仕事ですから」
友輝「なら、素晴らしい仕事だと思う」

見届「じゃあ帰ります。ここにサインよろしいでしょうか?あ、これ着払いですので2万6千円いただきます」
友輝「え?」
 
 
未来(20年後)
○アパート
家長けん(19)と家長礼奈(44)は食事をしている。

けん「あーやっぱり母さんの作る、ゴーヤなしチャンプルは最高だな」
礼奈「あら、嬉しい事言ってくれるじゃない。でもごめんね、本当はもっといいもの食べさせたいんだけど」
けん「何言ってるの。このゴーヤなしチャンプルはどの高級料理にも引けを取らないよ」
礼奈「ありがとう、けん」
けん「キャビア、フォアグラ、トリュフ、ゴーヤなしチャンプルが世界四大珍味だよ」
礼奈「それは言い過ぎじゃない」
けん「そんな事ないよ。世界に通用するよ。機内食でも、ビーフORチキンORゴーヤナシチャンプル?」
礼奈「ちょっと、けん。そこまでいっちゃうと、母さんをディスってるとしか聞こえなくなっちゃうから」
けん「そんなことないよ」
礼奈「ゴーヤなしチャンプル、そんなに好き?」

けん「もちろん」

礼奈「これはね、お前のお父さんも大好物だったんだよ」
けん「そうなんだ」
礼奈「お前ももう19歳か。仕事は慣れた?」
けん「そりゃもう一年くらいやってるからね。何急に。どうしたの?」
礼奈「ねえ、けん」
けん「何?」
礼奈「お父さんの事なんだけど」
けん「何?」
礼奈「実はお父さん生きてるの」

けん「え?でも、父さんは、野球の決勝戦に行く途中に子供をかばってトラックにはねられて死んだって」
礼奈「それはタッチの和也よ。ごめんね、ウソなの。お父さんは野球なんてやったことないの。唯一、柔道だけは小さい頃から見ていたらしいの」
けん「やってはないんだ。じゃあお父さんは死んでないの?」

礼奈は頷く。
けん「じゃあどこにいるの?」

礼奈「あれはね、20年前、お前が生まれるちょっと前の事よ。お父さんとお母さんは、今よりも借金が凄くてね、お金が返せない状態だったの。家中の物も全部取られた。母さんの好きな調理器具も。そんな時、お父さんが強盗すると言い出してね。もし、けんが生まれるとわかっていたら、やらなかったと思う。でもその時点ではわからなかったから。そしてね、お父さんは強盗するんだけど、その時、店員さんを脅すつもりが刺してしまったの。店員さんは亡くなったわ。だからお父さんは今も刑務所の中にいるの。今まで黙っててごめんなさい」

けん「…そうなんだ。…最低の父さんだね」
礼奈「けん。確かにお父さんは最低だけど、でも、嫌わないであげて。お父さんの味方は私たちしかいないの」

けん「母さんは父さんの事恨んでないの?借金まで背負わされて」
礼奈「…恨んでるわよ。なんで私が友輝の借金返さなきゃいけないんだって」
けん「じゃあ、離婚しないの?そうじゃん、父さん生きてるなら離婚すればいいじゃん」
礼奈「するわけないでしょ」
けん「何で?」

礼奈「…好きだから」
けん「え?恨んでるんでしょ?」
礼奈「恨んでるわよ。今度会ったらぶん殴るわよ。ただそういう事を飛び越えて、好きなの」
けん「いまいちよくわからない」
礼奈「だから離婚なんて考えた事ないわよ。それにね、私は友輝と結婚した時から、離婚は絶対にしないって決めたの。だからお前の名前もけんにしたのよ」
けん「…どういう事?」

礼奈「もしお父さんと離婚したら、お前はお母さんが引き取る事になる。そうすると、お母さんの旧姓を名乗る事になる。お母さんの旧姓知ってるでしょ?」
けん「あ、志村」

礼奈「お母さんは絶対にお前をそんな名前にしたくない」
けん「いやいや、自分でつけたんでしょ?」
礼奈「だから何が何でも離婚はしないの」
けん「もう、何その理由。てゆうか、けんの名前の由来ってそれ。父さんが生きてるとかよりもショックなんだけど」
二人は笑った。

礼奈「…けんはお父さんの事許せない?」
けん「そりゃあ、母さんの苦労をずっと見てるんだからやっぱり腹立つよ。でも母さんがそんな感じだと、よくわからない」
礼奈「お母さんもね、すごい腹立ってるのよ。でもそんなんで嫌いになるとか、そういうんじゃないのよね。それよりも、また友輝に会いたい方が遥かに勝っちゃってるの。だからけんも、許して欲しいな」
けん「母さんがそれでいいならいいよ」
礼奈「ありがとう。いつか3人で暮らしたいな」

けん「母さんさ、今使ってない調理器具あるよね」
礼奈「え?まあ、あるけど」
けん「ちょっともらっていい?」
礼奈「いいけど、何で?」
けん「いや、困ってる人にあげようかなと」
礼奈「あら、そうなの?」
けん「あとさ、スーツあったよね」
礼奈「しまってあるわよ」
けん「それ今出してもらえる?」
礼奈「いつもの作業着じゃないの?今から配達の仕事でしょ?」
けん「うん、そうなんだけど。ちょっとその前に寄るところがあって」
礼奈「スーツで?」
けん「ちょっとね。大事な人に会うんだ」
礼奈「そうなの?じゃあ用意するね」
けん「あ、母さん。女手一つで僕を育ててくれてありがとう」
礼奈「何急に」
けん「今まで言ってなかったから」
礼奈「あんたも早く用意しなさい」
礼奈はスーツを取りに行った。

けん「今度僕が生まれてきたら、二人で育ててね」

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