考え方についての備忘録①

考え方に関する備忘録として現時点での到達点として残す。
コラムでも考え方についてはいろいろやりましが、まとめのようなものです。

データや基準等

8巡目先制良形リーチアガリ率は約60%(巡目毎に3%程度変化)
8巡目先制良形ダマアガリ率は約70%強(巡目毎に3%程度変化)
8巡目先制愚形リーチアガリ率は約40%強(巡目毎に2%程度変化)
8巡目先制愚形ダマアガリ率は約50%強(巡目毎に2%程度変化)
8巡目追っかけ良形リーチアガリ率は約40%強放銃率15%弱
8巡目追っかけ愚形リーチアガリ率は約30%放銃率15%強

先制良形・愚形アガリ率データ
リーチ打点表
平場・リーチ基準(筆者基準)
テンパイ時・対リーチ押し引き基準表(筆者基準)
1シャンテン時・対リーチ押し引き基準表(筆者基準)
天鳳段位戦における8000点アガリ価値指標(みーにん本より)

牌の危険度表

コラム0 何が目的か?

麻雀を打つ目的はなんだろうか?

麻雀がゲームである以上、楽しむことが目的な人は多いだろう。というか普通はそうだ。
役満などの大きい手を上がったり、振ったり振り込んだりを楽しむのが一番このゲームを楽しめると思う。
(正直なところ「楽しむ」という観点からは強くなろうとしないほうがいいかもしれない。ある程度強くなったらこのゲームがいかにくだらないか痛感するハメになるからだ。)

ただ、自分の場合は「できるだけptを最大化させる打牌を行う」ことが一番の目的である。ということでここからの記事も「ptの最大化」を一番の目的という前提で記事を書いていくのでご了承ください。あとネトマがメインの話になるので、トップ取りやチップの話などは出てこない点も注意してください。
(ただ、個人個人の麻雀の楽しみ方を否定するつもりは全くないです。麻雀はどう打とうがすべて個人の自由です。)

(ちなみに筆者は「ptを最大化させる打牌ができているか?」と常に自問自答しながら打てばこのゲームはそうそう負けるゲームではないと思っている。
また、「局収支を高めること」や「押し引きの精度を上げること」や「状況判断能力を鍛えること」は全て勝つための手段であり、それ自体は目的ではない。何度も繰り返すが手段と目的の混同はしてはいけない。)

コラム1 何を参考にするべきか?

このゲームを強くなる上で何が必要だろうか?
筆者もこのゲームがそれほど強いほうではない。もちろん世間一般的に見て弱いということは流石に無いだろうが「トップofトップ」かと言われれば全くそんなことはない。ということでどうやって強くなるかについて明確な回答ができるわけではないが一応ここでは考えを喋りたいと思う。

「ルールすら知らない人」
個人的にここの人が一番難易度が高いと思う。ルールを覚えるのは意外と大変だからだ。
負けてもいいのでまずは実戦を何十戦かやることをオススメする。
その後にネットのルールが書いてあるページを見たり、初心者用ルールブックを買ったりしたらいいだろう。ルールを覚えるのはかなり大切。
そして実戦をこなしながら徐々にルールを身につけていくといいと思う。

「金の間・上級卓以下で勝てない人」
ウザク本と科学する麻雀と現代麻雀技術論を読めばいい。(ウザク本と現代麻雀技術論は持っていないので多分いいだろうという憶測ですw)
配信やyoutubeの講座も有用(平澤さんやゆうせーさんやウザクさん、天鳳位や各位Mリーガーなどがオススメ)。NAGAやmortalの活用もアリ。
後は実戦あるのみ。

「玉の間・特上卓」
ウザク本と科学する麻雀と現代麻雀技術論を読めばいい。
配信やyoutubeの講座も有用。NAGAやmortalの活用もアリ。
後は実戦あるのみ。

「魂天・鳳凰卓」
NAGAやmortalの活用、お知らせ本を読めばいい。
後は最新本(上級者用の本はいっぱいある)から情報の吸収をするのが一番手っ取り早いと思う。
このあたりからは実戦こなしても多分あんまり強くならないっす。

こんな感じだろうか。ちなみに私は
・「現代麻雀最新セオリー」(雀ゴロK著)
・「麻雀鳴き読みドリル」(平澤元気著)
・「絶対にラスを引かない麻雀 ラス回避35の技術」(平澤元気著)
・「新 科学する麻雀」(とつげき東北著)
・「鬼打ち 天鳳位の麻雀メカニズム」(お知らせ著)
・「統計学のマージャン戦術」(みーにん著)
の6冊の麻雀本以外は持っていないので、これ以上~を参考にしたらいいというのは言及できない。
まあ言いたいことは、「ウザク本」+「科学する麻雀」+「現代麻雀技術論」+「AI」で「魂天タッチ、鳳凰卓タッチ」くらいは多分楽勝でいけるよってこと。それ以上の知識は王座とか鳳凰卓になってからで十分です。

