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「私たちが社会に合わせる」から「社会が私たちに合わせる」へ

20代・30代の仕事がいちばん楽しく忙しい時期と、子どもを産める時期が重なっているの、なんとかならない?――この問題に共感する女性、多いと思います。
しかし、これを解決する方法として、「代理出産」が提示されたために、SNSで炎上してしまうことに。
すでに記事が削除された、雑誌VERYの対談の中で語られた話でした。


「生理は個性」で炎上したロリエのキャンペーン

先日、同じように女性を中心に反感をかったのが、ロリエの生理用品のキャンペーン。
こちらは削除されずにサイトが残っています。

生理で感じる不調は何らかの疾患の場合もあるのですが、そのことに触れず「生理は個性」としたところ。また、「生理痛がひどくても仕事が休めない」という問題を、女性同士で助け合ってなんとかしよう、と読めるように表現しているところ。この2点が炎上した原因のようです。

体調の悪いときに仕事を休めるのはもちろんのこと、必要なら医療のケアも受けられる――この当たり前の対応がないがしろにされてきたことへの女性たちの不満が、ロリエのキャンペーンをきっかけに噴出してしまったように感じました。


妊娠・出産・子育ては不確実性のかたまり

私は生理ではそんなに困ったことがないのですが、妊娠時はつわりで苦労しました。
幸い、勤め先が理解があったので、しっかり休みながら働き続けることができたのですが、まだまだそうではない会社が多いのが現状です。

妊娠・出産・育児を経験して実感したのは、その資本主義的・ビジネス的なプロトコルとの相性の悪さ。
予定通りに・短期間で・数字でわかりやすい結果が出ることが好まれるビジネスとは違って、出産や子育ては、予定が読めない・すぐに結果が出ない・数字で分からないことのオンパレードです。まさに不確実性のかたまり。
恵まれた職場で働いている私でさえ、毎日のように「育児と仕事の両立、無理ゲーでは?『混ぜるな危険』すぎでは?」と感じています。


「女性たちの身体を社会に合わせる」べき?

代理出産は「お金を渡してモノやサービスを得る」というビジネスの文脈に乗せるのには、まだ早いのではないでしょうか。母親や子どもが命を落とす危険性、生まれた子どもの人権、貧困女性を搾取する構造……少し考えただけでも様々な課題が山積みな気がします。

代理出産で、生まれた赤ちゃんに障害があったり、依頼者が離婚したりしたため、赤ちゃんの引き取りを拒否されるケースもあるそうです。


代理母という経験から受ける心身のダメージについては、「代理出産を問い直す会」代表者さんがTwitterで紹介されていたこちらの動画が分かりやすかったです。

体への負担はもちろん、産後すぐに赤ちゃんと離されるストレスから鬱病になるケースもあるとのこと。

私は無痛分娩で産みましたし、出産や育児にもテクノロジーの進歩はもっと必要だと思っています。しかし、それによって搾取されてしまう人が出てしまったり、私たちの身体に悪影響が出るリスクがあるとしたら、その活用には慎重になりたいところです。

代理出産の件も、「生理は個性」の件も、「女性が社会に参加するためには、女性同士で助け合ったり無理したりしながら、男性が中心になって作ってきた社会の仕組みに合わせていかねばならない」という共通の問題がありそうです。

自分や他の女性の身体を危険にさらしながら、無理して合わせないと社会に参加できないとしたら、そんな社会の方を変えていく必要があるのではないでしょうか。


人生100年時代は、「それぞれの事情に社会が合わせる」

うちは0歳と3歳の男の子がいるのですが、2人の出産の際、夫は2回とも育休を取りました。育休をとった合計の期間は、私より夫のほうが長いです。

男性が育休を取ったり、時短勤務をしたりするのは、女性以上に難しいとよく聞きます。現状だと、子育てや家事をがんばりたい男性と、仕事をがんばりたい女性は不便を感じることが多いはず。男女とも、家庭にも仕事にもバランスよくコミットしたいと感じている人は増えているので、そういう現状は変えていきたいところですよね。

これから、労働人口が減っていくと言われています。いつでも健康で元気で、長時間働けて、家事や育児や介護はほとんどしなくていい、そんな人だけで仕事をまわせていたのは、過去の話になっていくのではないでしょうか。


出産する女性だけではなく、男性も育児で仕事を長期間休むことがある。
生理がある女性だけではなく、男性にも様々な心身の不調を抱えている人がいる。
そういう認識が広まっていったら、男女の仕事や家庭での不公平も軽減されるし、生きやすい人も増えるはず。

男女関係なく、育児や介護などの生活の状況、またそれぞれの身体の状況に合わせて、柔軟にキャリアを築ける、社会に参加できる世の中をつくっていきたいですね。

人生100年時代、20代・30代という決められた短い期間に仕事も家庭も100%がんばらないといけないのはおかしいなと。途中で休んだり学んだりしながら、無理することなく長期で人生を充実させていく方法を探していきたいです。


夜の授乳で眠い目をこすりながらSNSを開き、仕事で活躍する同世代の投稿を見たりすると正直うらやましいなぁ〜と思ったりもするのですが……自分のペースで進んでいこうと思います。


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