見出し画像

サンタクロースにありがとう。

今日は12月25日、クリスマスだ。
クリスマスというだけで心が躍る。

幼少期、私の家にはクリスマスツリーがあった。

大きさは50センチもない、小さなツリーだった。
光を鮮やかに反射するオーナメント、
雪を模した綿を散りばめ、
色鮮やかなモールとランプを巻き付ければ、
世界で最も綺麗なクリスマスツリーの出来上がりだ。

完成したら部屋の灯りをすべて消して、ツリーのスイッチをいれる。
眩い光ではないが、チカチカと優しく灯るツリーを見てホッとする。
今年も上手に飾れた。
クリスマスがもうすぐ来るんだ、と。

うちに煙突はない。
でも、クリスマスツリーはある。
サンタさん、これを目印にして、どうかうちにきてください。

決して豪華なツリーではないし、
両親はさほどツリーに思い入れがないのか、飾りが増えるということはなかった。
なんなら毎年一つや二つのオーナメントが壊れてしまい徐々に飾り付けは減っていった。
長年使い古したもみの木は葉が取れ、ボリュームを無くしていた。

それでも、
毎年入念に飾り付けを行った。
左右のバランスは悪くないかな。
モールの位置は詰まりすぎてないかな。
自作したオーナメントを括り付けたりもした。
子どもなりに考えて飾り付けを楽しんだ。

今日、朝目が覚めたら、
サンタさんへお願いしたプレゼントが そっと枕元に置いてあるんじゃないかと。

記憶よりも先に心と体が反応する。
あの頃の抑えきれない胸の高鳴り。


懐かしいなぁ。


私は今、その光景を親として眺めることができている。

あの頃のワクワクもドキドキも鮮明に覚えている。

そっか、こんな顔をしていたんだなぁ。

こんなにも喜んでくれている。


「サンタさん、ありがとう。」


窓からまだ暗い空を見上げながら、子どもが感謝を述べた。
遠くの空へ向かって手を振っている。


大人になるとプレゼントはもらえなくなると聞いていたが、
私は今年も素敵なプレゼントをもらってしまった。

涙もろい年になったもので、本当に困る。
プレゼントを抱え、部屋中をはしゃぎ回る子どもにみつからないように、
こっそり涙をぬぐって、そのとびきりの笑顔を目に焼き付けた。



「サンタさん、どうもありがとうございます。」



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?