じゃあこのページは何のためにあるかって?それらを買わなくてもある程度打てるようにページを作っているつもりです。情報をかいつまんでるので手っ取り早く強くなれるとは思いますが信憑性には欠けることはご了承ください。本当に強くなりたいならこのページ読まずに本読んでAI使ったほうが早いかも・・・。

ちなみに座学をしたほうが絶対早く強くなれる(と思う)。そこそこ評判のいい麻雀本を何冊か買って、AIを参考にすれば一か月で魂天レベルくらいにはなれるほど今の麻雀界は強くなるための道が整備されていると思う。

コラム2 最も意識すべきこと

このゲームの牌効率は
フェーズ1 最も弱い孤立牌を切る
↓ 
フェーズ2 (孤立牌がなくなったら)最も弱いターツを切る or
       最も強いターツにくっついたフォロー牌を切る

フェーズ3 テンパイしたときにリーチするか考える
この3つのフェーズが大原則である。
(ただし厳密にいうとフェーズ1・フェーズ2は正しくない。多くの場面では上の考えで間違ってないが、正しくは、「手牌で最も価値のない牌を切る」である。ターツよりも強い孤立牌を残す場合は多々あるし、場合によっては面子より価値があるターツもあったりするからだ。)

意識① 5ブロックを常に意識する(6ブロックは弱い)
意識② 頭をどこに求めるか常に意識する(唯一のトイツは絶対に切らないこと、2トイツの場合もトイツを落とすことはあまりしない)
意識③ 強いターツのフォロー牌ではなく弱いターツのフォロー牌を残す
この3つのことだけは常に意識しておきたい。

上のことを意識するだけで牌効率の基本はほぼマスターしたと言っても過言ではない。後は頻出する形を覚えるだけだ。
出来るだけシンプルに考えて難しく考えないようにしよう。

コラム3 なぜリーチがここまで強い?

なぜこれほどまでにリーチが優位なのだろうか?リーチのアガリ打点の表を見てほしい。

リーチ時の打点表

ピンフのみでもダマだと1000点程度だがリーチを打つと3500点まで打点が跳ね上がる。
リーチは1.5ハン役ということがよくわかってもらえると思う。
そうはいってもリーチ時のアガリ率が大幅に下がっては意味が無いと思うかもしれないが、リーチのアガリ率は8巡目で
「ダマ良形約70%強」←→「リーチ良形約60%弱」
「ダマ愚形約50%強」←→「リーチ愚形約40%」
とリーチを打ったからといってそれほど下がるものでは無いということが分かっている。
リーチという行為は「打点が倍以上になるのにアガリ率が15%弱程度しか下がらない」強い行為ということをよく認識しておこう。

ただし、3ハン4ハンまでいくと満貫の壁にぶちあたりそれほど打点が上がらなくなってくる。アガリ率の低下のデメリットのほうが打点上昇のメリットを上回り、ダマ優位になりやすくなるのは注意が必要だ。特に役有り愚形はリーチを打つかどうかはよく吟味すること。

コラム4 データを知る意味

色んなデータを知る意味はなんだろうか?

ある程度打てる人はほとんどの人が基準を作る。基準とは
・ピンフのみはリーチ
・役牌は1鳴き
・2シャンテンからはオリ
簡単なものでいうとこういったものだ。(もちろんもっと細かく基準はあるだろうがここでは本題と避けるので言及は避ける)

ただ、すべての状況でピンフのみをリーチするわけではない。例えばアガリトップの状況ならほぼダマだろうし、南4局のダントツのラス目なら3シャンテンからでもゼンツするだろう。
ちょっと極端な例だったが、このように場況から判断を変えることは往々してある。

ここまで極端でなく、例えば
・「8巡目、鳴けば2000のテンパイ、スルーしたら満貫のイーシャンテン」
・「6巡目、ドラ2の良形+良形の完全イーシャンテンだが先制リーチを受けた」
みたいな難しい場面だったらどうだろうか?
ここで基準が役に立つ。平場で押すのが得か損かを知っていれば、場況に応じてどっちに修正を加えるか役に立つのだ。
「8巡目、鳴けば2000のテンパイ、スルーしたら満貫のイーシャンテン」は「スルーしたほうがちょっと得だったと思う」が、「3着目で点棒が欲しいのでスルーして満貫を目指そう」とか「他家が相当早そうなので対応して鳴こう」みたいな対応が出来る。
「6巡目、ドラ2の良形+良形の完全イーシャンテンだが先制リーチを受けた」は「押したほうがちょっと得だったと思う」が「自分が1着目なので押すのはやめとこう」とか「自分が4着目なので是非押そう」みたいな対応が出来る。

その基準作りにデータは欠かせない、ということだ。基準が間違っていてはずっと損をすることになる。場況によって修正を加えるどころの話ではない。

ある程度正しいデータを参考に自分なりの基準を作り、その基準を元に場況に合わせて修正を行うのが一番楽で勝ちやすい打牌選択になると思う。

コラム5 どっちを切る?

