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ママのための化学教室-1: 地球の歴史は地層に、生物の歴史は遺伝子のなかに

お待たせしました、ママのための化学教室、第一弾。
子育て中のお母さんを中心に、なるべく皆さんの分かりやすいように、伝えていきたいと思います。学生時代は化学なんて選択していないという方も、いまさら勉強なんて…と思われている方も、若さを保つには、少しの好奇心と頭を使うことからです。

絵本の紹介など子育てについての情報も紹介する予定です。絵本の効用は、子供の精神の安定だけでなく、言葉に出して語ることで、日本語のひびきの美しさやリズムを感じることで、言葉が豊かになっていきます。日常から少し離れることで、お母さんも心を穏やかに。お父さんの読み聞かせは…残念ながら情報がありません。どなたか、ぜひ体験をお寄せいただけると嬉しいです。

はじめに

化学に限らず、科学知識を語る上で気をつけることは、初めに自然ありきで、それを解明するために科学が発達してきたということを、忘れないでいただきたいということです。

科学は万能ではありません。あくまでも、現時点で得られている知識の範囲で、とりあえず精一杯、辻褄が合うように理由づけをしたもので、まだまだ解明されていないことも多いのです。

全ては「遺伝子」から

DNAについて、タンパク質をコードしている領域の間に、一見、なんの意味もなさそうな繰り返し配列が挟まっているのが知られています。以前は、無意味だと考えられていましたが、近年の研究では、タンパク質の翻訳開始、その時期や量の調節、翻訳終了など色々な機能がある大事な領域であることがわかってきました。

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「遺伝子 (gene) はDNA二重らせん構造からなり、それがさらに巻き上がって染色体に。真核生物の染色体はXのような形で、 イントロン (intron; タンパク質の情報を含んでいない部分) は真核生物の遺伝子内でしばしば見られる構造で、 メッセンジャーRNAに転写された後、スプライシング(分子的な編集作業)により除去される。エキソン (exon) だけが蛋白に翻訳されます。
遺伝子は、ほとんどの生物においてDNAに保持されて、その塩基配列で暗号化された遺伝情報である。ただし、RNAウイルスではRNA配列に記録されている(1)。

「地球の歴史は地層に、生物の歴史は染色体に記されてある」(The History of the Earth is recorded in the Layers of its Crust; The History of all Organisms is inscribed in the Chromosomes.) と、日本の小麦ゲノム解析で中心的役割を果たした遺伝学者、木原均氏は述べているように、種としての生存期間の長い生物ほど、ゲノム大きさ(総塩基対数)が多いということもわかってきています。ただし、その全てが実際に使われているわけではありません。

何代も続いている家の蔵には、色々な品物が収められているけど、実際の日常生活に使用しているのは、ほんのひと握りということです。


ことばの説明

ここで用語の説明を。生物の体を作る情報の流れは
DNA > RNA > タンパク質
となっています。

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# やってみよう(*)

簡単に体験してみたい方むけのちょっとした実験。お子さんとご一緒に

【準備するもの】 30センチくらいの紐(毛糸、麻紐など少し太めのもの)

【方法】 
(1) 半分に折って、切れている片端を右手でつまみ(★)、輪っかになった方に左手の人差し指の先にかけます(↑)。 
 (2) 右手はそのまま横に引っ張っておき、左の人差し指をクルクル回して、捻れなくなるまで紐を捻っていきます。
 3)紐を持ったまま、右手と左手を近づけると、捻れた紐がさらにねじれ、紐が短くなります。

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ねじれば捻るほど歪な形にからまりますが、意外と素直に解けるはず。実際の染色体は、DNAを巻き取る物が間に入っているのですが、長い紐が、ねじれを加えるだけで勝手に短く捩れるのは、意外に面白いですよ。

絵本の紹介

今回の遺伝子ですが、遺伝情報が書き込まれているDNAは、人も、植物も、ウイルスも、なぜか全ての生物で同じものからできています。

よく似た話がエスキモーに伝わっているそうです。
「魔法のことば〜エスキモーに伝わる詩」(柚木 沙弥郎 (イラスト), 金関 寿夫 (翻訳)、福音館書店 (2000/4/25)。現在、残念ながら絶版になっているようですが、図書館にはあると思います。語り口も、挿絵もとても素敵です。)

「ずっと、ずっと大昔
人と動物がともに この世にすんでいたとき
なりたいとおもえば 人が 動物になれたし
動物が 人にもなれた
だから ときには 人だったり、ときには 動物だったり、
たがいに区別はなかったのだ。
そして みんなが おなじことばを しゃべっていた。
…(中略)…
世界はただ、そういうふうになっていたのだ。」


「ときには 人だったり、ときには 動物だったり、
たがいに 区別はなかったのだ。
そして みんなが同じ言葉を しゃべっていた。」
遺伝子にも当てはまる不思議。時には、世界をあるがままと認めてみることも大事なことかもしれません。

参考文献

もう少し専門的に知りたい方のために
1. https://ja.wikipedia.org/wiki/遺伝子、出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

2.、NS遺伝子研究室(HOME: http://nsgene-lab.jp)
>「遺伝子(いでんこ)の部屋」http://nsgene-lab.jp/gene_main/

3.「遺伝子診断の理解のために」(日本語版、米国国立がん研究所及び国立ヒトゲノム研究センター )より、「2. 遺伝子とは?」https://shikoku-cc.hosp.go.jp/book/page02.html

4. 遺伝子とゲノム - DDBJ - 国立遺伝学研究所、https://www.ddbj.nig.ac.jp/activities/gene-genome.html

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