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カレー食べたい

行列は嫌いだ
行列を見たらほぼその場で踵を返す
並ばなければそれじゃなきゃ替えが効かないってそうはない
それよりも大事なものがあるそれは時間

腐っても東京だ
飲食店の数は星の数ほどとは言わないけど笑並ばないで入れるところを見つけるのに苦労することはない

並ぶことで失うのは時間だ

食べるのは基本的にはチャージのためで必要なカロリーを得て今日一日のエネルギーを確保するため

ただそうは言っても
美味しいと思うものを食べたいし
かと言ってあんまりお金もかけられないし
誰かと一緒ならその人の食の好みもあるかもしれない
食べる事にかけられる時間とお金のコストは
朝と夜でも 平日と祝日でもきっと違う

お店選びは腕の見せ所
時間の感覚や金銭感覚
味覚、マナーといろいろリトマス試験紙になると思ったりもする

お店の選び方や待ち方食べ方で
人となりは結構透けて見える

いやあだ赤毛さん
そんな風に一緒に食事をする時に考えてるの?
それじゃホントに品定めじゃない?

いやそんなつもりじゃない
つもりじゃないけど結果論そうなるとは思う

だから一人で食べに行くんだよ💢苦笑

外食に求めるものはただ腹が膨れれば良いというだけじゃなくて
付加価値
時間をどう過ごすかを満たしに行くような気がする

そのお店に最初に行った時は
この辺に新しいお店ができたんだよな位の
朧気な情報で徘徊したけど
見つけられなかった笑

その次に訪ねた時は日曜日で定休日だった
肩透かし

3度目の正直
この前行った時はインドに料理修行に行くのでしばらく休みますという看板が掛かっていて入れなかった

しばらくっていつまでよ笑
でもインドだからなあそんなのいつ帰ってくるかなんてわかんないよなあ
そう書いてあることが誠実さの証左のような気がして

いつか食べてみたいと思いを募らせていた

土曜日でなんの予定もないので
並ぶことを予定にして並んで
もうすぐ小一時間
流れるインド時間

うん相応しい

普段だったらイライラするのに
インドだと思うとこんなもんやと思うのも
勝手だなあと苦笑いするけど

雑居ビルの小さな店なのに次々と押し寄せる老若男女にこの店の底力をみる気がするけれど

朝寝坊してお腹が空いてないかなんて杞憂に終わるくらい
待つ時間の間に
グーグーなるお腹の音が聞かれるんじゃないかと心配が変わって

鈴の鳴るような声のママさんが
要領いいのかはわからないけど
お客さんをさばいていくのを指を咥えて眺めている

グウ
今ココ
(実は行列待ちをしながら書いてた笑)

そして
キター!

南インドのミールスだよ

新婚婚前旅行が南インドだった(≒旅行してた時に結婚を考えてたわけじゃないけど暮らしが始まったら新婚旅行どこじゃなかったから〘≒妊娠したから〙遡ってそうカウントしてるだけ)から
帰ってきてからもあの感動をもう一度と
南インド料理の店ができたと聞いては
いそいそと彼と二人で出かけては
ああこれではない私たちの食べたミールスはとガックリ肩を落とし続け
ああ無理なんだあのミールスはあそこにしかないからミールスなんだと確信に変わり
幻を形に探すのは諦めて
いつかインドに行ってまた食べるのだ私はミールスをと決意に変わっていったけど(≒南インド料理屋巡りは止めたけど)

ふと行ってみたお店で
あのミールスを限りなく再現しているミールスに出会った
それもオールジャパンのお店で
ノーインド人
日本人が日本人の舌であーでもないこーでもないと試行錯誤の上に作ったカレーだと思うと涙ぐましい努力と研鑽とそしてストーカーチックな執念を感じて

もしかしたら南インドの人は
手間ひまかけてミールスをここまでの解像度で再現するにはコストがかかりすぎて
商売にならないからやらないんじゃないかな
このお店のオーナーは店内壁面を埋め尽くすレコードやインド関連カレー関連の蔵書をみても
どうみても偏執狂で度を越したこだわりの主だ
でなければこんな酔狂というか道楽レベルのことやるわけないよなあ
商売っていうより表現に近い
自分の思うミールスを銀色のお皿とバナナの葉っぱの上に再現するアート

私がコチンで食べたミールスと同じだと思うミールスを東京で再現することに熱量傾けてるひとがいるんやと思って満腹の幸福感に包まれた

お会計時にママさんに
二十年前にコチンからアレッピーにバックウオータークルーズの船上で食べたミールスを完璧に今日思い出しました
ありがとうございましたと最敬礼したら

ぱああっとママの顔が輝いて
まあ♥ありがとうございます
そんな風に仰っていただいてオーナーが喜びます
あの土曜のランチは忙しくしてますけど
平日は夜のみの営業でお話もできますので
また平日の夜にいらしてオーナーに
今のお話聞かせていただけませんか?

とナンパされてしまったので

ええ是非
次回は平日の夜に参ります

と鼻の穴膨らませて
ラジャスタン刺繍のサンダル履いて行こうかなと思っている

カレーといったらエンケンでしょう






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