どっちを切るか迷う牌姿に出くわすことはよくある。
比較して理由をいろいろあげてもいいがどっちを残したらよくわからないときは、どんなときでもどちらが周りの牌を引いたら嬉しいかの比較をすればよいだけだと思う。それを考えればもし間違えたとしても、次善くらいは選べるはずだ。
物事は出来るだけ単純に考えよう。複雑に考えられるほど人間の頭は精巧には出来ていない、複雑に見えてもそれは単純なことの積み重ねでしかない。

コラム6 アガリから遠い手牌

アガリから遠い手牌の牌効率については結構難しい。人によって意見が割れやすい上に分岐がたくさんあるからだ。
ただ、身も蓋も無いことを言うとアガリから遠い手牌の牌効率についてはそれほど気にしなくていい。どうせアガれる確率が低いんだからアガり率が3%から4%になったところで期待値に大差はない。そういった手牌の場合は放銃率を下げる手組みや場況対応に重きを置いたほうがいい。

牌効率は「アガリから近いシャンテン時の選択」や「テンパイ時の待ち取りの選択」でミスをしないよう心がけよう。

コラム7 手牌価値は何点?

さきほど「アガリ率×打点」で期待値を計算したが本当に正しいのだろうか?
実は正しくない。それは「他家のアガリを潰す」ことの点数価値が入っていないからだ。

「局収支」=「アガリ率×打点」-「放銃率×放銃打点+被ツモ率×被ツモ打点」

自分のアガリ率が上がると「放銃率×放銃打点+被ツモ率×被ツモ打点」の部分の放銃率と被ツモ率が下がる。アガった瞬間に放銃することも相手にツモられることもなくなるからだ。

ではその部分をどう見積もるといいのだろうか?一般的にベタオリをすると「子で1100点の損」、「親で1700点の損」と言われる。つまり自分のアガリ率が0になった瞬間にこれだけの損が生まれるということだ。ただしこれは「被ツモ率×被ツモ打点」の部分だけで「放銃率×放銃打点」の分は入っていない。(と思う、そこまで詳しいことは筆者も分からないので・・・w)

ということで自分の場合は誰も他家の明確が入っていない場面は「子の場合はアガリ率10%上がるごとに150点加点」「親の場合はアガリ率10%上がるごとに250点加点」で計算している。この計算が正しいかは正直分からないが相手の手を潰すことはそこそこの価値があるということは感覚としてもっておいてほしい。

上家から出3p

さきほどの手牌だが、今度は相手のアガリまで見た手牌の期待値を計算してみよう。
2000×70%+1500×70%=2450点 vs 7200×25%+1500×25%≒2200点
ということで鳴いたほうが得という結果になった。相手のアガリを潰す価値はそこそこ大きいのである程度評価に入れたほうがいい。

(ちなみに上の計算はどちらの打牌が得かを判断するためのものであって正確な期待値的にはまったくもって正しくない。正確には

2000×70% -(放銃率8%×放銃打点5000点+被ツモ率10%×被ツモ打点1500点)≒850点
VS
7200×25% -(放銃率14%×放銃打点5000点+被ツモ率25%×被ツモ打点1500点)≒700点

みたいな話になると思うがいちいちそれを計算するのも無理だし、実戦的にはどっちの打牌が得か分かればいいだけの話なので省略した。流局率やリーチ棒、横移動確率まで考慮に入れた細かい期待値計算は科学する麻雀あたりの本を買って読んでほしい)

コラム8 本当に正しい?

ここまで書いてきたことは本当に正しいのだろうか?

もちろん筆者自身は正しいと思っているし、間違ったことを広めようとしているわけもない。しかし、実際問題書いたことが全部正しいということは絶対になく、どこかは必ず間違っている。

麻雀の戦術本で全て正しいことを書いていることは無いし、全て間違っているということもない。結局何が正しいか正しくないかは常に自分が判断するほかないのだ。これは麻雀の戦術本だけでなくすべての事柄に言えると思う。

ということで常に疑ってこのnoteも見ていただくようお願いいたします。

コラム9 何との比較?

