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【トレーシングレポート#13】フェブキソスタットの中止を提案

トレーシングレポートによる処方提案
をしてみたい、薬剤師のあなたへ


「この患者さん、薬を飲みたくないみたい。話を聞いてみると、今までに 1 回も痛風発作は起こしていないし、血液検査では 1 年以上尿酸値が基準範囲内で、尿検査も糖やタンパクなど問題なし。もしかしたら、フェブキソスタットを止められる可能性があるかも。」

高尿酸血症治療薬を服用している患者さんに服薬指導をしている時、このように思うことがあります。



血清尿酸値を下げたほうが良いとされるのは、どのような患者でしょうか。

それは、今までに痛風発作を起こしたことがある患者です。
血清尿酸値 6.0 mg/dL 以下に下げることで結晶が溶けやすくなり、痛風の発症リスクが減少すると言われています。さらに、痛風のコントロールが不良だと、CKD・糖尿病・心疾患の有病率が高くなります。このように痛風の発作歴がある患者では、尿酸値を低下させることにより痛風発作や入院治療の頻度を減らせることが報告されています。

一方、尿酸低下治療は CKD の進行や心血管疾患の発生を抑制しないことが大規模試験で示されており、むしろ尿酸低下治療が死亡率を増加させる可能性も示唆されています。

これらから、無症候性高尿酸血症患者への尿酸低下治療については、慎重に判断されるべきだと思われます。

国際的には、無症候性高尿酸血症に対する尿酸低下治療は推奨されていません。対応策としては、生活習慣の改善(肥満・喫煙・肉やアルコールおよび清涼飲料水)、併存疾患の最適治療(血圧・心疾患の管理)、定期的な尿酸値の測定と腎機能の評価などが推奨されています。

ひるがえって日本では、「高尿酸血症ガイドライン・痛風の治療ガイドライン第3版」において、腎障害を有する高尿酸血症患者の腎機能低下目的の尿酸低下治療は条件付きの推奨となっています。また、「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018」でも、高尿酸血症を合併している CKD 患者への尿酸低下療法は、腎機能悪化を抑制し、尿タンパクを減少させる可能性があるとし、尿酸低下治療を推奨しています。

では、今回の患者さんのように、痛風発作が一度もなく、CKD の既往歴がなく、心血管疾患のリスクも高くなく、しかも血清尿酸値が年余にわたり基準範囲内を維持している場合、高尿酸血症治療薬の服用は本当に必要なのでしょうか。

血清尿酸値を下げる意味は、痛風をはじめとする疾患に罹りにくくすることです。決して、数値を下げること自体が目的ではありません。

今回のようなケースは、フェブキソスタットを続けるのか中止するのか、検討するに値するケースだと思います。

もちろん、服用を継続するのか中止するのか、特に重要なのは患者さんの意思なので、その確認は必須です。



服用を続けることが医学的に誤りだとは言えず、特に薬物有害事象も見られないような場合、そのまま何となく服用が続いていく…

もし、添付文書に「~にわたって漫然と使用すべきでない」「一定期間投与後、継続の必要性について検討する必要あり」などと記載がある薬剤であれば、疑義照会をします。

しかし、そうではない薬剤の場合、漫然投与かもしれないな…と思っても、なかなか疑義照会できないことが多いのではないでしょうか。

たとえ思い切って疑義照会をしても、「そのままでイイから」と医師から回答があることが常です。「忙しいときに、そんなことでかけてくるな」と言われた経験も、ひょっとしたらあるかもしれません。

そんなときは、疑義照会で何とかしようとするのではなく、トレーシングレポートによる処方提案がとても有効です。

「漫然投与となっている薬剤の検討は緊急性が低いから、忙しい時に疑義照会が来ても、今すぐ対応しようという気には正直ならない」と、ある医師に言われたことがあります。

そして、同じ医師に「さしあたり問題がなければ、前回と同じ薬を出してしまうから、トレーシングレポートで漫然投与の薬について提案してくれるのはありがたい!」とも言われました。

