隠され人の起こり

あるとき、全能の神がアダムとイヴのもとにやって来た。彼らは心から神を歓迎し、家にあるものを全て見せた。自分たちの子どもまで見せたが、神にはその子たちが前途有望に思えた。見せてくれた子たち以外にも子どもがいるのではないか、と神は訊いた。いいえ、とイヴは答えた。実のところ、何人かの子どもたちの身体を洗い終わっていなかったために、神に見せることを恥じ、その子たちを隠していたのだった。神はそのことを知っていた。「私の前から隠さなければならないものは、人間の前からも隠さなければならない」そうして隠されていた子どもたちは、人間の目には見えなくなり、岩だらけの丘陵や草の生えた丘、大岩などのなかで暮らした。彼らからは妖精が生まれ、イヴが神に見せた子どもたちからは人間が生まれた。妖精自身が望まない限り、人間は決して彼らを見ることができないが、妖精たちは人間を見ることができ、自分の姿を人間に見えるようにすることもできる。


(„Huldumanna-„Genesis.““ 1862. Íslenzkar þjóðsögur og æfintýri. I. bindi. Safnað hefur Jón Árnason. Leipzig: J.C.Hinrichs. Bls. 5.)

アイスランド語−日本語および日本語−アイスランド語辞書の作成やアイスランド文学の翻訳・研究のために使わせていただきます。