「ある手牌Aで5mを切れば局収支+3000点、5sを切れば局収支+2000点」だったとしよう。
また、「ある手牌Bで5mを切れば局収支+300点、5sを切れば局収支+100点」だったとしよう。
また、「ある手牌Cで5mを切れば局収支+30点、5sを切れば局収支+10点」だったとしよう。

どれも5mを切るのが正着なのだが、Bの局収支は低いから打牌はどうでもいい、なんてことになるだろうか?当然なるわけが無い。
またAでの打牌とBでの打牌は何か関係があるだろうか?これも完全に独立しており関係性が無い。

結局、「その手牌の中で何を切るのが局収支(厳密にはpt効率)が高いか」だけを考えればいいということになる(これは牌効率の話だけでなく、全ての打牌に言える)。

Aの牌姿の期待値を持ってきて、Bの牌姿の期待値について議論するような人を時たま見るが、その比較に意味は全くないし、そんな比較をするくらいならしないほうがいいよっぽどいい。特に押し引きの場面でそういう比較をしている人をよく見かける。「まさか、そんなことしないよw」と思うかもしれないが人間はそういう謎の比較をしてしまう生き物なのだ。
(もちろんある手牌Aでのミスのほうがある手牌Bでのミスに比べて成績影響度は遥かに高いということは認識しておいたほうがいい。
ちなみにCくらいになると今度は逆にどうでもよくなってくる。勝敗に直結しないようなあまりにもどうでもいい微差は人間レベルでは深く考えなくていい。人間レベルではそんな微差を考える前に減らすべきミスが山ほどある。)

全然配牌が入らないときもあるだろうが、悪い配牌の中でもきちんと打牌比較を行い最善を尽くすことを心がけよう。良い配牌の残像を追って打牌をしても意味はない。

コラム10 牌効率の必要性、不必要性

麻雀の成績影響度が高いものは何だろうか?

「超高」めくりあい運>配牌運>展開運
「高」初歩的な押し引き>初歩的な牌効率>初歩的なベタオリ>初歩的な点数状況把握能力
「中」手組みの構想力=待ち取り=難しい押し引き=他家と自分とのスピード感覚>リーチ判断=難しいベタオリ=仕掛けてテンパイ取るかどうか=難しい点数状況把握能力
「低」メンタル維持=相手の手牌読み=山読み=打点読み=1シャンテン時の牌効率=食い仕掛けのタイミング
>シャンテン数の遠い牌効率=他家の利用

自分が思う成績影響度の高い項目を順に並べたが、「どこまで行っても麻雀は運ゲーである」、ということを言いたい・・・わけではない。
(麻雀が運ゲーなのは純然たる事実であるが、長期的にはやはり収束して弱い人は負け、強い人が勝つ。その収束が長すぎるため数十局の成績などはじゃんけんでしかないことは強い人なら皆知ってるだろうが、まあその話はここでは置いとこう。)

一番言いたいことは「実力介入要素の重要度の高いものから順に磨いていくべきであり、重要度が高いものは結局押し引きなので押し引きの精度を高めるべき。牌効率は初歩的なものさえ出来れば十分」ということだ。なぜそう思うかというと、本で出てくるような難しい牌効率はあまり出てこないからだ。難しい牌効率をやるのが無駄とは言わないが成績影響度の高い項目を勉強したほうがはるかに効率がいい。
さらにいうと押し引きで±500点変わるような打牌は平気で出てくるし判断が難しいことも多々あるが、牌効率で±500点変わるような牌姿は中々出てこないしそもそもそれをミスすることも難しい(めくりあいの勝ち負けで±5000点くらい平気でするけどね・・・w)。普通に打てばそこまで大きなミス無く打てるのが牌効率なのだ。
もちろん牌効率を完璧に打つことは相当難易度が高く、極めようとするのは至難の業だがそれはもはや趣味の領域で好きな人がやればいい。押し引きをがんばって勉強したほうがよっぽど役に立つ。

コラム11 実戦でどこまで使えるか?

実戦を3例見てきたが、どうだっただろうか?

難しいと感じる人もいるかもしれないが、ある程度打てる人なら一瞬で答えが出る問題ばかりで、このくらいの難易度の牌効率は反射で2,3秒で判断できるくらいでないと実戦で戦うのは厳しいと思う。

「深く考えれば分かる」というのは実戦では役には立たない。どんなことでもそうだが、「反射で出力される」レベルまで昇華させないと半端な知識はかえって邪魔になることも多い。

簡単な牌効率は実戦を何度もこなして、反射で出力される状態に持っていこう。

コラム12 普通のことを普通にやる大切さ

麻雀はミスをしたほうが負けるゲームだとよく言われる。
本当にその通りだと思う。

「好プレー」が「+100点」だとしたら、「ちょっとしたミス」は「-100点」、「ドデカイミス」は「-1000点」くらいはあったりする。

人間レベルでは「ドデカイミス」をどれくらいやらないかで勝負が決まる。また「ちょっとしたミス」も数多くしてしまうとやはり痛い。
ファインプレーをしても容易に取り戻せないゲーム性なのだ。

