ハピネス

前に座っている人がやたらAI（アーティスト）に似ているから、きっとAIのことが好きなのだろう。
電車には色々な人が乗っている。
必ずと言っていいほど目を瞑り寝ている人がいる。結構な人数いる。本当に眠りに落ちているのは数人だろう。
電車には色々な人が乗っている。
赤ちゃんが泣いている。その子のお母さんが必死に泣き止まそうとしている。
それを冷たい目で見ている人がいる。
赤ちゃんのことを優しい目で見れない人は、きっと誰のことも大切にできない人なのだと思う。
世の中には色々な人が乗っている。
自分で行先を選んでいる人はどのくらいいるのだろう。
終点まではどのくらいなのだろう。
『君が笑えば 世界中に もっともっと幸せが広がる』
目の前に座っている人が歌ってくれやしないかな。
すると泣いている赤ちゃんが笑顔になって、お母さんも微笑んで、車両全体がほっこりした雰囲気になる。
そんな妄想をしてみる。

少し目を瞑ってみる。全神経をSHUREのイヤホンに持っていく。iPhoneでシャッフルボタンを押す。
全集中をしながら音楽を聴く。
電車の揺れと相まって眠たくなってくる。
小さい頃の遊び疲れた後の車の後部座席に似ている。
そして気がつけば眠りに落ちる。
僕も電車内で本当に寝ている数人に入る。

このまま“やらなければいけないこと”と“しんどいこと”を寝過ごしたい。
そんなユメをみているとイヤホンから聞き覚えのある声がする。
『いぇーえぃ！ 君が笑えば 世界中に もっともっと幸せが広がる』