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ママのための化学教室-13: 味噌作り、豆づくし、鬼は外?!

今年も我が家の一年分の味噌を仕込む季節が、やって参りました。
我が家の味噌は、麦麹。今仕込んで、食べ始めは来年のゴールデンウィーク明けくらいです。

一応、2ヶ月くらいから食べられるそうですが、去年の残りもありますし、
冬の間は、寒いところに置いてあるので、発酵はゆっくりのんびり。
切立ち瓶の中で、じんわり熟成してもらうのが気に入っています。
少しずつ味噌が熟成して行くにつれて、料理にも、味にも変化が出てきます。

味噌に関するあれこれ

麹の種類で多少は変わりますが、同じ味噌が、白味噌から徐々に赤味噌へと変化して行くのです。

麹の種類で、米味噌、豆味噌、麦味噌と別れます。地域性が見られるのも面白いですね。(Ref.イチビキ)


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若い味噌は白っぽい色で、少し甘みがあります。

この甘味は、米の澱粉が麹のアミラーゼにより分解されるためで、
糖分は熟成期間が長くなるほど酵母や乳酸菌により消費されて
減少します。なので赤味噌になる程甘味は感じにくくなるのです。

一方旨味は、大豆蛋白質が分解してできるアミノ酸(主にグルタミン酸)に
影響されるので、熟成が進むにつれて旨味が増してきます。

熟成の初期の白い味噌は、味噌汁を多少煮立ててしまっても旨味も
飛びにくいので、初夏の野菜の味噌汁は、優しい味に仕上がります。
まだまだ分解途中ということでもあるのですが、個人的には
安心して味噌汁が温められるのも気に入っています。

徐々に熟成して夏真っ盛りを過ぎる頃には、だいぶ赤味噌になり、
徐々に味に深みがでてきます。

ここまで来ると、煮立て過ぎると味噌汁は旨味が飛んでしまうので
気をつけないといけません。

この頃になると、美味しい秋野菜も出てきて、茄子の味噌炒めなど、
味噌炒めや、おかず味噌を作るのには絶品です。
この時期の味噌は、味噌の中にいろいろな分解物質が増えて、
「塩なれ」という複雑な味を形成してくるため、塩分濃度は同じでも、
舌に感じる塩辛味は減ってきます。

個人的にはこのくらいの味噌が気に入っているので、
この時期に、瓶から袋に小分けして、冷蔵庫へ。

この辺りの熟成度の好みは、地域や個人によって
かなり開きがありますので、ぜひお好みの味を見つけてください。

我が家の味噌も、当初は甘酒麹から作ったのですが、
出来上がり2キロくらいだと、あっという間になくなるし、
仕込むのに1ヶ月以上かかるので、チマチマつくるのは性に合わない!!
と、どっかりつくることに。
(最近はヨーグルトメーカーなどで、少量でお手軽に作れるようです。
流石に一晩くらいはかかるようですが。)

美味しい手作りの無添加味噌のお裾分けは、どなたにも好評です。
市販の味噌は、蔵出ししてから流通過程で酵母が過発酵するのを
防ぐために、アルコールを添加されているものが多いようです。

【器具】

記号の説明: φ=直径。H=高さ。( )=代替品。他にも各自で工夫してみましょう。
      ※= 用途や解説

* 切立ちカメ(5号、容量: 約9L、)  1個

* 円筒形のタッパー(容量 8L、φ30cm x H 15cm) (2)
 ※麹に大豆の煮汁を混ぜて休ませて、潰した大豆を混ぜま

* 漬物|桶(おけ) 又は大鍋 1個 (容量 10L、φ 23cm x H 23cm) (3)
 ※ 大豆を一晩水に浸すのに使用。
  乾燥豆は、水を吸って二倍くらいに膨れます。
  最初の豆は、容器の半分くらいまでに。
  一晩(気温が低くなると長めに。6-8時間を目安に)漬ける時は、
  豆の量のおよそ二倍。浸す時間が少ない場合は、茹でるときの
  水の量は3倍ほどまで増やします。

