見出し画像

孤独と大団円 ou bien 勝手に返歌

自作自演タネアカシ笑。私は、よく表題に「または」を使って書いてきたんだけど、実はこれはフランス文学の作品によくあるやつで、腐った仏文卒赤毛のチコとしては、ゼミでお世話になった谷間の百合に申し訳程度に使ってきたのだけど、一度も誰にも突っ込まれたこともなくて苦笑、仕方がないから自分で書いてる

「大団円」という言葉を最近見聞きしないけれど、noteの海で目にしたとき、懐かしいような意味をくみ取れない違和感とともに、反射的に思い出したのは、長女のこと。

長女は暗黒の中学時代を孤独を鎧に身に纏ってサバイブしたんだと思う。不登校になったわけでもない、何かSOSを親に出したわけでもなく、淡々と通学していた。もちろん自分の子だから、学校生活に馴染めるわけがないのは知っていたし、いくつかのエピソードで学校とも先生ともコンタクトをとって、彼女の立ち位置を親なりには知っているつもりだった。

でも、ナカノヒトじゃないから、毎日のことはわからない。次女が同じ中学に入学して、学年は違っても朝礼やら学校行事を共有するようになり、長女が学校で身に纏うオーラを目の当たりにした次女が戦慄する。

次女は、めんどくせえと思いながらも周囲に合わせてコミニケーション取れるタイプ。取ったコミニケーションに自家中毒するタイプ苦笑

ーお姉ちゃん、大丈夫なのかな、完全ボッチだよ。この前、部活紹介で名前呼ばれたけど、お姉ちゃん席立たなかった。無視してたよ…

次女も逐一報告する子でもないし、姉がどんな性格なのか身近でみて育ってある意味誰よりも理解しているから驚かない。けれど、流石に自分の中で何かどよめいたのかもしれない。

ー今日、部活紹介があったの?名前呼ばれたけど、返事しないから、どうしたのか心配してたよ?

聞いてみた。

ーああ。あんな人たちと同じ部活だって思われたくないから。だから返事しなかった。

ー絶句。いや、一緒に夏の間研究したり実験してきたんじゃなかったけ?コミケ行ったり、カラオケ行ったりもしてなかったけ?

ーいや、部全体のことだから。

ー絶句絶句。

他者と相いれないというポーズを作って、集団の中で完全孤立して自分の存在を目だ出せつつ消していく戦略をとる我が娘は、卒業式には、セイセイシタといって、制服の胸のリボンを空に向かって捨てた。

他の子達は記念写真をキャッキャと取り合って去りがたい校舎を記録に収めるのに夢中だ。足早に校舎を背にする娘を小走りに追いかける。待ってよー笑

それでも、この学年の卒業文集の表紙と背表紙は娘の最後の作品だ。3年間、全ての行事に爪痕を残さず、何なら定期テストにも爪痕を残さず(実力テストは校内1位なのに)それでも、全ての行事の文集や、連絡帳、シラバス、工程表のイラストは彼女が描いた。彼女らしい中学生活に残した消えようのない足跡、爪痕。

受験と卒業文集の絵の締め切りが被っていたけど、もう少し受験に時間割いていたらもう一個上の学校行けたんじゃね?と親は黙って欲目を書いたけど笑、下書き何回もして、こだわって、モノトーンの濃淡で専門のコピック使って描き上げた。

大団円だった。

彼女の望んだ世界。

クラスメートの小さな輪がいくつも重なって緩やかな大団円が出来ている

卒業してから後輩が、先輩の書いた連絡帳のイラストが僕はやっぱり一番好きでしたって、言ってくれたと嬉しそうに話す長女。彼女のことは知らなくても、その中学に同時期に在籍した子供達全員が彼女の描いた表紙を見て毎日過ごしたわけで、彼女の絵のファンもまたそこには確かにいた。

ーうん、お姉ちゃんの描いた連絡帳が良かったって、今年の下手くそって、みんな言ってるよ

3年間守ったイラスト担当の座を譲り卒業した後に、まだ在籍している次女と今年の連絡帳の品評会

ーしょうがないよ、ありえないくらい時間かけて描いてたやつだもん。比べようがない。

当の本人はそんな世辞には耳もくれず今日もせっせと無心に手を動かして描き込んでいる。息をするように。


※蛇足   イラストの依頼は Twitterにて白紙ジャコウにお問い合わせください。

その際 赤毛のチコ経由とは伏せてくださいますよう お年頃ですので そこんとこヨロシクでお願いします笑




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?