よほどセンスがある人間以外は「うまいプレイヤー」ではなく「負けないプレイヤー」を目指すべきだ。普通のプレイを普通に積み重ねることこそが一番勝ちやすいプレイングになると自分は信じている。

コラム13 難しいルートと簡単なルート


麻雀には難しいルートと簡単なルートがある

親から發

開局早々こんな手を貰った場面、親から發が出てきた。
鳴いたほうが得か、スルーが得かは筆者の雀力では分からないが、例えば
・鳴いて最善に打てば期待値-500点
・スルーして最善に打てば期待値-600点
だったと仮定しよう。(実際に得か損かはここではいったん置いておいてほしい)

だから鳴くべき!となるだろうか?
個人的には結構微妙な話で、むしろ人間的には鳴かないほうが長期的に見て得なんじゃないかとすら思える。
鳴いたらこの手は間違いなく難しいコースに入る。
「ここからさらにどこを鳴くのか?」「自分の手の守備力はどれだけあるのか?」「守備はいつごろから考えたらいいのか」
考えることだらけで、相手から攻撃を受けたらかなりミスをしやすい手だと思う。

面前ならどうか?
「2枚目を鳴くかどうか」「後付けで仕掛けるかどうか」という問題は残るがそれほどさばくのが難しい手ではないだろう。先制されたら發二枚を使ってオリればいいだけだ。

神様との差

結局のところ、どこまでいっても人間は神様にはなれない。人間レベルでは最善手を全て選ぶのは絶対に無理だ。
この手は確かに最善手は鳴きかもしれない。しかし、人間は往々にしてミスをする生き物だ。
「人間的にミスをしにくいルートを取る」というのも人間レベルでは十分アリな選択だと思う。

自分に技量があって細い道でも渡りきる自信があれば難しいルートを選ぶ
のは素晴らしいことだと思うし、最善手を選ぼうとする姿は美しい。
雀風というある種の逃げ道を作って、自分の苦手な分野を避けて得意な分野で勝負するのもそれはそれで人間らしいと思うし、どちらかというとそちらのほうが現実的だと思う。

どちらを選ぶかは個人の判断だが、個人的には最善手ばかりを追い求めないほうがいいと思う。
難しいルートは出来るだけ避け、「S級ミス」だけはしないような麻雀のほうが人間的には勝ちやすい気がする。

コラム14 成績影響度と難易度

麻雀というゲームは総合力のゲームだとよく言われる。
攻撃と防御が密接に関わっており、様々な要素が複雑に絡み合って切り離すことが出来ないからだ。
また「ファインプレーが+100点」で「ドデカイミスが-1000点」なゲーム性である以上、どこかに穴があって大きなミスをしてしまっては取り返しがつかない。

成績影響度ランクと難易度

ということで簡単な攻撃と防御は必ずマスターする必要がある。

上の表でいうと、太字の部分は最低限出来たほうがいいだろう。
出来れば赤字のところまで出来るとベストだ。

初歩的な牌効率、初歩的なリーチ判断、初歩的な副露判断の3つは「牌効率についての備忘録」のページでやったからそちらを参考にしてほしい。

コラム15 オリる技術より難しいのは「他家対応」と「いつオリるかの判断」と「甘えない精神」

⑫の実戦譜を見ていただいたら分かると思うが、「ベタオリ自体」はそれほど難しくない。今回出てきたベタオリの技術はせいぜい「1m」と「9m」との比較くらいだ。
難しいのは「ベタオリ自体」ではなく「他家への対応」と「絶対にオリるという意思(=甘えない精神)」と「いつオリるか攻めるかの判断(=押し引き)」である。

コラム⑭で言った攻撃と防御が密接に関わっているという意味がご理解いただけたかと思う。

ということで「ベタオリ自体」はそれほどミス無くクリアできるようになり、「押し引き判断」に時間を費やせるようになることをオススメする。

コラム16 捨て牌を見る意味は何?

個人的には以下の優先度で意味があると思っている。
1.速度計算
2.手牌構成読み
3.山読み

1.速度計算
やはりこれが一番だろう。
捨て牌で速度計算がある程度正確になってくると、間合いが測りやすくなるので自分の手牌スピードとの比較にかなり役に立つ。

2.手牌構成読み
これもちょっとだけ役に立つ。
個人的にはAIが発達すれば手牌がほぼ透けるくらい読めるのではないかと思うのだが人間レベルでは中々難しい。
基本的にそれほど一生懸命に読まないほうが幸せなことが多いだろう。
手牌読みは「労多くして功少なし」だ。

3.山読み
一応載せた。
これはあんまり役には立たない。絶対あると思った牌が他家の暗刻で無かったなんてこともしょっちゅうだし、別に山にあっても絶対ツモれるわけではないからだ。
ターツ選択時に気休め程度で考えればよい。

ということで捨て牌は「他家との間合い」をうまく図るために使うのがメインと覚えておこう。

コラム17 ラス回避ゲー?

