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#7-08 本は希望の光 『アウシュヴィッツの図書係』

とても久しぶりにノンフィクションに手を出してみました。ことし79冊目です。

以前から気になっていた一冊と、たまたま図書館で顔を合わせたので、迷わず連れて帰ってきました。

実を言うと、読み終えるまで、巧妙に史実を混ぜて作られたフィクションだと思っていたのですが、解説を読んで愕きました。

よく考えれば、史実でなければ有り得ないほど詳細で筋の通った話ばかりだったのですが、わたし自身がまだホロコーストを本当に起きたこととして受け止められていないことが浮き彫りになったような気がして、後ろ暗い気持ちになりました。

自己紹介にも書かせていただいたのですが、わたしもこれまで、本の中に生きる意味や悲しみの理由を探してきました。


いまのわたしにとっては本が人生の道標です。


辛いときに本があったからこそ、いま生きていられます。


この気持ちはいまわたしだけに発生したものではなく、半世紀以上前の人にも共通していたものであることに、どこか救われます。

アウシュヴィッツで生きた人、生きながらえた人たちのように、命を絶たれる恐怖に慄いた経験はありません。自分とつながるものがあると思うのは失礼なのかもしれないし、同じ人間なのだから自然なことなのかもしれません。

本が、知恵が、生きるための力に変わり、明日への希望を連れてくるのはずっと昔から変わらないことなのかもしれない。そんな本の力を、改めて感じさせられる一冊でした。

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