実際、漫然投与が疑われる薬剤について疑義照会で問い合わせたときには、まず提案を受け入れてもらえませんでしたが、トレーシングレポートで相談するようにしてからは、採用してもらえるケースが一気に増えました。

ぜひ、漫然投与の解消にトレーシングレポートを利用してみてください。

ただ、トレーシングレポートによる処方提案をはじめてする場合、「患者さんから、どうやって話を聞き出したらいいんだろう」「どうやって、医師に対して失礼にならないように文章を書いたらいいんだろう」など、悩んでしまい、一歩が踏み出せないこともあると思います。

そこで、

具体的な内容のため有料となりますが、
「服薬指導時の会話」および「それを基に作成したトレーシングレポート」
を 680 円で販売します
(特定の患者さんの医療情報ではなく、典型的なモデルケース)。

そして、

【返金申請を受け付けます】
ぜひトレーシングレポートを使って処方提案ができるということを実感していただきたいです。まったく参考にならなかったという場合は返金しますので、最初の一歩を踏み出せないという方は、一度試してみてください。

もちろん、この内容がいつでも正しいというわけではありません。

今までに 300 件以上トレーシングレポートによる処方提案を実施し、その 80% 以上が採用となった経験を、あなたと一緒に共有できたらと思いました。

ちょっと話を聞いてみたいな、と思われたら購入をご検討ください。



以下が有料部分についての概要です。




【処方および提案内容など】
50 代 男性 

1.フェブキソスタット錠10mg 1 錠
 1 日 1 回 朝食後 28日分

2.タムスロシン塩酸塩OD錠0.2mg 1 錠
 1 日 1 回 朝食後 28日分


・現病歴:高尿酸血症( 数年前の健康診断時に血清尿酸値が 7mg/dL を越えていたことが分かり、薬物治療を開始。ここ 1 ~ 2 年は 5 mg/dL ほど.過去 1 度も痛風発作なし。)、前立腺肥大症。


・併用薬:なし


・肝機能障害:なし


・腎機能障害:なし


・処方提案の内容 :フェブキソスタット錠10mg の中止


・提案結果 : 上記のとおり変更


・その後の経過 :尿酸値はやや増加したものの、基準範囲内を維持。


【特徴】
・薬剤師と患者さんのやりとりを会話形式で記載

・上記を基に作成したトレーシングレポート




【参考文献】
Characteristics, Comorbidities, and Potential Consequences of Uncontrolled Gout: An Insurance-Claims Database Study
Megan Francis-Sedlak , Brian LaMoreaux , Lissa Padnick-Silver , Robert J Holt , Alfonso E Bello 
Rheumatol Ther. 2021 Mar;8(1):183-197. PMID: 33284422


The dirty little secret of urate-lowering therapy: useless to stop chronic kidney disease progression and may increase mortality
Guillermo Gonzalez-Martin , Jaime Cano , Sol Carriazo , Mehmet Kanbay , Maria Vanessa Perez-Gomez , Raul Fernandez-Prado , Alberto Ortiz
Clin Kidney J. 2020 Sep 16;13(6):936-947. PMID: 33391737


How should we manage asymptomatic hyperuricemia?
Gérard Chalès 
Joint Bone Spine. 2019 Jul;86(4):437-443. PMID: 30316974


【対象】
・トレーシングレポートを使って処方提案をしてみたいとは思うものの、行動を起こせずにいる方

・トレーシングレポートの文章が書けずに困っている方

・患者さんから情報を聞き出すことや、医師への情報提供にあたっての同意をとることに難しさを感じている方


【対象外】
・疑義照会で十分な処方提案ができると確信している方

・患者さんから、じぶんが欲しい情報を難なく情報収集できる方

・医師に向けて文章を書くことに、難しさを感じていない方



最後に…

疑義照会がマイナスをゼロにするためのものだとすると、トレーシングレポートによる処方提案はゼロをプラスにするためのものと言えるかもしれません。

トレーシングレポートによる処方提案は、患者さんの医療の質を高め、患者さんに寄り添うための、あなたの新しい武器になります。

ぜひ、購入をご検討ください。


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