「雀魂」や「天鳳」はラス回避ゲーと言われる。
本当だろうか?

個人的には半分本当で半分嘘だと思う。
確かにラスを回避することの価値はフリーのルールなどよりも遥かに大きいのでラス回避を強く意識するのは当然だ。ただしラスを回避すればあとはなんでもいいというものでもない。
天鳳7段であれば「1位+90pt、2位-45pt、3位±0pt、4位-135pt」というpt配分にしたがって一番pt期待値が高いように打つだけである。

例えばAという選択とBという選択があったとしよう。
A「1位の確率70%、4位の確率30%」
B「3位の確率100%」
どちらを選ぶべきだろうか?
「Aのpt期待値22.5pt」vs「Bのpt期待値0pt」
なので当然Aを選ぶべきだ。

ラス回避を強く意識しすぎる必要は無い。pt期待値的に得なほうを選ぼう。

コラム18 分散とは?

1.「50%で+12000点、50%で-12000点」
2.「50%で+5000点、50%で-5000点」
3.「100%で0点」
1も2も3もすべて同じ期待値で0点だ。ただし結果は大きく異なる。
1みたいな選択を分散が大きい選択といったりする

例えばオーラスで以下の状況を考えよう。
Aさん「30000」+90pt候補
Bさん「27000」+45pt候補
Cさん「23000」±0pt候補
Dさん「20000」-135pt候補

期待値表

A~Dさんの各選択のpt期待値表は上のようになる。
局収支が同じでもpt期待値が異なることがよくわかっていただけると思う。

一般的に局が進めば進むほど、勝っている人は分散が大きい選択を取りにくくなる。加点に価値が無くなり失点を避ける価値が大きくなるからだ。

逆に負けている人は分散が出来るだけ大きい選択を取ったほうが良い。
・「100%で1000点」vs「40%で+12000点、60%で-12000点」
なら負けている立場なら断然後者を選びたいだろう。局収支に沿って打つのは基本的に東場までだ。

また個人的には点棒だけでなく実力差がある場合も分散が大きい選択は取りにくくなると思っている。点棒が無い状況になると、選択肢が狭まり実力差を発揮しにくくなるからだ(これは間違っている可能性もあるが・・・)。今の期待値を捨て、将来の期待値を買うようなイメージだろうか。
またラス回避麻雀では負の分散はあまりとりたくない。点棒を得るリターンよりも点棒を失うデメリットのほうが基本的に大きいからだ(平場であっても「+1000点」と「-900点」が同じくらいと見ていいと思う。)。

期待値ももちろん重要だが、負の分散があまりにも大きすぎる場面では避けたほうがpt期待値的には得できる場面も多いかもしれない。勝っている場面や実力差がある卓では特に注意すること。

コラム19 場況取得の優先順位

麻雀というゲームにおいて場況を把握することは絶対に必要不可欠な行動だが、何を優先するべきだろうか?

高 「点棒状況の把握」「東何局・南何局の把握
中 「自分の手牌価値把握」「他家のスピード・高さ把握」「何巡目
低 「山読み」「他家の手牌構成読み」「他家の実力・打ち筋把握」etc…
個人的には上のような優先順位になる。

まず「点数状況の把握」と「東南場何局の把握」は必須。確実な情報かつこれらの情報によって打ち方が大きく変わるので必ず頭に入れておきたい。これを意識しない人は絶対に強くなれない。
「点数が多いときほどパッシブに、点数が少ないときほどアグレッシブに。残り局数が少ないほどパッシブ度とアグレッシブ度をより顕著に意識する」
「点数が多いときは広さを、点数が少ないときは打点を」

次に「自分の手牌価値がどれくらいか」を把握すること。「他家との速度」で自分の手牌価値が大きく変わってくるので、「他家との速度差」や「巡目の影響」も含めた相対速度で自分の手牌価値を把握するように努めること。

後は「山読み」や「他家の手牌読み」、「他家の実力把握」etc…
ここら辺は余裕があればやればいい。

コラム20 適正な評価とは?正着とミス

例えば「東一局南家8巡目」で「親から7巡目4p→8巡目2p切りリーチ」と来たとしよう。
Aさんは同順にテンパイをしたので1pを切ってダマテンをとったところ見事一発放銃となった。

1pを切って一発放銃・・・

Aさんはこの放銃が原因でラスになり、この1pがミスだったと評価をした。これは正しい評価だろうか?間違った評価だろうか?

