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【note限定エピソード】マドンナがいる店・ドライブで行く店・高級感のある店 ―思い出のお店あれこれ

今回の「マッチのあった青春時代 わたしたちの思い出展」では、新居浜市内の約300点、旧西条市内の約100点、現四国中央市や小松、丹原などの約50点、計450点ほどのマッチを展示しています。
インタビューなどを経て文章化できたお店のほとんどは、誰しも1回は行ったことがあるような有名店がほとんど。たとえ行ったことはなくても、「ああ、あそこにあったお店でしょ」と、その存在が多くの人の頭に残っているようなお店がほとんどです。
今回のエピソードでは、個別のエピソードとしては文章化ができなかったけれど、ある人にとってはとても印象深かったお店の数々を、それぞれの声と一緒に紹介します。

憧れのマドンナのいた『ロペ』

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自分らが喫茶店行ってたのは、一つは、マドンナ的なウェイトレスがおる店が目当てでね。恋愛感情とか、その後どうなりたいとかそういうことではなくて、あそこだったら、すごく器量のいい、愛嬌のいい女の人と話ができる、というね。
あと、コーヒーのチケットをキープするというのが、とてもオトナっぽい感じがして、背伸びした感じ。いまは、どこもほとんどやってないんじゃないかなあ。10枚分で11回飲める、そういうのをキープしとくと、自分の店、みたいな。スナックとかのボトルキープと一緒よね。オトナな感じ。
(マドンナ的な存在がいたのは、どこですか。)
『ロペ』いうて、このマッチですね。下がお好み焼き屋で、上が喫茶店だったですね。ロペ。お好み焼き屋もおいしくてね。
やっぱり、かわいい子がいるところは人気があって。よく通ったのが、夏休みの補習が終わった後。僕の高校は夏休みの前半と後半に、1時くらいまで、補習があったんですよ。100分授業とかで。それが終わったあとに、ランチを食べに行ったりね。補習に参加する、イコール、まじめに勉強する人たち。だから、そんな人たちが喫茶店に行くって言ったら矛盾するように聞こえるんだけど、そんな人たちが昼飯どこに行くかって言ったら、『ロペ』みたいな行きつけのところに行って。それがルーティーンだったですね。

マッチに「大屋西入ル」と所在表記のある喫茶店『ロペ』。「大屋」とは、西条市の中心市街地にかつてあった「大屋デパート」。駅や役所、高校などにも近く、地域のにぎわいの中心でした。
そんな市街地にあった、マドンナのいるお店『ロペ』。コーヒーチケットをキープするという、ちょっとオトナなことをしながら通いつめたお店だったようです。

東の『かみへそ』・西の『はれくも』

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流行りの店は年代ごとにいろいろあって、やっぱり行くよねえ。うわさでまず聞こえてきてたんは、かみへそ、『雷のへそ』。いまはなくなったけど、三島のほうにね。
あと、私がこっちに帰ってきたときに『晴れたり曇ったり』という店が丹原にあって。そこのうわさもいろんなとこから聞こえてきましたよ、おしゃれだって。ハイセンスだって。みんな「はれくも」って呼んでたわ。「かみへそ」と「はれくも」。聖地よね。あそこすごいよって。そういうの聞くと、興味を持つでしょ。あそこ行っとかないとって。行っとかんといかんのんじゃないか、という強迫観念でね。
いまはコインランドリーになってるけどね。前は小さい店だったんですよ。いまは大きな道が通ってるけど、昔は小さな側道で、あんまり人が通らんようなところでやってたんよ。小さい店だけど、よく考えられたいい店だった。自由の女神が外におったりね。そのときにないようなことをね、してた。唐揚げもおいしいし。

別のところで紹介した『雷のへそ』と並んで言及されることの多かったのが、『晴れたり曇ったり』。新居浜からドライブをすると、東に向けて車を走らせて‘ちょうど良かった’のが『雷のへそ』なら、西に向かって‘ちょうど良かった’のが『じゃがいもの家』や、この『晴れたり曇ったり』。いまでもコインランドリーとして外観の残る店舗は、白を基調にパステルカラーで縁取られたファサードがレトロでポップ。マッチには「since1982」とありますから、当時流行のフレッピールックや、ケミカルウォッシュジーンズに身を包んだ若者が大挙していたことが容易に想像できます。

いまでもおしゃれ!『アルパカ』

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『アルパカ』なんかは、ハードルが高かった。おしゃれさんのいくところってイメージだから。細くておしゃれさんが集う感じだったから。偏見ですけどね。だから、ここは洒落た感じで、なんかカレーとか頼むの恥ずかしい、ワッフルとか言った方がいいのかなって。当時はそんなこと思いながら。ああ、ワッフル食べちゃったよ。これは私帰りに、ダイエー寄って、パンとか買わないとだめだなって思ったり。
映えるお店に入ったら、自分も映えないといけない、思うんですかね。だから、自分が行ったお店も喜ばせたいと思うんですかね。だから『アルパカ』に行くときは服もちょっと考えるんですよ。そんなにバリエーションないけど、天然素材の方がいいんじゃないか、とか。
雑貨屋というのがすでにおしゃれだったんですよ、とくに当時は。ついでみたいな格好じゃ、行けない感じ。こりゃあ、いま着てる服じゃ今日はだめだなあ、という感じかなあ。

1975年の創業以来、いまでも雑貨屋さんを併設して営業を続ける『アルパカ』。シンプルで、使い込むほどに味が出るようなすてきな雑貨を揃え、ワッフルなど人気メニューも健在。とはいえ当時、そのおしゃれすぎるほどおしゃれな雰囲気に押され、カレーを頼むはずがワッフル、というのも分かる気がします(カレー、個人的には絶品です)。
ちなみに、カレーも入るほどの空腹具合だったのにワッフルを頼んでしまったが為に寄ることになった「ダイエー」はかつて、いまの「マルナカ若水店」あたりにあったスーパー。前身である「南海デパート」時代を含め、登り道サンロード内にあった「ニチイ」とともに商店街のにぎわいの中心的存在でした。

他にも、傾いた店舗外観が特徴的だった喫茶店『こぼれたコーヒー』や、愛媛県内に店舗を展開していたコーヒーの名店『ライン館』など、名前の挙がったお店はたくさんありました。マッチをきっかけに、語れば語るほどあふれてくる昭和のすてきな思い出たちです。

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