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大切なペットを失った日のこと

私は双極性障害で、いつもnoteにはこの病気に関連することしか書かないが、つい数日前に大切な大切なペット(トイプードル9歳♀)のももが亡くなったので記録として書いておこうと思った。

ももは私の母が末期がんの時に「私が飼う!」と母が言い、本人が長年メールアドレスにしていたmomochan0125@から取って「もも」と母が名付けた子だった。

ももが家にやってきてわずか2週間足らずで母は亡くなった。

母が死に、悲しみに暮れる私を救ってくれたのはももだった。
いつも家の中を明るく照らしてくれる存在だった。

始まりはてんかん発作。
でも1分あるかないかくらいの発作で終わり、終わるとケロッとしていつものように元気だったのでその時は病院に行かなかった。

その約1週間後に前回とは軽めの似たような発作があった。

心配になりかかりつけの獣医に相談すると「てんかんは5歳までの間に起こることが多く、9歳で起こるのは珍しい。頻度も高すぎるので一度検査しましょう」と言われ病院に連れて行った。

その際受けた検査では特に目立った異常はなかった。
検査といっても、その病院は小さなところなので脳の検査は出来ず脳以外の検査だった。

でも
「てんかんの発作は5分以上続くと脳に障害が残ったり、場合によっては死に至ることもあるので、念のため発作を起こしにくくする薬を出しましょう。
よく使われる薬で比較的安全性は高いと言われてる薬です。このてんかんの薬というのは即効性のある物ではなく徐々に効いてくる物ですから2週間分出しておきます。これで収まるといいのですが。
これで症状が出なくなれば薬の量を徐々に減らして最終的には飲まないように持っていきましょう。
そしてその後何か異常が見られたら大学病院等で脳の検査を受けてみたらいいと思います」
と言われ、その方向性で治療をしようということにした。

薬を処方されて3日間くらいももは元気だった。
食欲もあり散歩にも行け、明るい表情をしていた。

だが4日目辺りから元気がなくなり、自分でトイレにも行けず寝た状態のままおしっこをするくらいになった。
ドッグフードも薬も食べたがらなかった。

そこでまたかかりつけ医に連絡をすると
「お話を伺う限り副作用が強く出てるのだと思います。あの薬はおそらくこの子には合ってないんでしょうね。ただ急に薬をやめるとてんかん発作が出てくる危険性が高いので、薬を減らしてください」
とのことだった。

その日ももは朝食しか食べず、夜は全く食べてくれなかった。
あげさせようとしても顔を背ける。
その間「それ僕によこせ!」と言うように吠え続ける雪(トイプードル5歳♂)。
色々試行錯誤したがどうやっても食べてくれなかった。


そして翌朝も食べなかった。

さすがに心配になり、また獣医師に相談をした。

私「とにかく元気がないんですよ。好物も食べないので食欲もありません。」

先生「歩く時にフラついたりしてますか?」

(おそらく脳の病気を疑っていたのだろう)

私「ずっと横になってるので、歩いていないのでそこは分かりません。水も昨日の午前中以降飲んでません」

先生「そうですか…。もし何か変わったことがあったら連絡下さい」

私「分かりました」


電話を切った後、ももを見ると横になった状態で舌を出してよだれを垂らしていた。
「こんな姿は見たことないぞ」と思い、また先生に電話すると
「今すぐ連れてきて下さい」と言われた。

半ばパニック状態で慌てて準備をし、ももを連れて行った。

病院では点滴のような物で身体に水分を補給してもらって安心した。

たくさん質問をされたり再度検査もした。
おそらく脳の病気なのか、それとも薬の副作用でこうなっているのか先生なりに判断しようとしているのだろうと思われる内容だった。

最終的に
「やはり副作用だと思います。ただこれだけ強く副作用が出ているので、少なくとも食欲が戻るまでは薬は一切飲ませないで下さい。食べさせるのはドッグフードでなくていいです。ヨーグルトや犬用のケーキみたいな口当たりのいい物でもかまいません。明日はこちらが休みなので月曜にまた連れてきて下さい」
と言われた。

