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【トレーシングレポート#14】リセドロン酸ナトリウム錠の開始を提案

トレーシングレポートによる処方提案を
やってみたい薬剤師のあなたへ

「町主催の健康フェアで測定した YAM が 68%。今までに骨折したことはないみたいだけど、糖尿病を患っていることも考慮すると、この患者さんは骨粗鬆症治療薬を開始したほうがいいのかもしれない。でも、こんな内容で疑義照会するのはありなのかな…」

服薬指導中に患者さんの話を聞いている時、このように思うことはないでしょうか。

処方内容自体に疑義がないのであれば、医師に電話をかけて問い合わせをするのはハードルが高いと感じます。今回のようなケースでは緊急性も乏しいですし、なおさらそのハードルは上がります。

こんなとき、次回受診した際に測定結果を医師にみせるよう患者さんに言うことが多いですよね。しかしそれだと、患者さんと医師にすべて丸投げしていて、果たしてこれでいいんだろうかと思ってしまいます。なにより、薬剤師としてのアセスメントが医師に伝わりません。

このようなケースではトレーシングレポートを利用するのがとても有効です。

トレーシングレポートは、緊急性はないものの薬剤師としてのアセスメントを医師に伝えたいときに威力を発揮します。その有用性は、薬剤師・患者・医師の関係を今までと違うかたちに変えるほど大きいものです。



骨粗鬆症の定義は「骨密度が若年者平均の 70%未満」「すでに脆弱性骨折があれば 80%未満」です。また疫学的研究により、2型糖尿病患者はそうでない患者に比べて骨折リスクが高いことが示されています。

これらから、冒頭のようなケースでは骨粗鬆症治療薬の開始を検討してもよいかもしれません。もちろん患者さんの考えなどをふまえたうえで、ですが。

では、60 代女性、糖尿病の他に現病歴なし、既往歴なし、定期的な歯科通院あり、肝機能および腎機能に問題なし、併用薬(OTC含む)なし、喫煙歴なし、認知機能問題なし、ADL 自立、このような条件の場合、どのような薬剤を医師に提案したらよいでしょうか。

骨粗鬆症治療薬には、ビスホスホネート製剤、SERM、活性型ビタミンD3製剤、ビタミンK2製剤、Ca製剤、抗RANKL抗体製剤、抗スクレロスチンモノクローナル抗体製剤、副甲状腺ホルモン製剤、カルシトニン製剤、女性ホルモン製剤が使用されます。

このなかで、骨密度・椎体骨折・非椎体骨折・大腿骨近位部骨折の 4 項目がすべて A 評価の薬剤は、抗 RANKL 抗体製剤のデノスマブ、女性ホルモン製剤の結合型エストロゲン、そしてビスホスホネート製剤のアレンドロン酸とリセドロン酸です(骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版)。

今回の場合、患者さんが注射薬に抵抗があり、かかりつけ医がビスホスホネート製剤を普段から処方しなれているため、リセドロン酸を処方提案しました。アレンドロン酸ではなくリセドロン酸を提案した理由は、月に 1 回の服用でよいなら服用負担が少なくてよいと、患者さんが話されていたからです。

もちろんガイドラインの評価だけを基準に決定するわけではないので、患者さんの状態や意向などによって、ビスホスホネート製剤以外の薬剤を選択することもあります。SERM や活性型ビタミンD3製剤も、よい選択肢になることが多いです。

さて、今回のケースのように新しい薬剤の開始を提案するトレーシングレポートでは大切なことが 2 つあります。

ひとつめは、患者さんの考えや好みをしっかり聞きとることです。医師が薬剤師からのトレーシングレポートを読んだうえで、提案どおり薬を開始しようと患者さんに服用方法を説明した途端、患者さんが「注射は無理」「粉の薬は飲めない」などと薬剤を拒否するような場合、医師も患者さんも困ってしまいます。

ふたつめは、どんな注意点がある薬剤なのかを説明しておくことです。特徴的な副作用と、服用を開始しなければ気にする必要がない事柄については、患者さんに伝えておいたほうがよいです。ビスホスホネート製剤であれば、顎骨壊死や歯科受診時に注意が必要なこと、独特の服用方法などがそれにあたります。

なんのためにこの 2 点を実施するかといえば、「そういうことは(薬剤師が)先に言っておいてよ!」と医師や患者さんが言いたくなるような事態を避けるためです。説明不足が原因で時間がムダになり、薬剤師に対して不信感が芽生えてしまう可能性は、できる限り生じないようにしておきたいです。せっかく手間暇をかけてトレーシングレポートを書くのですから、三者にとってプラスになったほうがいいですよね。



ここまできて、「よし、トレーシングレポートによる処方提案をやってみよう!」とは思ったものの、いざ書こうとすると、どうやって書いたらよいのか分からず、最初の一歩がどうしても踏み出せない。そんなことがあると思います。


そこで、

具体的な内容のため有料となりますが、
「服薬指導時の会話」および「それを基に作成したトレーシングレポート」
を 680 円で販売します(特定の患者さんの医療情報ではなく、典型的なモデルケース)。

そして、

【返金申請を受け付けます】
ぜひトレーシングレポートを使って処方提案ができるということを実感していただきたいです。まったく参考にならなかったという場合は返金しますので、最初の一歩を踏み出せないという方は、一度試してみてください。

この対応がいつでも正しいというわけでは全くありません。

今までに 300 件以上トレーシングレポートによる処方提案を実施し、その 80% 以上が採用となった経験を、あなたと共有したいと思っています。

ちょっと話を聞いてみたいな、と思われたら購入をご検討ください。



以下が有料部分についての概要です。




【処方および提案内容など】
60代 女性 

1.シタグリプチン酸塩錠50mg 1 錠
 1 日 1 回 朝食後 28日分


・現病歴:2型糖尿病(数年経過)。現在 HbA1c 6.8。


・歯科通院:3ヶ月ごとに定期健診。


・併用薬:なし


・肝機能障害:なし


・腎機能障害:なし


・処方提案の内容 :リセドロン酸ナトリウム錠75mg の開始


・提案結果 : 上記案採用


・その後の経過 :副作用の発生なし。服用後の骨折なし。画像検査および骨代謝マーカーなどで改善を確認。



【参考文献】
骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版
ライフサイエンス出版

STOPP/START criteria for potentially inappropriate prescribing in older people:version 2.
O'Mahony D, O'Sullivan D, Byrne S, O'Connor MN, Ryan C, Gallagher P.
Age Ageing. 2015 Mar;44(2):213-8.  PMID: 25324330


【特徴】
・薬剤師と患者さんのやりとりを会話形式で記載

・上記を基に作成したトレーシングレポート


【対象】
・トレーシングレポートを使って処方提案をしてみたいとは思うものの、行動を起こせずにいる方

・トレーシングレポートの文章が書けずに困っている方

・患者さんから情報を聞き出すことや、医師への情報提供にあたっての同意をとることに難しさを感じている方


【対象外】
・疑義照会で十分な処方提案ができると確信している方

・患者さんから、じぶんが欲しい情報を難なく情報収集できる方

・医師に向けて文章を書くことに、難しさを感じていない方



最後に…

日々の業務のなかで、疑義照会で新しい薬の追加を提案するのは難しいと感じませんか?トレーシングレポートなら、無理なく提案することが可能です。

トレーシングレポートによる処方提案は、対人業務を推進し患者さんが受ける医療の質を高める、あなたの新しい武器になります。

ぜひ、購入をご検討ください。


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