このゲームは「認識→評価→評価の重み付け→打牌選択」のステップで打牌が行われる。この場合だと、
【認識】
・自分のテンパイを認識できているか?
・リーチが来たことを認識できているか?
・「東一局南家8巡目」を認識できているか?
・「4p→2p」という切り順で切られたことを認識しているか?
etc….

【評価】
・「4p→2p」という切り順で切られたときは平場の1pに比べ放銃率がかなり上がることを理解しているか?
・「離れたターツ落とし」と「連続ターツ落とし」の違いを理解しているか?
・愚形満貫は押し有利と理解しているか?
・現物待ちはダマテン有利と理解しているか?
etc….

【打牌選択】
・それらを時間内で脳内処理し、打牌選択。今回の場合は1p切りダマ選択。

このあたりが今回の各ステップの重要項目になるだろうか。

まず【認識】から行こう。
・「自分のテンパイを認識できているか?」
・「リーチが来たことを認識できているか?」
・「東一局南家8巡目を認識できているか?」
ここら辺はまあ特に言うこともない、絶対に認識出来ていないとまずいことだ。

・「7巡目4p→8巡目2p」という切り順で切られたことを認識しているか?
ここを認識出来ているかどうかは重要な要素になる。これを認識出来ていないとそもそも1pが危ないという評価をすることすらできない。

またこれ以外にも情報があるだろう。例えば
・「他家が2副露」
・「親の現物がたくさんあるor無い」
・「親の通ってる筋がどれくらいあるか?」
・「前順に切った9sがラグった」
こういった情報などだ(もちろん情報はほかにももっとたくさんあるはず)。前の三つは多少判断要素に絡むかもしれない。また、一番下の要素は今回の押し引き判断にはほぼ必要ない要素だ。

このようにどれくらいの情報を認識できているか、またどの情報が必要でどの情報が要らないかをある程度瞬時に判断できる必要がある。
すべての情報を拾うことは人間ではとても無理だしやるべきでも無いが、どこまでの情報を拾うことが出来るかは雀力に大きく関わる。今回は「7巡目4p→8巡目2p」くらいの情報は最低限拾えて置いたほうがいいだろう。

次に【評価】だ。
・「7巡目4p→8巡目2p」という切り順で切られたときは平場の1pに比べ放銃率がかなり上がることを理解しているか?
・「離れたターツ落とし」と「連続ターツ落とし」の違いを理解しているか?
まずこの1pの厳密な放銃率は自分にも分からないことを先に述べておく。ただ、恐らく「平場の1.5倍」程度になるだろうと思う。これが「筆者の評価」だ。これが正しいかどうかは分からないがこう評価したとしよう。

・愚形満貫は押し有利と理解しているか?
・現物待ちはダマテン有利と理解しているか?
ここら辺は統計データで知られていることである。
知らないと押しか引きかの判断を下すのは難しいだろう。

もちろんこれ以外にも評価基準はいろいろあるだろうが、主だった評価基準はここらへんだろう。人間的にはここくらいまで把握しておけば十分だ。

その次に【評価の重みづけ】だ。
・「1pの放銃率は1.5倍」→ちょっと引き寄り
・「愚形満貫は押し有利」→かなり押し寄り
・「現物待ちはダマテン有利」→ちょっと押し寄り
・「他の要素」→判断基準への影響は微小と評価

以上から【打牌選択】は押しを選択!

このようなプロセスで麻雀は打牌を選択しているはずだ。
これは何も押し引きだけでなく、牌効率やオリなどすべての打牌選択においてこのプロセスは行われる。

さて話を戻そう。
この1pは結局ミスなのだろうか?正着なのだろうか?

個人的には正着だと思う。評価の重み付けを見ていただいたら分かるがおそらく期待値はかなり押しが得だろう。
1.「どれくらいの情報を認識できるか?」
2.「正しく評価できるか?」
3.「評価の重み付けかきちんと行えるか?」
4.「打牌にきちんと反映出来るか?」
このステップがすべてある程度以上の精度で出来たらこのゲームで負けることは中々ないだろう。

ただしこれと同じことをAさんが出来るかどうかは別の話になる。人によってどこまでの深みで「認識や評価」が出来るかは違うし、「評価の正確さや重み付け」も当然変わってくる。しかし最低限の精度が無ければ勝つことは難しいだろう。
一番怖いことはAさんのように、「正着をミス」と判定してしまうことだ。
放銃がミス」ではないし「4位がミス」ではないし「アガリ逃しがミス」ではない。「正着をミス判定」することこそが「一番のミス」なのだ。そうならないためにも、最低限の認識と評価は出来るようにしたい。