動物病院の帰り道、ももを抱っこしながら歩いているとほんの少し嬉しそうな表情を見せてくれた。
数日ぶりに外の空気を吸えて嬉しかったのだろう。

帰りにヨーグルトと犬用のケーキ、大好物の焼き芋、水をあげるためのシリンジを買った。

その日の夜も食べさせるのに苦労したが、どうにかヨーグルトをティースプーン一杯分だけ食べてくれた。

寝る時はいつものようにくっついて寝た。

翌朝起きると、夫がシリンジで水を飲ませていた形跡があった。
ももは何かを吐き出したいような感じで変な咳をしていた。
いつもの病院は閉まっている。
ネットで色々調べてみた。
「誤嚥性肺炎」が一番近い気がした。
体力のない老犬がなりやすいらしい。

ももは9歳なので老犬といえば老犬。
更に今は体力もない。
水をうまく飲み込めなくて変なところに入ったのかもしれないと思った。

でもしばらくそっとしておくと咳はしなくなるので「とりあえず今日は様子見て明日先生のところに連れて行こう」と思っていた。

そしてやっぱり何も食べないので心配し、時々上体を起こしヨーグルトを与えてみたり、シリンジで水を飲ませたりした。
でもその度に変な咳をしていた。

夕方18時ごろ、ももをお気に入りのテントに寝かせているとまた咳をしだした。
呼吸も浅い。意識も朦朧としているように見えた。

私は心配になり、ちゃんと呼吸をしているか、脈はあるのか触って確認しながら
「もも、頑張って!息するんだよ!頑張って!」
と言っていた。

夫は近くの別の動物病院に電話をし、今からでも見てもらえないか聞いていた。
そこでは見てもらえないが、遅い時間でもやっている病院を紹介してもらうことになった。

その間私はずっとももに声をかけていた。
呼吸をしているか何度も身体に耳を当て、脈があるかどうか指で確認した。


「あれ?もしかして息してない?脈もない?」


そんな感触があった瞬間、涙があふれ
「もも!頑張って!頑張って!息するんだよ!寝ちゃだめだよ!」
と泣きながら言っていた。

夫が手配したタクシーで急いで病院に向かった。
タクシーの中でもずっと
「もも頑張って!」と言っていた。
ももの目はまだなんとか開いていた。
家から遠い病院だったので、20〜30分近くかかったと思う。

病院の受付に行くとすぐに獣医さんが来てくれ、
「口の中が青いです!今すぐ延命措置してもいいですか!?」
「お願いします!」
と反射的に言い、すぐに治療室に運ばれて行った。

口の中が青い…
やっぱり息してなかったのかも…
そう思うと怖くてまた涙が出てきた。

何分か経ち、私たち夫婦は呼ばれた。

先生は心臓マッサージをしながら、ももの口に管を入れた状態で話をされた。

「ここに着いた時点で心臓も止まり、呼吸もしていませんでした。今こうしていますが、助からないかもしれません」

私は自分の持っている頓服薬のランドセンをその場で2錠飲んだ。
でも当然涙は止まらない。
夫も号泣していた。

「僕は初めて診るのですが、てんかん発作を起こして薬を飲んでいたんですよね?薬の副作用だけでこんな短時間でこうなることは考えにくいです。誤嚥性肺炎でもこんな短時間で亡くなることは考えにくいです。もしかしたら脳のどこかに病気があったかもしれません。それと薬の副作用もしくは誤嚥性肺炎が合わさって急変したのかもしれません」

そういうことで、結局はっきりとした死因は分からなかった。

ももはもう助からなかった。

「体を綺麗にしますから、あそこの待合室でお待ち下さい」
と言われ、待合室で私たちはずっと泣いていた。

私は父に電話でももが亡くなったことを報告した。

夫はシリンジで水を飲ませたことをひどく後悔し、泣きながら「俺のせいだ」と何度も言っていた。

私は放心状態なのに涙が止まらない、そんな感じだったので何も言えなかった。

しばらくするとももは綺麗な状態で箱に入れられやって来た。

ペットの葬儀をやっている業者をネットで検索し、翌日の夕方火葬をすることになった。

こんな状態でよく分からない街で電車と徒歩で帰る気にはなれなかったので帰りもタクシーを呼んだ。

帰宅すると留守番をしていたトイプードルの雪とノルウェージャンフォレストキャットのルーナが駆け寄ってきた。
雪は理解しているように見えた。

「今日は通夜だね」
そう言って2人でワインを飲みながらしばらく過ごした。

冷たく硬くなったももだけど、
「一緒に寝れるのは今日が最後だから」
と思って、いつものようにくっついて寝た。

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