* 寿司桶 (又は 大きなボールや鍋)   φ33cm 1個 (4)
 (鍋やボール 必要なだけ)
 ※ 茹でた大豆を潰すのに使うので、底はなるべく|平(たいら)な方が便利。

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* 圧力鍋
* ザル

*ポテトマッシャー 1本
 ※大豆を手早くたくさん潰すのに優れもの。
 熱いうちに潰さないと、冷めると固くなるので。

* しゃもじ 大 1本
 ※茹でて柔らかくなった大豆を潰しながら混ぜることで、潰しムラを防ぐ。

* しゃもじ 小 1本
※大豆均等に潰すときに使います。また、潰した大豆を麹の桶に移す時に使用するので、先端は平(たいら)な方が便利

* 小さめのザル  1個
 ※一晩つけ置いた大豆を、漬け汁から取り出して、圧力鍋に入れる時に使う。
   通常豆は漬け汁のまま茹るが、圧力鍋で多めの大豆を茹でる時は、
   圧が上がる時に泡を吹き出しやすいので、水換え。多少マシになる。

* 大きめのザル 1個
 ※茹であがった大豆を取り出し、煮汁と分けるため。煮汁は麹を湿らせて、潰した大豆と混ざりやすくするのに使います。

* 温度計 (測定範囲; 0-100℃)
※茹でて潰した大豆や大豆の煮汁が熱すぎないか、確認するため。

*新聞紙、紐、重石(6kg)
※地域差があると思いますが、我が家のあたりは夏は、かなり暑くなるのと、半年ぐらい熟成させるので、用心のため重石はしっかりとかけています。1-2kgでもOKだそうです。

【材料 (出来上がり10.5kg)】

(乾燥)大豆  2kg
塩入り麦麹  5.76 kg

分量外
 塩  1/2 カップ位
 水

【手順】

1) 豆を一晩水に漬ける(乾燥大豆 : 水 = 1: 2)

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2)膨らんだ豆を圧力鍋で煮る(圧が上がって弱火で6分)
※圧力鍋に、一度では入りきれないので、(2)-(7)の手順は、
4回ぐらいに分けて繰り返します。

3) 圧が下がって豆を取り出し、ザルに受ける。

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4) (2)の茹で汁(50℃以下)又は水を、塩入麦麹にかけて湿らせておく。
 (目安: 塩入麦麹 : 大豆の煮汁 = 5.76 kg : 800 ml、
塩は出来上がりの10.5%以上で10%未満だと
発酵がうまくいかないことがあります。)

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5) 茹で上がった大豆を寿司桶に入れ。ポテトマッシャーで潰す。

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6) (4)に(3)のつぶした大豆を加え、よく混ぜる。
拳で突くように混ぜると混ぜやすいです。

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7) (5)を握り拳大に丸めて、塩を振った仕込み容器に隙間なく押し詰める。

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8) 豆がなくなるまで、(2)から(7)の手順を繰り返す。
 我が家では4回ほど。

9) 全て押し詰めたら、表面を平に慣らして、表面に
 軽く塩をふり、ラップをきっちり広げる。

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10)ラップの上に蓋をして、1-2kgの重石を載せる。

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新聞紙に、仕込んだ日付を書き込んで、涼しいところに置いておきます。
1ヶ月ほどしたところで、一度中を開けて中身をよく混ぜると
発酵が均等に進みます。

今回は、このあと余った大豆の煮汁でパンを焼きました。
そのつぶやきそれがこちら。

大豆のパンには、味噌がよく似合うのがご愛嬌。
バターやジャムも試してみたのですが、いまひとつ。
でもチョコレートは意外に合いました。

お茶請けに、漬物と一緒に食べるのもおすすめです。


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