人生ってなんだろう(7)

ルドルフ モンティ・ホールの問題を解く

過去の事例を引き合いに私の考え、思いの変遷をお伝えしようと思っておりますが、どうも最近の情勢は甚だ気にくわぬもので、言い知れぬ気持ち悪さすら感じる始末。今これから人生を探求されようとしている方々に、個人の過去をお話することも大切ですが、現在の私の考えもお伝えしておこうかとも思います。

近年は地上波の放送を、時折眺める程度でありましたが、昨年夏ごろからでしょうか、ほとんど観ることもなくなりました。新聞諸紙も同様です。もっぱらWebにて世情を知る次第になります。ただ玉石混交の世界の為、ここも、どうなるのかなあと思うこのごろです。

少し前に、米国で“シフティング・ベースライン”というフレーズが注目されているという話題をYoutubeで拝見いたしました。日本では隣国との関係で良く使われている“ゴールポストを動かす論”として認識されてしまいそうですが、私の思うところ、本質的には異なり、これまでの価値観や意識のフェーズを意図的に移し替えてしまう議論テクニックのように思えます。識者でもなく、言葉も足りませんので、下記に有名なクイズを例として挙げさせていただきます。

モンティ・ホールの問題

1990年あたりのことですが、モンティ・ホールが司会者を務めるアメリカのゲームショー番組で行われたゲームに関する論争となります。主に確率論の問題となりますが、解りやすくする為、ここでは少し私風にアレンジをしてお伝えします。元問題を確認されたい方は、Web上で多く論評されておりますので、そちらにてお調べください。

展開

番組)最終問題となり、回答者はこの問題を正解すると豪華賞品をゲットで  きる局面です。
モンティ)「さあ最後の問題です。こちらのボードをご覧ください」
番組)大きなボードがオープンされ、そこには1~100の番号が書かれた100枚のカードが貼られています。
モンティ)「よろしいですか?この100枚のカードのうち、1枚が正解のカードとなります。豪華賞品を手にするチャンスです。さあお選びください」
回答者)回答者はがっかりです。どのカードを選ぼうが1/100の確率に違いはありません。多少むっとして選びます。「それでは1番のカードで」
モンティ)「畏まりました。」モンティは、1と書かれたカードを手前の小さなボードに移します。会場には、1の貼られた小さなボードと2~100のカードが残る大きなボードの2つのボードがあります。
モンティ)「それではここで、最終問題にふさわしいボーナスヒントを差し上げます」おもむろにモンティは、2~100のボードの前に立ち、順番に開いていきます。すべて「ハズレ」と書かれています。98枚目のハズレを開き、残る100のカードを手前の小さなボードに移し替えました。「これがボーナスヒントとなります」「ご覧のとおり、この98枚はハズレのカードとなります」もちろん、モンティはどのカードがアタリか知っていますから、手早いものです。
番組)2~99枚目のハズレカードのボードを会場から下げさせます。会場には1と100の2枚のカードが貼られた小さなボードがひとつ残っています。
モンティ)「さあボーナスヒントにより、正解が近づいてきました。豪華賞品をゲットできる最大のチャンスです。先程までは100枚に1枚のアタリでしたが、今は2枚に1枚の二者択一の問題となりました。あなたは、最初の選択を貫き通すのか、またここで、100番のカードに選択を変えるのか、運命の選択です。ファイナルアンサーをどうぞ」

皆さんはどう選択されますか。回答者の方はしばらく考えて見事、豪華賞品を手に入れました。

ここで解説をさせていただきます。最初に1を選択して、1と2~100のボードにわかれましたので、これをグループ化してみましょう。
Aグループは1のみ・・Aグループにアタリがある確率は1%
Bグループは2~100の99枚・・Bグループにアタリがある確率は99%
モンティはどのカードがアタリのカードか知っていますから、Bグループの98枚を無造作に開くことが出来ました。
Bグループはモンティにより100番のカード1枚となりました。

もうお判りですよね。答えは100番のカードが99%の確率でアタリとなります。100回に1回ハズレますけど。

この問題の面白い点は、最初のボードの設定を無かったことにして、フェーズが二者択一にあたかも変化したかのように思わせる点にあります。悪く言えば騙しているとも言えますね。アレンジしすぎて“なんだこれは、馬鹿にするな”と思われる方もいらっしゃると思いますが、そこはご容赦のほどを。

これまでの経緯や過去の重みを度返しして、あたかも新しい概念が創出されたかのような論理展開は、かなり危なっかしいものだと思います。すべてがそうだとは申上げませんが、これまでの経験や考えを振り返ることから、ことに臨まれることを切に望む次第です。

 

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