スコフヴィンとスクフガバルドゥル

 スコフヴィンは、曰く、狐と猫のあいだに生まれた子であり、猫の方が母である。スコフヴィンは産まれてくる前に、常に殺されねばならない。* スクフガバルドゥルは、父系は猫だが母系は狐で、ステプニヴァルグルこと、他人の家畜を八つ裂きにするために魔法使いが力を与えた狐と同じく、牙を剥いて襲ってくるかもしれないし、銃で撃とうとしても、その銃を点火することは決してできない。一匹のスクフガバルドゥルが、フーナヴァトゥンスフレフプル区民の家畜を大いに害した。そいつは、ブレンドゥギール渓谷の側にある穴で見つかり、集まった人々の手で殺されることとなった。スクフガバルドゥルは刺し殺される寸前に言った。「ボフトゥラスタージィルの猫に伝えろ。スクフガバルドゥルは、今日、地の割れ目で刺し殺された、と」。これは驚くべきことに思われた。スクフガバルドゥルを殺した男がボフトゥラスタージィルに着いたときは夜になっていた。男はベッドで横になると、今回のことを話した。梁の上には一匹の雄猫が佇んでいた。男がスクフガバルドゥルの今際の言葉を口にしたとき、梁にいた猫が飛びかかって爪と顎でずぶりと男の喉に貼りついた。引き剥がそうにも、その猫の首を落とすまではできず、できたときには男は既に死んでいた。

牧師スクーリ・ギストゥラソン収集。マイリフェフトゥル山のエイナル・ビャルトゥナソンの話より。

*スコフヴィンに関しては、ふたつの話がある。次の話を参照。

(„Skoffín og Skuggabaldur.“ 1862. Íslenzkar þjóðsögur og æfintýri. I. bindi. Safnað hefur Jón Árnason. Leipzig: J.C.Hinrichs. Bls. 612-613.)


脚注を加えたものは、ウェブサイト「氷本(ひょうほん)」で公開しています。「スコフヴィンとスクフガバルドゥル」(http://isl-jp.net/skoffin-and-skuggabaldur

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