コラム21 メタゲーム・エクスプロイト(搾取)

同卓した他家の批判をする人をよく目にする。同卓者の批判をしている時点で未熟と言っているようなものだ。他家に対応できない自分が悪いのだ。他家が非利益的な行動を取っているなら喜ばないといけないし、他家の打ち方に大きなミスがあるならそこにつけいってエクスプロイト(搾取)しないといけない。

例えば、「玉の間」。ここでは他家は「中々オリない」。つまりメタ(環境)として「押しすぎ」なのだ。ということはここでは愚形のみ手リーチは容易に押し返されることが予想されるし、横移動が頻発するのでそもそも「押す」という行為が弱くなっているメタだと認識するべきなのだ(=オリることが利益的になりやすい)。「玉の間」でのみ手リーチを打って押し返されて愚痴を言うようではメタを理解していないと言わざるを得ない。

例えば、「Mリーグ」。筆者はほとんど見たこと無いが、データとしては副露率がかなり低いらしい。これは「時間無制限&プロ」ということが関係していると思う。プロ同士はかなり捨て牌を読む傾向にある、さらに時間無制限では鳴き手は相当手を読まれやすい。つまり副露が弱いメタにあると考えられる。(=鳴きが利益的になりにくい)

また「副露率50%」の相手の鳴きと「副露率10%」の相手の鳴きに対して同じ打ち方でいいのだろうか?いいわけがない。「副露率50%」の鳴きは軽視するべきだし「副露率10%」の鳴きはかなり警戒するべきだ。(=利益的な行動)

ルールがトップ取りなら「加点の価値>放銃の損失」となるだろうし、ラス回避なら「放銃の損失>加点の価値」となりやすいだろう。赤5に祝儀が付くなら「祝儀分の価値」を織り込んで打つ必要がある。

相手が格下ならそれをカモるように打たないといけないし、相手が強者なら相手の打牌をリスペクトして打ったほうがいいだろう。

9mがキズ

例えば対面の9mはかなりの情報が含まれている。確実に白がトイツ以上であること、萬子の上だらけであることが分かるわけだがこういった情報が多く含まれる捨て牌を「キズ」という。
しかし、これが玉の間だったらどうか?そこまで考える人がどれほどいるだろうか?
つまりこの9mがそれほど痛手にならないのだ。そういった相手に釣り出しや先切りなどで情報を出さないような打牌をしても意味がない。

このように「正着」は相手や場のルールによって大きく変わる。一番利益的な行動を取るように心がけたい。


コラム22 麻雀は運ゲー?結果論からの脱却

麻雀は運ゲーとよく言われる。
運ゲーかどうかは人によって意見が分かれるだろうし、別に好きに議論すればいいと思うのだが、短期的には平均順位のぶれというのはどうしてもでてくる。

上はみーにんさんがまとめられた記事なのだが、短期的にはかなりのぶれが生じていると思う。逆に超長期的にはそこそこ収束していることも分かる。そこそこ打つ人なら人生の間に収束はしそうな感じだ。
まあ何が言いたいかというとこのゲームにおいて短期の成績でうだうだ言っても意味がないよ、って話です。

麻雀というゲームはよく結果論で物が語られるが、結果論で物を語るのはこのゲームでは何の意味もないと思う。
確率を正しく理解して、正着を選ぶことが大切である。

「5%放銃する牌A」と「10%放銃する牌B」で「Aを選んで放銃して失敗だったと落ち込む人」や「Bを選んで放銃回避して喜ぶ人」をたくさん見るが結果論からの評価が最も麻雀の上達の妨げになるのでマジでやめよう

放銃回避をするのではなく、どういう放銃をするかが大切。統計的に振って得な場面はきちんと振ろう
また、正しい手順を踏んで正しいアガリ逃しをしよう
長い目で見れば必ずそれが得になります。


コラム23 言い訳をしない

回線が落ちて負けた ← 回線をなぜ直そうとしないの?
疲れて集中できない ← 集中できる環境をなぜ作らないの?
打つ時間が取れない ← 時間を取れるように努力はしないの?
こんな牌で打つのはありえない、牌操作だ ← その牌を切ることのリターンとリスクをきちんと評価出来てる?評価出来ているなら通るにしろ通らないにせよその言葉は出ないはず
言い訳はやめよう、全てひっくるめて実力です

コラム24 最後は気合

人間同士の勝負は最後は根性が強いほうが勝つ。ツモって来いと念じる力が強いほうが勝つ。勝ちたい気持ちが強いほうが勝つ。
何をオカルトな話をしているんだと思うかもしれないが、所詮人間レベルの勝負事なんてそんなものだ。

最後は気合、「人事を尽くして天命を待つ」。


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