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推し活のすすめ

「推し」や「推し活」という言葉を最近よく見聞きします。

「推し」とは、推し上げる、後押しする人や物事のことなのだそうです。そして、自分の推しを応援する活動が「推し活」です。

最初はアイドルファンのことだろうと思っていましたが、アイドルや歌手などのように限定的ではなく、アーティストや声優さんはもちろんのこと、さらにはアニメキャラクターやゲームなど実在しない推し、また動物やその動物が居る動物園や水族館なども対象になるなど、特に決まったカテゴリーもなく、制限はありません。

簡単に言えば、自分の「好き」という気持ちの対象を応援することです。

推し活に似た言葉に「オタ活」(オタク活動)があります。あまり変わりはありませんが、強いて言いますと、活動方法が少し進化しているところです。

推し活には主としてSNSやYouTubeが活用されています。推しの情報をSNS、YouTubeで集め、また逆に情報を発信することもあります。

そして、押される人や対象物もたいていSNSを活用しているので、推しと直接やり取りできる場合もあるのです。

どうですか?ある意味、誰でも推しを持てるのです!

そうです、実は私もただ今絶賛推し活中です。始まりは昨年のショパン国際ピアノコンクールでした。コンクールのYouTubeによるライブ配信を観てコンテスタントの角野隼人さんがYouTubeチャンネルを持っておられるのを知り角野さんの過去動画などを観ていました。

そこで、関連動画やおススメ動画を何の気なしに見ているうちに、とても素敵な演奏を見つけてしまったのです。石井琢磨さんというウィーン在住の若手ピアニストさんです。

コロナで全てのコンサートがキャンセルになってしまったのをチャンスにとYouTubeチャンネルを立ち上げたそうです。私が知った時にはYouTube登録者数4万人。

それからインスタグラムやツイッターをフォローし情報を集めて、帰国リサイタルの開催を知り2月に初めて紀尾井ホールでのリサイクルに行きました。

その後、YouTube活動がメディアにも数多く取り上げられるなど、話題となり6月現在登録者数17万人!

推しがメジャーになっていく、とても楽しい体験をしました。これこそ推し活の醍醐味。

それ以前も今もフィギュアスケートのファンですが、フィギュアの場合はファンになってからSNSを始めました。今回はSNS上で推しを見つけ出すという新しい体験をしたのです。

フィギュア選手、ピアニストさんの推し活のおかげで、一人で日本各地はもちろん海外にも行きました。好きという気持ちは人を信じられないくらい活動的に前向きにしてくれます。

先日、友人から興味深いお話を伺いました。高齢のお父さんが意識不明で緊急搬送され、半ばあきらめた時期もあったそうですが、長い入院生活を経て退院自宅療養となっ翌日、一人で1時間かけ映画館に行き「トップガン」を観て帰って来たのだそうです。お父さんは無類の映画好きで、前作が良い作品だったので、新作もどうしても観たかったのだそうです。

無事に帰っては来たものの、家族は呆れ果てたとのこと。友人は困った父の話として語ってくれたのですが、私には推し活の鏡!と思えたことは、もちろん内緒です。

好きを推すことは、自分自身を推すことなのではないでしょうか。何も推さない人生よりもずっと楽しいではありませんか。

※2022年7月、教室だより第87号掲載。この度再校正しました。ピアニスト石井琢磨さんのユーチューブ登録者数は現在23万人を超えています。

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