おすそわけ日記 269「お雛様の居ない雛祭り」
新居で迎える雛祭り。今年はお雛様の姿がない。
引越しを機に、色々な物を処分した。その中には、七段飾りの雛人形も含まれている。押し入れ一杯の人形と道具をお寺に送り、人形供養をしてもらった。
母はお雛様との別れを惜しんでいたが、私にはそんな余裕もなくて、前に進むことだけを考えていた。
昨夜、母が「明日は、雛祭りかぁ」と今気づいたように呟いた。
そんなことわかってるよ、と心の中で答える。スーパーで雛あられ、売ってたじゃん。
今朝、AFPのオンライン・トレーニングに参加していた際、今の自分の中に「悲しい」と云う感情があることに気づいた。
感じれば感じるほど、悲しみの大きさに驚く。
そうか、私はお雛様が居なくなったことが、こんなに悲しいのか。
考えてもみなかった。毎年、母がお雛様を飾ってくれるのが当たり前で。お雛様の顔を眺めながら「このお雛様は本当にお顔が整ってるねぇ」と愛しむ母の言葉を聞き流していて。
人形供養についてネットで調べている時に、お雛様は持ち主の形代として厄を引き受けてくれると云う記事を見つけた。
今回の引越しで絶体絶命の状況に陥りそうだった時、辛くもすり抜けられたのは、お雛様が厄を引き受けてくれたのかもしれない。
沢山の救いの手が差し伸べられた時に、きっと私のお雛様も手を差し伸べて守ってくれたんだ。
今日は、母とケーキで雛祭りを祝う。
ケーキに花が飾られていて、まるで、お雛様への手向のよう。
お雛様、ずっと見守ってくれて、ありがとう。
おかげ様で、私は今、元気で幸せです。
これからも、雛祭りが訪れる度に、私は涙を流すかもしれないけれど。
その涙のありがたみを知っている自分になれたことが、嬉しくて愛しい。
【今日の一枚】『INFINI』のミルフィーユと在りし日の私のお雛様。
【#つづく日々に】のタグをつけて、日常で心ときめいたことを投稿中。日常のよろこびをみんなでシェアしあって、笑顔が増えたら嬉しいです。
今日もおつきあい頂いて、ありがとうございます。
毎日、書く歓びを感じていたい、書き続ける自分を信じていたいと願っています。