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おすそわけ日記 238「雪花紋」

大事過ぎて寝かせていた、手紙のお礼を

大事過ぎて寝かせていた、便箋に書く


十年以上前に、京都で買った、雪華紋の文箱を開けて

あの時、今は亡い恋人が一緒だったことを思い出す


雪花紋は、私が一番好きな意匠

冬よりも、夏場に涼を取るのに使いたくなる


愛用の小さな硯入れを出して、しょきしょきと墨を擦る

馴染んだ音と香りが、忘れていた自分を取り戻させる


書いている時は、ただ、紙と文字にだけ気をって


変わり続ける世界と自分に惑いながら

変わらぬ自分を見つけて


安堵と

柔らかな胸苦しさが零れる


綺麗で愛しいのに、少しの痛々しさを伴う


そう、雪花紋に似ている



【今日の一枚】『唐長』の雪花紋のレターセットと、『嵩山堂はし本』で購入した携帯用硯入れ。

【#つづく日々に】のタグをつけて、日常で心ときめいたことを投稿中。日常のよろこびをみんなでシェアしあって、笑顔が増えたら嬉しいです。

毎日、書く歓びを感じていたい、書き続ける自分を信じていたいと願っています。